90年代のADVの話 その7

90年代のADVの話 その7

前回からの続きとなりますが、プレイヤーの介入できるインタラクティブな世界の構築が第一であり、その世界を効果的に見せリアリティを持たせるようにするためにムービーや音声を融合させていくというのが、スパークスやアップルトンの基本的な姿勢だったように思います。
そういう意味ではムービーありきの一般的なインタラクティブムービーとは根本的な姿勢が異なっているんですね。

かような根本的な姿勢の面では2人は似ているのですが、世界を表現することについてスパークスはもうADVであることのこだわりを捨てています。必要とあらば何でも取り入れるのですが、それがRPGやSLGといった非アクション系の要素が多かったのが特徴と言えるでしょうか。トータルディストーションでは世界観の表現以上に音と映像の融合方法に関心が移っていったこともあり、SLG的色彩が色濃く表れているのです。

それと比べると、アップルトンはDUSTや、次の作品である『タイタニック』ではADVという枠組みの中で何ができるのかという方向性を選んでおり、その点でスパークスと異なるのでしょう。
タイタニックは文字通りタイタニック号を舞台にしたゲームなのですが、このゲームでは時間の概念も取り入れられていますし、全体的にDUSTよりもインタラクティブ性が増しています。

スパークスが音と映像の融合方法にこだわり、トータルディストーション以後はゲームであることからも離れてしまうように、アップルトンもタイタニック以後変化を見せます。
もとからインタラクティブ性を強めリアルタイムな判断を重視する方向性に傾きつつあったのですが、それでもタイタニックまではADVの範疇に含まれていたんですけどね。
次の作品からは更にそうした姿勢が強まったらしく、完全にアクションADVになったとのこと。
個人的にアクション系は守備範囲外ということもあり、未プレイゆえに詳しく知らないのですが、そっち方面に進んでしまったみたいですね。
個人的にはアクション性を要求しない中でのリアルタイム性の追求をし続けてもらいたかったので、安易な方向に進んでしまったかなと思ってしまいますけどね。まぁそれも一つの選択なのでしょう。

ADVの観点からは以上なのですが、近年はGTA系に見られるようなオープンワールドのゲームが増えています。特に海外のゲームに多いですね。
その中で、少し前に西部劇を舞台にしたオープンワールドのゲームが出ました。アクションADVは守備範囲外ということで結局未プレイに終わったのですが、製作者のインタビューの中で昔面白い西部劇のゲームがあってという話が出てきて、タイトル名は載っていなかったのですが、それがおそらくDUSTを指しているようなんですね。
あちらはRPGにしても自由度重視ですし、アクションADV的な側面からはアローンインザダークの流れを無視できないものがあるのですが、今日のオープンワールドの流れには、アップルトン的な視点も少なからず影響しているのだなと、記事を読んでいて思ったものです。いろんなタイプのゲームがあり、それらからちょっとずつ影響を受けて今日の洋ゲーがあるということなのでしょう。
ゲームについて語る場合、昔から1本の偉大なゲームの名を挙げて、そこから影響を受けたとか派生したみたいに書かれるものが多いです。昔はそれに大して違和感がなかったのだけれど、今は違和感を覚えることの方が多いわけでして。無から革新的で偉大なゲームが生まれそこから派生するのではなく、いろんな個性を持った作品があり、それらの良い面を集めつつそこにちょこっとだけ新しい側面を混ぜることに成功した物が偉大なゲームとなるのでしょう。
少なくとも、ADV関連に関してはそう思うのです。

関連するタグ 


月影のシミュラクル   緋のない所に烟は立たない  いつまでも僕だけのママのままでいて
カテゴリ「コラム」内の前後の記事





管理者にだけ表示を許可する

トラックバック http://advgamer.blog.fc2.com/tb.php/914-46ad7a21
| ホームへ戻る |