『あぶない女性心理学入門』
『あぶない女性心理学入門』は1987年にPC88用として、
フェアリーテールから発売されました。
女性視点から描かれたオムニバス作品であり、
今は資料的価値の方が強いかもしれませんね。
ゲームジャンルはノベル系ＡＤＶになります。
最初に4本のストーリーの中から一つを選び、
読み進めていくことになります。
4つの物語は、女子高生が近所のお兄さんに犯されてしまうもの、
天使である女の子が根暗な男の子にHなプレゼントをするもの、
女の子が大好きな木彫り人形でひとりＨをするもの、
女子中学生が将来を妄想するものになります。
この作品を今プレイして面白いのかと聞かれたら、
間違いなくノーと答えるし、
何も知らない人は本作の長所を探すことさえも難しいかもしれません。
基本的には4本のショートストーリーで、
ほとんどがＨシーンばかりですからね。
ただ、時代背景的なものを理解できる人なら資料的価値を見出せるし、
リアルタイムでプレイした人なら、
その異質な構造に新鮮さを感じながらプレイできたと思うのです。
まずゲームジャンルですが、この当時のＡＤＶは主流がコマンド選択式でした。
87年のアダルトゲームだと、稀にコマンド入力式すら残っていましたし。
当時のユーザーはそれを楽しんだものですが、
次第にコマンドの繰り返しが敬遠されるようになり、
今はコマンドが存在せず、クリックだけで読み進められるノベルゲーが主です。
家庭用ゲーム機でノベルゲーが登場するのは92年ですが、
アダルトゲームではもっと早くから存在しており、
本作もまたその中の一本となります。
つまり本作にはコマンドの類が一切存在せず、
クリック（まだマウスがないので、キーの連打ですが）だけで読み進められるのです。
コマンド選択式を嬉々としてプレイしていた当時の多くのユーザーには、
これは物足りなかったと思うし、
ボリュームの少なさもあって面白いというわけではなかったですが、
少なくともコマンドのないＡＤＶが存在したことの証拠にはなるのでしょう。
また某所で、ＡＤＶは主人公とプレイヤーが不可分な関係にあり、
それが完全に分離したのは98年だという見解がありました。
まぁ、家庭用ゲーム機のＡＤＶに限定するならば、
それも必ずしも誤っていないのかもしれませんけどね。
本作の様な女性視点の、しかも体験談や私生活を語る系の作品ですと、
もう最初からプレイヤーと主人公が完全に分離しており、
プレイするというより完全に主人公の話を読むという構造なんですよね。
古い時代ほど主人公とプレイヤーの不可分性は強く、
80年代のＡＤＶは半ば主人公はプレイヤーの分身であった時代だけに、
本作は周りのＡＤＶに対し異質な存在だったのです。
さらに、大半のＡＤＶというのは1本の物語が収録されています。
まぁ分岐により様々な方向性に分かれるものもありますが、
開始時は一つですよね。
そうしたＡＤＶとは別に、複数の独立した物語を収録した、
いわゆるオムニバス作品というものがあります。
PC98時代は一時期結構流行っていまして、
各社がオムニバス作品を発売していたんですよね。
その流行のきっかけはと聞かれると、
アリスファンでアリス贔屓な私なんかは、
DPSシリーズの名前を挙げちゃうんですけどね。
まぁ、実際、DPSシリーズの発売された89年辺りから少しずつ増えてきたので、
間違ってはいないと思うのですが。
ただ、DPSシリーズが元祖かというと、それは明確に違っているわけで、
87年に発売された本作の方が先なんですね。
オムニバスだから凄いとか、そういうことは全然ないのだけれど、
当時珍しかったことだけは確かと言えるでしょう。
というわけで、面白いかどうかはさておき、
当時のＡＤＶはこうだというイメージや決め付けが激しい人ほど、
本作の異質さが理解できるのではないでしょうか。
当時のＡＤＶはこうだったけど、
後にそうじゃないのが出てきて～という記載を見る度に、
もう本作が実現しちゃっているじゃんって思ったものです。
そういう意味では、ゲームコラムを書く人には非常に都合の悪い、
存在を無視したくなってしまう作品かもしれませんけどね。
とりあえず本作は、ストーリーとか絵とか、
その作品だけでしか判断しない人には良さが分らないでしょう。
むしろＡＤＶを知り尽くしたようなＡＤＶの変遷を知っている人ほど、
作品の個性や独自性を見出せたし、
資料的価値も見いだせるのかなと思いますね。
ランク：Ｃ（佳作）
関連するタグ PC88 /ADV /ノベル系 /
春ゆきてレトロチカ AMBITIOUS MISSION 蒼の彼方のフォーリズム EXTRA2
