NOOCH3 (ヌーク3) ~最後の性戦~
『NOOCH3 (ヌーク3) ~最後の性戦~」は1994年にPC98用として、
ボンびいボンボン!から発売されました。
看板タイトルであるヌークシリーズ3弾にして、最後の作品となります。

バカでスケベな主人公と、IQ180の天才美少女ピリル。
この2人が織り成すドタバタストーリーも本作で3本目であり、
同時に本作が最終章でもあります。
唐突かもしれませんが、美人な女性は好きです。
しかし、タバコ屋だとか駄菓子屋にいて欲しいのは美人ではなく、
優しい感じのお婆ちゃんなんですよね。
若くて美人な女性がいても、違和感があるだけです。
これがお婆ちゃんだと、ホッとするんです。
ファミコンにも一杯ゲームがありました。
80年代の後半、それこそSFCが発売される直前には、
大作・名作ソフトも目白押しでした。
でもね、ふと久しぶりにファミコンを引っ張り出してきて、
そうそうファミコンのゲームってこんなんだよな~って懐かしく思えるのは、
80年代半ばまでの単純なアクションゲームだったりします。
『ドアドア』とか『プーヤン』とか、本当に単純なのにズルズルはまりました。
SFC以後、ゲームは複雑化の道を辿っていきますからね。
FC後期の中途半端に複雑なゲームよりも初期の単純アクションの方が、
「ファミコンらしさ」がある感じがしてね、妙に好きなんですよ。
さて、PC-98では数多くのアダルトゲームが発売されました。
傑作・名作もまた、非常に多く排出されたと思います。
でもね、とんでもない大傑作ってのは、
見方を変えれば規格外な作品ですからね。
時としてその機種らしくないっていう場合もあると思います。
「らしさ」っていうのは、
良い面も悪い面も全部ひっくるめて含んでいてこそではないでしょうか。
異論も多数あるかと思いますが、
私がいかにもPC98のアダルトゲームらしいゲームって聞かれて、
パッと思いつくのが『ヌーク』シリーズなんですよね。
ギルの野望を打ち砕くための二人の大冒険は、
今作では舞台をエジプトに移して進行します。
主人公とピリル、
これにナビゲーター兼アドバイス役の「天の声」も加わり、
3者によって展開されるボケとツッコミは、
飽きさせることなくテンポ良く楽しめます。
魅力的なキャラが多いだけではなく、
次は何がくるのかというハラハラ感もあり、
最後まで楽しくプレイできたものです。
1や2の細かい点に関しては個別の紹介のところに委ねますが、
ストーリーにおける98らしさという観点から書いていきますと、
ヌークシリーズは主人公と天才美少女ピリルのラブコメであり、
冒険活劇でもありました。
スケベで馬鹿な主人公のボケに対しピリルがつっこむ展開は、
いかにもこの時代っぽいノリでした。
また「冒険もの」っていうのも、
当時のアダルトゲームには少なからずありましたが、
WIN以降は減っていったジャンルでもあります。
3とあるようにシリーズ作品が多かったのもPC98らしいし、
1からどんどん進化を遂げていくところも、
成長の著しかったPC98ゲームらしい気がしました。
ナビゲーター兼アドバイス役の「天の声」がときおり入れて来るツッコミも、
古くからのADVに見られるプレイヤーとコンピュターとのやり取りといった、
PC98時代らしい雰囲気を醸し出していましたね。
そもそも、3の副題は「最後の性戦」ですからね。
をいをい、それは許されるのか?
