アダルトゲームの歴史 1994年 その1

アダルトゲームの歴史 1994年 その1

アダルトゲームの歴史を振り返るシリーズの第25弾ということで、
1994年の1回目になります。

発売タイトル数は180本前後になり、更に増えていますね。

前年の93年は激動の年であり、様々な方面で飛躍的な進化を遂げました。他方で1作品1個性のようにある部分についてはどこにも負けないけれど、同時にそれ以外の他の部分の弱さも有している、総合的な完成度の低さも残していた作品も多かったです。
94年は93年ほど新しい要素は出てこないのですが、弱かった部分を補ったり複数の強みを備える事でゲームの完成度を高めていった年だったように思います。

さて、元々家庭用ゲーム機でゲームをやってました、でもwindows95が出たのでエロゲに手を出してみましたって人が増え始めると家庭用ゲームとの比較とか影響とか語りだす人が増えるのですが、そんなものを持ち出すでもなく、アダルトゲームに一番近い位置にあるのはPCの一般ゲームなのでしょう。PCの一般ゲームにはストイックにゲーム性を追求するものもありますが、脱がないだけで美少女が登場するゲームやストーリーで楽しめるものもありますからね。そこから学べることは一杯あるわけです。

いわゆる育成ゲームというジャンルがありますが、アダルトゲームでは89年に育成ADVが登場しました。ハート電子の育成三部作は『ぶりんぐ・あっぷ』や『優子物語』の時点では見た目的には育成SLGではあるものの、目的・設計思想の面で育成SLGと言えるか微妙なラインにありましたが、91年の『ボクサーメーカー』は設計思想の面においても育成SLGと言える内容になっていました。しかしこれは1社だけの動きであり、アダルトゲームにおける育成SLGは一時断絶に近い状態になっていました。
その一方、一般PCゲームでは『プリンセスメーカー』(1991)『卒業』(1992)『プリンセスメーカー2』(1993)と立て続けに大ヒット作を生み、他にも多数の育成SLGが作られました。可愛い女の子を対象にすることが多い育成SLGはアダルトゲームに転用することは容易ですし、相性も良いでしょう。そのPCの一般ゲームにおける流行がアダルトゲームに影響してくるのは時間の問題だったように思います。
世間で『プリンセスメーカー2』がかなり支持されたこととPCの性能が向上し制作もしやすくなったからか、94年にはアダルトゲームにも育成SLGが増えていきます。代表作は花の精を育てる『サティア』や『亜美~風立ちぬ』などが挙げられるでしょうか。これまでSLGというと戦術系のSLGが大半だっただけに、半数近くに及ぶSLGが育成SLGとして登場したことは、アダルトゲームの中に限ってみれば大きな変化と言えるでしょう。

一般ゲームの影響…とこちらは言い切れるか微妙な部分もあるのですが、今度はRPGについてです。80年代のRPG、そして90年代に入ってからも前年までのRPGは、主人公の目的は世界を救うものだとほぼ断言して構わないほどのレベルにありました。キャラを自ら作ってストイックに戦闘・育成を繰り返す80年代半ばまでに、ストーリーを重視する方向に移りつつある90年代にとゲームの方向性は変わってきているものの、主人公の担う役割や目的は大体同じだったのです。
そんな中で、94年3月に『白き魔女 英雄伝説3』が発売されます。ガガーブトリロジーの1作目にあたるこのゲームでは、主人公は英雄でも何でもなく、普通の少年少女にすぎません。冒険の目的も世界を救うとかではなく、世界を巡礼する旅に出るだけです。
しかしそのストーリーの良さで大ヒットし、日本ファルコムの代表作になりました。このゲームはユーザーにも大きな影響を与えましたが、それ以上にむしろクリエイターたちの方に大きく影響を与えたと良く聞きます。その辺りの細かい部分の検証は詳しい方に委ねますが、何れにしろ世界を救うとか魔王を倒すといった内容以外のRPGもありうるのだと、広く世間に印象付けたわけですね。
アダルトゲーム以外のRPGという観点からは、一般的になされている上記の説明は非常にしっくりくると思います。ただ、アダルトゲームの場合は90年頃から既に現代学園モノとかもありましたので、必ずしも「RPGの主人公は世界を救うもの」という見えない縛りには束縛されていなかったように思います。とは言え、やっぱりファンタジーモノだと世界を救え的な印象は拭えないのかなとも思えるわけで、ここは捉え方で変わってくるのでしょう。
そんな中で94年にもアダルトゲームのRPGがいろいろ発売されるのですが、たぶんRPGの名作として語られることの多い作品が一番多いのは、この94年ではないでしょうか。『ミラージュ2』のような従来の路線の延長上のゲームもあるのですが、例えば『闘神都市2』では基本的な設定は前作から変わらないものの、主人公が弱い立場になり主人公の成長モノとしての側面が強くなっています。他にも『ウェディングエラントリー 逆玉王』の目的はヒロインの花婿になることであり、『クリスタルリナール』では異世界に紛れ込んでしまった主人公らが、途中で拉致されたヒロインを取り戻して自分の世界に帰ることが目的になります。何れもファンタジー世界を舞台にしているものの、世界を救うというのは当初の目的には含まれません。そしてこれらに共通するのが、成長モノであるということです。『闘神都市2』は上記の通りですし、『逆玉王』の主人公もデブの落ちこぼれが一念発起し成長していくものですし、『クリスタルリナール』も主人公は現代の何の変哲もない一学生が異世界に飛ばされたにずぎず、開始直後は非力な凡人にすぎません。『白き魔女』からの影響の有無は定かではないですが、少なくともファンタジーモノなのに世界を救うというような目的がなかったり、勇者ではなく弱い立場の主人公が成長していく路線のゲームが増えていった時期と言うことはできるのでしょう。
上記の3作は何れも成長モノとしてストーリーが良かったことから高評価を得たゲームでした。今なら成長モノでも何でもノベルにされてしまいますが、当時は成長モノなら主人公を成長させるRPGと相性が良いだろうってことで、RPGが選ばれたというケースもありました。これはRPGに限らずADVでも何でも該当するわけで、名作とされるゲームの多くはそのストーリーに適したゲームデザインがなされています。前年までは技術的な限界の面で制約もなされ偏りも生じたりしましたが、PC-98も末期になってくると、各社が自分のゲームに適した形にシステムをアレンジしたり、システムを併用するようになっていきます。具体例に関しては、またADVのところで扱っていきますので、少し後回しにします。

