『月光のカルネヴァーレ』

『月光のカルネヴァーレ』

『月光のカルネヴァーレ』は2007年にWIN用として、
NitroPlusから発売されました。

結局のところ、ニトロはニトロってところでしょうか。



<概要>


ゲームジャンルはノベル系ADVになります。

あらすじ・・・
錬金術の影響が色濃く残るベルモントという街は、
自動機械人形――オートマタが迎える
世界一の人形生産地として有名。
骨董品のオートマタは人間とほとんど変わらない容姿だが、
その心は自由ではなく、
主人の命令に従うままに振舞うしかなかった。
過去を捨て、そうした伝統と格式ある街にやってきたロメオ。
タクシードライバーで日銭を稼ぎながら
細々と暮らしていたロメオは、ある日、
ゴミ捨て場で壊れた記憶喪失のオートマタを拾った。
そして彼女にアンナと名付け、
その人形と新しい生活を始めるロメオだったが、
かつて属していた犯罪組織「オルマ・ロッサ」が、
その平穏な日常に土足で踏み入ってきて……。

<感想>


ハードボイルドな戦闘もの、
或いはもっと広義に硬派な作品としても、
そういった作品は、
エロゲでは年を追うごとに減っています。
それだけに、こうした作品を作るニトロの存在は貴重であり、
ファンがいるのもわかるというものです。
まぁ、ニトロ作品の場合、内容自体は中高生向けばかりなので、
プレイするなら早い段階でという限定は加わりますけど。

ところで、ニトロのデビュー作である『ファントム』は、
内容に関してはとても面白い作品でしたが、
システム周りは最悪でした。
何度も修正やリメイクがなされているので、
最新のをプレイした人とかは分からないでしょうけどね。
発売した当初にプレイした人ならば、
きっと分かるはずです。
(余談ですが、そうであるからこそ、『ファントム』に対して、
傑作とまでは言えないんですよね。)
しかし、ブランドというのは、
その後どのように変わっていくかは、
結構分からないものでして。
システム部分の弱かったこのブランドは、
その後は演出も含めてプログラム技術的な部分では、
大分進化していくことになります。
その点は嬉しい誤算であったものの、
他方で、ストーリーに関しては、
私は作品が出るたびに幻滅していったものでした。
あらすじとか見ると期待したくなるものの、
結局は虚淵というライターの、
他所の真似しかできない底の浅さに、
私は幻滅していったのでしょう。
貴重なジャンルを扱うブランドで、
作品ごとに技術は向上していっている、
そうなると、ライターさえ変われば、
面白いと感じられるかもしれない。
私は、そのように考えていました。

そこで出てきたのが本作です。
この作品は、確か下倉氏の最初の作品だったはず。
本作発売当初は、
ライターが変わることで不安視されてましたし、
実際、虚淵作品が好きな人ほど、
この作品には不満が出てきてしまうのでしょう。
本作が発売されたのは、約10年前になります。
現在までに下倉氏も何本もゲームを作り、
私も何本もプレイしています。
その作品の多くは、一見すると挑戦的であり、
初心者には意欲的な作品に見えるのだろうとは思いますが、
大抵は過去の他所の作品の二番煎じでありつつ、
プラスアルファも付けられていないものでした。
模倣と宣伝が上手いだけという意味では、
結局は虚淵氏と同じ路線なんだなということで、
今では私の興味は失われています。
しかしそれは、あくまでも今だからこそ言えることであって、
当時は無名の新人が出てきただけですから、
どういう作品になるかはわかりませんでした。
まぁ、結局本作は、
ブランド過去作を足して割ったような作品であり、
あまり個性を感じられなかったですけどね。
でもそれでも、グラフィック等は進化していましたし、
見せ方も工夫されていましたし、
ライターの嫌な色を感じなかった分だけ、
逆に新鮮にも感じられたわけで、
普通には楽しめたように思います。

<総合>


総合では凡作としておきます。

作品の方向性としては、過去のニトロ作品と似ていますが、
過去作の熱烈なファンほど不満になりやすく、
逆に何も知らない人ほど楽しめる作品でもあり、
ニトロの新規普及作としては良かったかもしれませんね。

最後に余談になりますが。
テキストの好みは人それぞれなので、
自分の意見を特に推すわけでもないのですが、
個人的にはニトロのハードボイルド路線に関しては、
実は女性向けのニトロキラルの作品の方が、
良い意味でも悪い意味でも尖っていて、
プレイしていて得るものは大きいように思いますね。

ランク:D(凡作)




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