そんな風に一瞬思ったりもしますが、
こういう胡散臭そうな所にも98のアダルトゲームの、
アングラっぽさを感じちゃうんですよね。
ゲームシステムは、基本的にはコマンド選択式ADVになります。
もっとも、必要に応じて場面ごとにコマンドの数が増減しますし、
同じコマンドを意味なく繰り返すといった、
いわゆる総当たり的な煩わしさもなく、
実質的にはノベルゲームに近いような感覚で快適に遊べました。
こうした細やかな配慮は、作品を作る度に進化していった感があります。
ところで、コマンド選択式というのもPC98時代らしいですが、
コマンド選択式とて時代や機種により変遷があります。
ゲーム機のADVや一部の大手ブランドの作品とは異なり、
中小ブランドの作るコマンド選択式ADVは、
ノベルゲーとの違いが判らないくらいに簡略化されていきました。
本作の様なコマンド数が増減するタイプも90年代前半に増えたものであり、
80年代のPCゲーやゲーム機のコマンド選択式とは異なる、
90年代のアダルトゲームのコマンド選択式の一つの特徴と言えるでしょう。
また本作は単なるコマンド選択式ではなく、
途中でダンジョンや謎解きとかもありました。
つまり部分的にRPGのように、
或いは『同級生』のように直接移動させることで画面内を探索させたり、
他にも部分的に画面クリックの要素が加えられていたのです。
こうして加えられた幾つかの要素がゲームの進行に緩急をつけ、
より楽しませてくれたのだと言えるでしょう。
この頃のADVの基本システムを用いつつも、
必要に応じて他のいろんなシステムを用いるちゃんぽんさもまた、
98ゲーらしかったですね。
もちろん、単に98っぽい構造っていうだけでなく、
プレイヤーを常に楽しませようっていう配慮というか、
質が伴っていました。
そもそもストーリー内の場面に応じてシステムを使い分ける姿は、
近年の国産ADVにはあまり見られない姿でもあります。
しかし、システムとストーリーがより一体化することにより、
プレイ中の感情移入や盛り上がり方も格段に増していきます。
そして当然ながら、場面によって相応しいシステムも異なってきます。
だとすれば、ゲーム内でも場面に応じて異なるシステムが用いられ、
或いはアレンジされるべきなのであり、
本作のように場面ごとにアレンジする姿勢は高く評価したいと思うのです。

キャラデザは初代の頃はデッサンに不安定さもあったし、
このブランドの他作品も不安定な時期もありましたが、
本作を含め、この時期の作品は非常に良かったです。
単純に絵柄が好みな所で安定したというのもあるけれど、
エジプトの遺跡のCGなどグラフィックはどれも綺麗でしたし、
部分的に加えられるアニメーションも楽しませてくれました。
その辺からも、進化したなと感じたものです。
探せば他にもいろいろ出てくるかもしれませんが、
何かどこをとって見てみても、98のアダルトゲーっぽく感じちゃって。
もちろん、中には褒められた内容でないものもあります。
ここは改善した方が良かったのにってのもあるでしょう。
でも、そんなところも全部ひっくるめて98っぽいんですよね。
長所だけでなく短所もまた、1つの味には違いないのですから。
だからこのゲームをやると、妙にホッとするんです。
駄菓子屋でお婆ちゃんが待っててくれたような、
ファミコン時代の単純なピコピコ音を久しぶりに聞いたときのような、
そんな充実感があるんですよね。
もっとも、既存の要素がただ集まっただけでは、何ら評価に値しません。
本作はそんな「らしさ」を集合させつつも、
その組み合わせ方に個性を発揮させていましたし、
更にそれぞれの要素を高いレベルにまで引き上げて仕上げた作品でした。
だからこそ凄いと思えるのであり、
これはこれで時代を代表する1本って言って良いのではないかと、
私は思うのです。
本作には、歴史的大傑作と呼べるほどのインパクトはないでしょう。