もう1点だけRPGの部分で補足しますと、あまりこれまでRPGのシステム面に触れてこなかったのは、基本的に一般PCゲームやコンシューマーのRPGからの流用に近い感じで、特に新しい部分がなかったからです。もちろん年々完成度は高まっているし、ストーリー面など別の要素によって名作・傑作と呼べるゲームは幾つもあるのですが、システム部分に限ってはあまり独自の要素がなかったということですね。
その独自性という観点からユニークと言えたのが『逆玉王』でした。ダイエットRPGとも呼ばれましたが、メタボの主人公は動かないとカロリーを消費しないので太ってしまい、鎧が着れなくなってしまいます。かと言って食べないと力が出ないので攻撃力は落ちますし、動けなくなってしまいます。食べた内容でも攻撃力が変わるくらいですし。お腹がすかない程度に太らない程度に食べるという、カロリー管理がレベル以上に重要なゲームであり、独自のユニークな特徴と言えました。

次にADVをみていきますが、文字数の関係で一部のみになりそうですね。
さて、92年に『同級生』が大ヒットしたのですが、『同級生』を連想させるようなゲームが出始めてきたのが94年でした。
形式的に一番近いのは『高校教師 聖エリカ女学院編』なのでしょう。画面クリックの要素やナンパものである点は共通しているのですが、移動は直接移動させるタイプでなくマップ上から選択するタイプになっています。また移動できる場所も大幅に減らされています。更にゲームの対象期間は伸びたのですが、細かい時間の概念がなくなったり全ての面で簡素化された構造でした。
他方で画面クリックはなくして、逆に時間経過を残したのが『高見沢恭介 熱血!!教育研修』でした。ただここら辺は『同級生』から特に何かが進化したわけでもなく、むしろ中途半端にいろいろ真似ようとして、結局あまり上手くいかなかったのかなと。
そのストーリーに適したシステムは作品ごとにことなるのだと、何かに絞ったゲームの方が意図が見えやすくて良かったように思います。その観点から早く方向性が見えたのが、画面上から直接移動させるタイプのADVになるのでしょう。『コンサート』は主人公がバンドのリーダーとして仲間を探すために街の中を奔走し、その後メジャーデビューを目指すことになります。探すために動き回る点や、バンドの演奏を空間的にも表現するなど、キャラを全部画面に表示させる手法にマッチしていました。
この移動式のADVとして高評価を得たのが『不揃いのレモン』で、妹の失踪事件を探るべく用務員として女子校に潜入し…って内容でした。探索要素や動き回ることがストーリーの内容に含まれている場合には、こういう手法も有効に使いやすかったのでしょうね。
複合系のゲームになってしまいますが、例えば『ヌーク3』は基本的にはコマンド選択式のADVになります。もっともコマンド選択の繰り返しは苦痛だろうということで、コマンド数はその場に必要なものだけが表示される増減タイプになっています。そのため、通常部分の進行に関してはノベルゲームに近い感覚になっています。一方で、昔ながらの入力式や選択式の持つ言葉のキャッチボール的構造のような掛け合いの良さも考慮し、天の声システムとして随時ツッコミやサポートもしてきます。また冒険要素もあることから、動き回るシーンでは移動式として実際に動かすことになり、部分的にこれを探し出せという場面ではP&C式として画面をクリックして探すことになります。1つの形にこだわるのではなく、その場に合わせて上手くシステムを切り替えていたのです。

途中ですが、文字数の関係で今回はここまでにします。

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