フェアリーテールから発売されました。
女性視点から描かれたオムニバス作品であり、
今は資料的価値の方が強いかもしれませんね。
＜概要＞
ゲームジャンルはノベル系ＡＤＶになります。
最初に4本のストーリーの中から一つを選び、
読み進めていくことになります。
4つの物語は、女子高生が近所のお兄さんに犯されてしまうもの、
天使である女の子が根暗な男の子にHなプレゼントをするもの、
女の子が大好きな木彫り人形でひとりＨをするもの、
女子中学生が将来を妄想するものになります。
＜感想＞
この作品を今プレイして面白いのかと聞かれたら、
間違いなくノーと答えるし、
何も知らない人は本作の長所を探すことさえも難しいかもしれません。
基本的には4本のショートストーリーで、
ほとんどがＨシーンばかりですからね。
ただ、時代背景的なものを理解できる人なら資料的価値を見出せるし、
リアルタイムでプレイした人なら、
その異質な構造に新鮮さを感じながらプレイできたと思うのです。
まずゲームジャンルですが、この当時のＡＤＶは主流がコマンド選択式でした。
87年のアダルトゲームだと、稀にコマンド入力式すら残っていましたし。
当時のユーザーはそれを楽しんだものですが、
次第にコマンドの繰り返しが敬遠されるようになり、
今はコマンドが存在せず、クリックだけで読み進められるノベルゲーが主です。
家庭用ゲーム機でノベルゲーが登場するのは92年ですが、
アダルトゲームではもっと早くから存在しており、
本作もまたその中の一本となります。
つまり本作にはコマンドの類が一切存在せず、
クリック（まだマウスがないので、キーの連打ですが）だけで読み進められるのです。
コマンド選択式を嬉々としてプレイしていた当時の多くのユーザーには、
これは物足りなかったと思うし、
ボリュームの少なさもあって面白いというわけではなかったですが、
少なくともコマンドのないＡＤＶが存在したことの証拠にはなるのでしょう。
また某所で、ＡＤＶは主人公とプレイヤーが不可分な関係にあり、
それが完全に分離したのは98年だという見解がありました。
まぁ、家庭用ゲーム機のＡＤＶに限定するならば、
それも必ずしも誤っていないのかもしれませんけどね。
本作の様な女性視点の、しかも体験談や私生活を語る系の作品ですと、
もう最初からプレイヤーと主人公が完全に分離しており、
プレイするというより完全に主人公の話を読むという構造なんですよね。
古い時代ほど主人公とプレイヤーの不可分性は強く、
80年代のＡＤＶは半ば主人公はプレイヤーの分身であった時代だけに、
本作は周りのＡＤＶに対し異質な存在だったのです。
さらに、大半のＡＤＶというのは1本の物語が収録されています。
まぁ分岐により様々な方向性に分かれるものもありますが、
開始時は一つですよね。
そうしたＡＤＶとは別に、複数の独立した物語を収録した、
いわゆるオムニバス作品というものがあります。
PC98時代は一時期結構流行っていまして、
各社がオムニバス作品を発売していたんですよね。
その流行のきっかけはと聞かれると、
アリスファンでアリス贔屓な私なんかは、
DPSシリーズの名前を挙げちゃうんですけどね。
まぁ、実際、DPSシリーズの発売された89年辺りから少しずつ増えてきたので、
間違ってはいないと思うのですが。
ただ、DPSシリーズが元祖かというと、それは明確に違っているわけで、
87年に発売された本作の方が先なんですね。
オムニバスだから凄いとか、そういうことは全然ないのだけれど、
当時珍しかったことだけは確かと言えるでしょう。
＜総合＞
というわけで、面白いかどうかはさておき、
当時のＡＤＶはこうだというイメージや決め付けが激しい人ほど、
本作の異質さが理解できるのではないでしょうか。
当時のＡＤＶはこうだったけど、
後にそうじゃないのが出てきて～という記載を見る度に、
もう本作が実現しちゃっているじゃんって思ったものです。
そういう意味では、ゲームコラムを書く人には非常に都合の悪い、
存在を無視したくなってしまう作品かもしれませんけどね。
とりあえず本作は、ストーリーとか絵とか、
その作品だけでしか判断しない人には良さが分らないでしょう。
むしろＡＤＶを知り尽くしたようなＡＤＶの変遷を知っている人ほど、
作品の個性や独自性を見出せたし、
資料的価値も見いだせるのかなと思いますね。
ランク：Ｃ（佳作）
関連するタグ PC88 /ADV /ノベル系 /
春ゆきてレトロチカ AMBITIOUS MISSION 蒼の彼方のフォーリズム EXTRA2
- カテゴリ「1987」内の前後の記事
2014-10-03