(1週間前に『闘神都市2』が発売されたのは、ある意味不幸でしたね)
しかし、いかにも98らしい98ゲーという点においては、
どんな傑作ゲームにも勝るとも劣らないのではないでしょうか。
そうした意味も加味しつつ、
模倣から逸脱し随所になされた工夫を評価すると、
本作もまた傑作ソフトと呼べるように思うのです。
まぁ、小難しいことを抜きにすれば、とにかく好きな作品でした。
ランク:AA-(名作)

関連するタグ PC98 /ADV /コマンド選択式 /
春ゆきてレトロチカ AMBITIOUS MISSION 蒼の彼方のフォーリズム EXTRA2
ボンびいボンボン!から発売されました。
看板タイトルであるヌークシリーズ3弾にして、最後の作品となります。

<はじめに>
バカでスケベな主人公と、IQ180の天才美少女ピリル。
この2人が織り成すドタバタストーリーも本作で3本目であり、
同時に本作が最終章でもあります。
唐突かもしれませんが、美人な女性は好きです。
しかし、タバコ屋だとか駄菓子屋にいて欲しいのは美人ではなく、
優しい感じのお婆ちゃんなんですよね。
若くて美人な女性がいても、違和感があるだけです。
これがお婆ちゃんだと、ホッとするんです。
ファミコンにも一杯ゲームがありました。
80年代の後半、それこそSFCが発売される直前には、
大作・名作ソフトも目白押しでした。
でもね、ふと久しぶりにファミコンを引っ張り出してきて、
そうそうファミコンのゲームってこんなんだよな~って懐かしく思えるのは、
80年代半ばまでの単純なアクションゲームだったりします。
『ドアドア』とか『プーヤン』とか、本当に単純なのにズルズルはまりました。
SFC以後、ゲームは複雑化の道を辿っていきますからね。
FC後期の中途半端に複雑なゲームよりも初期の単純アクションの方が、
「ファミコンらしさ」がある感じがしてね、妙に好きなんですよ。
さて、PC-98では数多くのアダルトゲームが発売されました。
傑作・名作もまた、非常に多く排出されたと思います。
でもね、とんでもない大傑作ってのは、
見方を変えれば規格外な作品ですからね。
時としてその機種らしくないっていう場合もあると思います。
「らしさ」っていうのは、
良い面も悪い面も全部ひっくるめて含んでいてこそではないでしょうか。
異論も多数あるかと思いますが、
私がいかにもPC98のアダルトゲームらしいゲームって聞かれて、
パッと思いつくのが『ヌーク』シリーズなんですよね。
<ストーリー>
ギルの野望を打ち砕くための二人の大冒険は、
今作では舞台をエジプトに移して進行します。
主人公とピリル、
これにナビゲーター兼アドバイス役の「天の声」も加わり、
3者によって展開されるボケとツッコミは、
飽きさせることなくテンポ良く楽しめます。
魅力的なキャラが多いだけではなく、
次は何がくるのかというハラハラ感もあり、
最後まで楽しくプレイできたものです。
1や2の細かい点に関しては個別の紹介のところに委ねますが、
ストーリーにおける98らしさという観点から書いていきますと、
ヌークシリーズは主人公と天才美少女ピリルのラブコメであり、
冒険活劇でもありました。
スケベで馬鹿な主人公のボケに対しピリルがつっこむ展開は、
いかにもこの時代っぽいノリでした。
また「冒険もの」っていうのも、
当時のアダルトゲームには少なからずありましたが、
WIN以降は減っていったジャンルでもあります。
3とあるようにシリーズ作品が多かったのもPC98らしいし、
1からどんどん進化を遂げていくところも、
成長の著しかったPC98ゲームらしい気がしました。
ナビゲーター兼アドバイス役の「天の声」がときおり入れて来るツッコミも、
古くからのADVに見られるプレイヤーとコンピュターとのやり取りといった、
PC98時代らしい雰囲気を醸し出していましたね。
そもそも、3の副題は「最後の性戦」ですからね。
をいをい、それは許されるのか?
