禁断の血族

禁断の血族

『禁断の血族』は1993年にPC98用として、
C’s ware(シーズウェア)から発売されました。

館モノブームの火付け役となった作品であり、
アダルトゲームに過激さを取り戻した、大きな意義のある作品でしたね。

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<概要>


ゲームジャンルはコマンド選択式ADVになります。
いわゆる「館もの」と呼ばれるジャンルが、PC98の後期に流行します。
本作は、その館ものブームの火付け役となった作品であり、
他にも様々な意義を有した作品でした。

あらすじ・・・
両親の死後、主人公・大里健也は女だけの一族、
速見財閥のお屋敷に突如迎えられることになった。
屋敷内唯一の男である主人公をめぐり、姉妹達や未亡人、
メイド・さよりなどの女達に繰り広げられる誘惑に戸惑いつつも、
あなたはこの一族の不可思議な掟にのめり込んでいく…。

因みに、今はDL版で遊ぶのが手っ取り早いですが、
そちらは95年に発売されたWIN用の移植版になります。

<ストーリー>


『禁断の血族』は、とにかく話題になったり売れたという印象が強いですね。
冒頭からとにかくエロいシーンばっかりだったっていうのも大きいけれど、
だからと言って単にエロかったから売れたというだけでは、
説明が足りないわけでして。
そこに時代的なものも加味して考えることで、
より一層価値が理解できるのでしょう。

そもそも91年の沙織事件を受けて92年にソフ倫が発足し、
規制強化の観点から92年頃には、エロの薄い作品が多かったです。
その反動からか、93年になるとエロが濃い作品が登場しヒットするのですが、
本作もその過激路線回帰の一翼を担った作品でした。
つまりアングラな存在としてのアダルトゲームへの回帰、
過激なエロ路線回帰へのキッカケとなった、
ルネサンスの始まりを象徴する作品でもあったのです。

ところで、上記の説明からも分かるように、
本作の他にも過激なエロを重視した作品は幾つかあるわけでして。
じゃあ、その中で何で本作が特別だったのか、
他の過激路線の作品と本作とでは一体どこが違うのか。
それは館モノであったりメイドモノであったりと、
後に1ジャンルを築くような人気を呼べる要素が本作に多く含まれており、
それが大きかったのだと思います。

つまりはまだジャンルとしてハッキリと確立されていなかったものの、
潜在的にユーザーが望んでいたもの、求めていたものが、
本作にしっかりと盛り込まれていたってことなのでしょう。
上記の他にもSM、アナル、スカトロといろんな要素が含まれていたので、
そういった様々な属性の人にも対応できたでしょうしね。

加えてキャラも可愛かったので、
そりゃ話題になるのも分かるってなものです。

まぁ悪く言えばエロだけなので、
ストーリーだけを求める人には向かないでしょうが、
アダルトゲームの一番の肝となるエロでここまで充実していれば、
大抵の人は十分に楽しめると思います。

<サウンド>


ところで、本作は93年のオリジナル版も話題性が高かったのですが、
オリジナル版だけでなく95年のWIN用移植版もかなり話題になりましたので、
そちらの補足もしておいた方が良いのでしょうね。

本作の移植版が話題になり非常に売れたのは、
windowsにいち早く対応した作品で「音声」が追加されたからです。

単純にアダルトゲームにおける音声という点だけならば、
townsのゲームや一部D.O.の作品に慣れた人にはそうでないかもだけど、
アダルトゲームの大半を占めるPC98ユーザーにとっては、
色数が大幅に増えて音声が付いたってだけでも、
非常に衝撃的に映ったんですよね。
win用の初期の移植作品では音声追加が目玉になっていたものですが、
特にエロ目的のゲームでは音声の威力って非常に大きいですからね。
同じゲームでもエロボイスがついただけで、別物にすら感じましたから。
だからあの過激なゲームに音声が付いたとなると、
そこに最初期のWIN対応ゲームという付加価値も加わって、
話題性・売上が高くなったのも当然なのでしょう。

<感想、総合>


初プレイ時の私はあまりアブノーマルなのには詳しくなかったものですから、
いまいち本作の特徴を理解しきれていませんでした。
エロ重視のゲームも、特別好きってわけでもなかったですしね。
しかも本作はボリュームが少なめなので、
尚更あまり良さが分らなかったのです。
だから本作に対する評価も、ずっと低いものでした。

しかし今になって振り返ってみるに、館物であったりメイド物であったりと、
いろんなジャンルの人気の火付け役的な位置付けでもあったりしますからね。
あの属性の元を辿れば本作だよなって感じで。
一般PCゲーでは既にあったとしても、それをアダルトゲーム的に再構成して、
そして他のアダルトゲームに先駆けてやるっていうのも、
これはこれで素晴らしいことだと思うわけでして。
全てはここから派生したと言うと少し言い過ぎになるかもしれないけれど、
数年後に人気になるエロ系の属性のほとんどのものを、
本作は網羅していたのです。

様々な要素を含んだ本作は、狭い視野では把握し切れるものではなく、
視野の広い人ほど楽しめたのでしょう。
プレイから10年以上経ってようやく、
私は本作の本当の価値を理解できたように思います。
その点での価値を評価して、総合ではギリギリ名作としておきます。

当時はね、あまり気にしてなかったんですけどね。
最近のゲームは人気や好みのジャンルや属性があって、
それに合わせてユーザーが納得するような物を作るって作品ばかりです。
もちろん、それはそれで大事なことではあると思います。
何より、こちらは安心してゲームが買えますしね。
でも、それだけに今のゲームには、
何が出てくるか分からないっていうワクワク感や、
期待感が持てないわけでして。
この頃のゲームはいろいろと転換期が来ていたってのもありますが、
新しい何かを作ってやろう、
人気のジャンルや属性は自分で作ってやろうって姿勢の見えるゲームが、
幾つもあったように思います。
いや、こう書くと少し誤解を招きかねないですが、
少なくとも当時は単に「~系」とか、
「~重視」って枠でおさめることのできない、
様々な要素の絡み合った1つの作品が作られていたように思います。
だから簡単にどういうゲームかって説明しにくいものも、
結構あったりするのです。
まぁ、それらの作品全てが必ずしも成功に繋がるわけではないのですが、
そんな作品には少なくともワクワク感だけはあったように思います。
本作もその1つであって、中身の出来自体は物足りない面も多かったですが、
新鮮な魅力の原石が幾つも詰まっていました。
良い面でも悪い面でも実に93年のゲームらしい内容であり、
93年を象徴する作品ではあったのでしょう。
こういう姿勢は今のゲームに最も欠けているものであって、
それ故に余計にも貴重に思えてくるのですよ。

当時でも完成度の面では不満もありましたし、それは今だと尚更なのですが、
何分にも資料的価値の大きい作品ですし、
PC98中期の93年を象徴する1本であることは間違いありません。
なのでそういうことに興味のある人ならば、
絶対知っておくべき作品の1つだと思いますね。

ランク:A-(名作)

禁断の血族

DL版
禁断

関連するタグ PC98 /ADV /コマンド選択式 /


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レビューを見てとても共感しました^^

ありがとうございます。
このゲームがヒットした要因を分析することで作品の魅力が初めて理解できたように思います。
目に見えているはずのものでも、気付かなければ見えていないのと同じなわけで、そのことに気付かせてもらったという意味で、とても印象深い作品でした。

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