パソコン美少女ゲーム歴史大全 1982‐2000

パソコン美少女ゲーム歴史大全 1982‐2000

『パソコン美少女ゲーム歴史大全 1982‐2000』

1982年から2000年までのアダルトゲームのほとんどを収録した本で、
2000年に発売されました。

今は絶版で、かなりのプレミアがついているようです。
びっくりしました。

パソコン美少女ゲーム歴史大全1982‐2000

<構成>
1982年から2000年までのゲームを幾つかの区分に分け、
発売年と月、タイトル、ブランドを一覧の形で掲載。

代表的と思われる作品につき、
当時プレイしたプレイヤーの主観でゲームの画像と共に感想を記載。

他、幾つかのコラムも。

<メリット>
まずこの本の制作スタイルに共感がもてます。
10点満点で15年前のゲームの絵を今の基準で判断したら、
どれも1点になってしまうかもしれません。
でも当時の同時期の作品の中で突出して優れていたら、
やっぱりそれは10点なのでしょう。
今のゲームにはまっている人だって、
その絵は10年後には間違いなく陳腐に見えるのです。
じゃあ10年後には無価値だからと言って1点とするのも変な話で、
今の水準で平均を上回るなら、それだけ高い点を付けて然るべきだし、
10年前の絵より綺麗でも今の平均より下な新作は、
低い点が付けられるべきでしょう。
作品の評価は何もリアルタイムでやれとは言いませんが、
少なくとも当時の価値観でなされるべき。
そういう理念に立っているのは非常に好印象です。

次に、おもいっきり主観で書いているので、
当時の楽しかったという気持ちがダイレクトに伝わってきます。
名作と呼ばれる古い作品をプレイしたら、あまり面白くなかった。
そういう経験はありませんか?
当時はどうしてヒットしたのだろう、
その人気の理由は一体どこにあったのか。
リアルタイムでプレイした人がどんな気持ちでプレイしたのか、
その作品の評価された理由を知ることができます。

<デメリット>
意気込みは伝わるものの、複数のライターの主観に委ねすぎ、
ライター間でも認識の違いがあるし、全体の構成がチグハグ。

それと関連して、当時の記憶というのが実はひっかけだったりします。
当時プレイした人の意見なら正しいと思い込みやすいのですが、
その人のプレイ遍歴でも全然変わってきます。
例えば2003年のSNOWを今やるのと当時やるのでは印象が違うでしょう。
でも同じ2003年にプレイした人でも、
kanonやAIRをプレイ済みの人とそうでない人では、
感想は全然違ってくるでしょう。
この場合、プレイ時期よりもどういう経験をしてきたかの方が重要です。
古い例で言えば、カオスエンジェルズを知らない人は、
ドラゴンナイトにはゲーム性が付加されたからヒットしたと分析します。
しかしカオスエンジェルズを知っている人は、
それよりゲーム性の劣るドラゴンナイトが、
ゲーム性を理由にヒットしたとは考えないでしょう。
そうなるとRPGに可愛いヒロインを用意したことなど、
異なった理由を考えるはずです。
細かいすりあわせがないので、
この本から歴史の流れを掴むことはできないのです。

発売が2000年というのがネック。
それより後の作品が載ってないのはもちろんのこと、
2000年を頂点にした価値観で書かれているので、
かなり偏った思想になっています。

完全に主観でストーリーやキャラばかり論じられているため、
ゲームデザイン的視点は完全に欠落しており、
この観点からはまるで役に立ちません。

しかも取り上げられて感想のあるゲームも偏りがあるので、
一見すると流れが掴めそうなのだけど、
これを鵜呑みにするとまるで偏った知識がインプットされるおそれがあり、
むしろ危険性の方が高いと言えます。
以上から、この本では歴史の流れを掴むことは全くできません。

他方でデータベースとして見た場合、
まず後ろの索引の並びがおかしく、非常に使いにくいです。

またデータには漏れている作品もありますし、
逆に複数掲載されていたり、年数が違っていたりする作品もあり、
データベースとしても参考になりません。

<総合>
かなり偏った思考と恣意的な選別がなされており、
間違ってもこの作品で歴史や流れがつかめるとは思わない方が良いでしょう。
その意味では、まるで役に立ちません。
紹介されている作品も限られていますし、
いろんな作品を知る目的にも適していません。
また全体的にストーリー論に偏っているので、
システム的変遷など他の目的でも全く役に立ちません。

更に、データベースとしても使い勝手が悪い上に、
信憑性の点でも非常に疑問が残り、役に立たないでしょう。
この観点では、年数が限られているものの、
『美少女ソフト全カタログ』の方が非常に参考になります。
(美少女ソフト全カタログは掲載作品全ての画像と、
簡単な商品説明がなされています。
通販用のカタログとしての役割も担っていることから、
客観性もかなり担保されています。)
ジャンル別 美少女ソフト全カタログ〈90~97 上巻〉AVG編

もっとも、当時その作品をどういう気持ちでプレイしたのか、
その熱い気持ちやパドスを感じ取るには非常に適した一冊でしょう。
特にPC-88時代や98時代のものは貴重だと思います。
なので、使い方さえ間違わなければ、
読み物としては中々面白い1冊だとは思います。

パソコン美少女ゲーム歴史大全1982‐2000
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