そんな風に一瞬思ったりもしますが、
こういう胡散臭そうな所にも98のアダルトゲームの、
アングラっぽさを感じちゃうんですよね。
<ゲームデザイン>
ゲームシステムは、基本的にはコマンド選択式ADVになります。
もっとも、必要に応じて場面ごとにコマンドの数が増減しますし、
同じコマンドを意味なく繰り返すといった、
いわゆる総当たり的な煩わしさもなく、
実質的にはノベルゲームに近いような感覚で快適に遊べました。
こうした細やかな配慮は、作品を作る度に進化していった感があります。
ところで、コマンド選択式というのもPC98時代らしいですが、
コマンド選択式とて時代や機種により変遷があります。
ゲーム機のADVや一部の大手ブランドの作品とは異なり、
中小ブランドの作るコマンド選択式ADVは、
ノベルゲーとの違いが判らないくらいに簡略化されていきました。
本作の様なコマンド数が増減するタイプも90年代前半に増えたものであり、
80年代のPCゲーやゲーム機のコマンド選択式とは異なる、
90年代のアダルトゲームのコマンド選択式の一つの特徴と言えるでしょう。
また本作は単なるコマンド選択式ではなく、
途中でダンジョンや謎解きとかもありました。
つまり部分的にRPGのように、
或いは『同級生』のように直接移動させることで画面内を探索させたり、
他にも部分的に画面クリックの要素が加えられていたのです。
こうして加えられた幾つかの要素がゲームの進行に緩急をつけ、
より楽しませてくれたのだと言えるでしょう。
この頃のADVの基本システムを用いつつも、
必要に応じて他のいろんなシステムを用いるちゃんぽんさもまた、
98ゲーらしかったですね。
もちろん、単に98っぽい構造っていうだけでなく、
プレイヤーを常に楽しませようっていう配慮というか、
質が伴っていました。
そもそもストーリー内の場面に応じてシステムを使い分ける姿は、
近年の国産ADVにはあまり見られない姿でもあります。
しかし、システムとストーリーがより一体化することにより、
プレイ中の感情移入や盛り上がり方も格段に増していきます。
そして当然ながら、場面によって相応しいシステムも異なってきます。
だとすれば、ゲーム内でも場面に応じて異なるシステムが用いられ、
或いはアレンジされるべきなのであり、
本作のように場面ごとにアレンジする姿勢は高く評価したいと思うのです。
<グラフィック>

キャラデザは初代の頃はデッサンに不安定さもあったし、
このブランドの他作品も不安定な時期もありましたが、
本作を含め、この時期の作品は非常に良かったです。
単純に絵柄が好みな所で安定したというのもあるけれど、
エジプトの遺跡のCGなどグラフィックはどれも綺麗でしたし、
部分的に加えられるアニメーションも楽しませてくれました。
その辺からも、進化したなと感じたものです。
<感想・総合>
探せば他にもいろいろ出てくるかもしれませんが、
何かどこをとって見てみても、98のアダルトゲーっぽく感じちゃって。
もちろん、中には褒められた内容でないものもあります。
ここは改善した方が良かったのにってのもあるでしょう。
でも、そんなところも全部ひっくるめて98っぽいんですよね。
長所だけでなく短所もまた、1つの味には違いないのですから。
だからこのゲームをやると、妙にホッとするんです。
駄菓子屋でお婆ちゃんが待っててくれたような、
ファミコン時代の単純なピコピコ音を久しぶりに聞いたときのような、
そんな充実感があるんですよね。
もっとも、既存の要素がただ集まっただけでは、何ら評価に値しません。
本作はそんな「らしさ」を集合させつつも、
その組み合わせ方に個性を発揮させていましたし、
更にそれぞれの要素を高いレベルにまで引き上げて仕上げた作品でした。
だからこそ凄いと思えるのであり、
これはこれで時代を代表する1本って言って良いのではないかと、
私は思うのです。
本作には、歴史的大傑作と呼べるほどのインパクトはないでしょう。
(1週間前に『闘神都市2』が発売されたのは、ある意味不幸でしたね)
しかし、いかにも98らしい98ゲーという点においては、
どんな傑作ゲームにも勝るとも劣らないのではないでしょうか。
そうした意味も加味しつつ、
模倣から逸脱し随所になされた工夫を評価すると、
本作もまた傑作ソフトと呼べるように思うのです。
まぁ、小難しいことを抜きにすれば、とにかく好きな作品でした。
ランク:AA-(名作)

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2016-07-27