Voyeur

Voyeur

『Voyeur』は1993年にCD-i用として、
Philips Interactive Mediaから発売されました。

Voyeurとは日本語にすれば「出歯亀」といった意味になるそうですが、
その名の通り覗きに特化したゲームでした。
それと同時に、CD-ROMの可能性をも追求した作品でしたね。

voyeur02.jpg

<前置き>


さて、覗き、或いは盗撮に特化した作品としては、
古くは86年の『ザ・ピーピング』なんかもあります。
でも、あれは被写体の動きに連続性がありませんでした。
もちろん「場面」を撮る盗撮であればそれでも構わないのかもしれませんが、
覗きというのは離れた側にある他人の私生活を覗き込むものなのです。
普段は表には出てこない裏の姿や真の姿を垣間見るというそのドラマ性、
つまりは「流れ」が必要なのだと思います。

部分的に覗き要素がある作品はそれ以後もあったのかもしれませんが、
次に私が衝撃を受けたのは『ナイトトラップ』でした。
ナイトトラップは、本来は覗きを目的としたゲームではありません。
8つのディスプレイを次々に切り替えていくザッピングを行いながら、
敵の進入を防ぐというのが主たる目的のゲームでしたからね。
ナイトトラップは全ての映像が音声付の動画で成り立っており、
画面に映る映像が常に動いていた作品でした。
そこでは登場人物らの私生活が映し出されていたわけで、
中にはあられもない姿になる女性もいたんですね。
だからザッピングさせるという本来の楽しさとは別に、
そういう女の子らの動きをこっそり眺めて楽しむという、
覗きゲーとしての面白さも兼ね備えていたのです。

このナイトトラップはCDを用いたことで動画と音声の使用が可能になり、
それで実現することができた作品でした。
CD-ROMの登場はADVに大きな変革をもたらし、
FMV(Full Motion Video)或いはインタラクティブムービーという、
新たなジャンルも生まれました。
もっとも単純に動画と音声を垂れ流したのでは、映画との違いが出てきません。
細かい部分は本作とは関係ないのでこれ以上はここでは触れませんが、
CD-ROMのゲーム的な用い方の模索というのは、
90年代前半から半ばにかけての海外のADVの大きな課題でもあったのでしょう。
この辺は調べれば調べるほど面白い分野でもあります。

とりあえず本作に関して言うならば、
インタラクティブムービー全般に共通する部分、
即ち「映像をずっと眺めつつたまにプレイヤーが介入する行動」と、
本作の機材を用意して覗き行為を行うという動作には、
非常に似通った部分があるように思います。
ストーリーとシステムの一致というのは私が大事にする部分でもありますが、
FMV系のADVと覗きというこの両者は、基本的に相性が良いと思うのです。
Voyeurはそんなところに目をつけた意欲作だったわけですね。

前置きが長くなりましたが、Voyeurは1993年にCD-i用として発売されたそうです。
もっとも私はそちらはよく知りませんので、
翌94年にMACとかでも出たのでそれで知った形になります。
尚、日本語版の発売はなかったので、英語版のみとなります。

<ストーリー>


ストーリーとしては、主人公は隣家の覗きの常習者なのですが、
その隣人が次期大統領候補として立候補することになります。
そして主人公に隣人を失脚させるような犯罪の証拠を盗撮するようにと、
依頼がやってきます。
つまりプレイヤーは期間内に証拠となる映像を撮影するのが、
ゲームの目的となるわけです。

とはいうものの、隣家にはおっさんだけでなく、
綺麗なお姉さん方もいるわけでして。
しかもやたらと脱ぎたがりますし。
メインの本来の目的を進めるよりも、
むしろお姉さん方の私生活を覗き見る方が楽しかったりで、
いろんな楽しみ方のできる内容でした。

<ゲームデザイン>


ゲームはインタラクティブムービーということで、
基本的には映像を見るのが主となりますね。
まずプレイヤーは家の中のどの部分を見るかを選ぶことになりますが、
たまにはビデオのバッテリー交換もしなければなりません。
状況は刻一刻と変化しますし、
時間制限もあるのでのんびりもしていられません。
どのタイミングでどこを覗くのか、
時には隣家の人に協力を頼むこともできますし、
意外と考えることも多いです。

このゲームは題材が題材だけに、どうしても人を選ぶでしょう。
また従来のADVのようなじっくりテキストを読むものでもないから、
そういう点でも人を選ぶのも確かでしょう。
しかしCD-ROMという媒体を最大限に活かした意欲作であり、
トータル的なゲームデザインはかなり秀逸なように思います。
なるほど、こういうゲームもあるのかと示してくれた点では、
非常にインパクトのあるゲームでしたね。

<総合>


まぁ、他人の生活を覗くゲームというのは、
あまり大ヒットされても、それはそれでかえって困惑してしまいますけどね。
細々と日陰の存在である方が似合っています。
でも、決して需要がないとは思わないのですよ。
手法やシステムは少しずつ異なっているものの、
後にアダルトゲームでは守り神さまであるとか、
ゲーム機ではルーマニアシリーズなんかが出てきて支持されていますしね。
Voyeurからはかなり遅れての発売ではありますが、
動きを伴った流れのある覗きの楽しさということで、
ルーマニアシリーズのヒットには、
あぁようやく日本でもこういう時代が来たのかと、
ホッと(?)したものでした。

ランク:A(名作)


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