『Making Candy ~お気に召すまま~』

『Making Candy ~お気に召すまま~』

『Making Candy ~お気に召すまま~』は1996年にPC98用として、
きゅろっとから発売されました。

ブランド第2弾で、今作は普通の女の子との同棲生活です。
同系統の作品の中でも、バランスの良い作品でしたね。

Making Candy

<ストーリー>


映画館で知り合った女の子(名前変更可能)と、
同棲生活をすることになった主人公。
尚、この主人公の名前も、一人称も変更が可能です。
音声が標準になるに従い名前の変更もできなくなっていったので、
音声がなかった時代だからこそなしえた方法とも言えますね。

本作は、自宅に帰ってからヒロインとHをしたり会話をしたりと、
そうした同棲生活を描いた作品であり、良くも悪くもそれが全てになります。

『あゆみちゃん物語』(1993)以降、
一人の女の子との関係にのみ注目した作品が幾つか登場しました。
本作もまた、その中の1本と言えるのでしょう。

もっとも『あゆみちゃん物語』と言うとエロの印象が強くなってしまうけれど、
後発の作品は決してエロだけではなく、
ヒロインとの触れ合いや会話を強調した作品も増えていまして。
この当時は「いちゃラブゲー」なんて言葉はなかったのだけれど、
それはあくまでも言葉がなかっただけなのであり、構造から判断するに、
本作なんかはまさに「いちゃラブゲー」の先駆け的な存在なのでしょうね。

本作はヒロイン一人だけを扱った作品という意味では、
後発な分だけ新鮮さに欠けるとも言えるのかもしれません。
しかしその代わりと言いますか、本作は期間が50日と区切られているのですが、
その期間内におけるイベントなどは、
同時期同系統の作品に比べ充実していました。

つまりこの当時の、この手の一定期間を過ごすタイプの作品は、
何もイベントがなく退屈な日々を過ごす場面が多いという傾向もあり、
それが欠点と言えました。
本作も、その欠点を完全に克服したとまでは言えないものの、
他の同系統の作品よりは少なめに抑えることで、
飽きずに楽しい時間を過ごせたものです。

つまり新鮮さは、やや損なわれているかもしれませんが、
代わりに完成度は高まった作品と言えるのでしょう。
従って独自性や新鮮さを重視しがちな私とは、
必ずしも相性が良い作品ではないのかもしれません。
しかし逆に、完成度を重視する人なら楽しめる可能性が増すと思います。

<グラフィック>


makingcandy.jpg

きゅろっとは、炉利系に力をいれていたブランドでした。
作った作品、全部炉利系の絵でしたからね。
もっともデビュー作のヒロインは「きつね娘」、
つまりケモノ娘でしたので、若干変化球と言えました。

私はケモノ娘がそれほど好きではなかったので、デビュー作は最初はスルーし、
しばらく経ってから評判が良いことから気になってプレイしたものです。
他方で今作は普通の女の子でしたので、問題なく特攻できました。
従って個人的には、初めてプレイしたきゅろっと作品だったんですよね。

<ゲームデザイン>


システム的には選択肢を選んでいくだけで進行します。
ヒロインを自分色に染め上げていく育成ゲーでもあり、
また一応パラメーターもあるのですが、
あまり本格的に数値を管理するゲームではありません。
数値はフラグの進行を可視化させたものであり、
育成SLGではなく育成ADVと捉えた方が良いと思います。
まぁ単純に言えば、『あゆみちゃん物語』のようなものなのですけれど。

ストーリーの部分とも重なるのですが、
イベントが多めというのが印象が良かったですね。
またHシーンとかでも無駄にクリックさせられることもなかったですし、
サクサク気軽に進められて良かったです。

<感想・総合>


一人の女性との生活という点では『あゆみちゃん物語』ではなく、
むしろ『カスタムメイト3』とかを例に挙げた方が分かりやすかったでしょうか。
そういうヒロインと一緒にすごす時間の長い類の作品が、
大きなブームとまでは行かないにしても、プチブームくらいにはなっていたのか、
結構存在していたというのがこの頃の特徴でもありました。

・・・そういや、この手のゲームも一杯やったものだけれど、
最近はほとんどなくなりましたね。
同人ゲーならたまにあるようですが、商業作品ではほとんど見ないような。
この手の作品からプレイヤーのできることを減らし、
読む比重を高めたのが今のいちゃラブ系ノベルゲーなのでしょうけど。

余談ですが、この手の作品の印象が強いからか、
私はいちゃラブはプレイヤーが能動的に関与できる作品の方が、
感情移入ができて好きです。
完全なストーリー重視作品なら読むだけの形式でも構わないのですが、
いちゃラブは自分であれこれやってみたいと思ってしまうので、
読むだけのいちゃラブゲーってのは、どうも物足りなく感じてしまうのです。

何れにしろ、同時期の同系統の他作品より明確に抜き出た部分がないことから、
普段の私の基準では点は伸び悩むタイプの作品と言えるでしょう。
なので、ここでは良作としておきます。

もっとも、同系統の作品の中では完成度は高いと言えますし、
何よりヒロインが可愛いですからね。
一人の女の子との同棲生活を描いた作品なんてのは、
つまるところヒロインをどれだけ気に入ることができるかが一番大事ですし。
絵を見て気に入った人ほど、はまれる類の作品だと思いますね。

ランク:B(良作)

メイキングキャンディ

関連するタグ PC98 /ADV /コマンド選択式 /


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