アダルトゲームの歴史 1993年 その1

アダルトゲームの歴史 1993年 その1

アダルトゲームの歴史を振り返るシリーズの第21弾ということで、
1993年の1回目になります。

1993年に発売されたアダルトゲームは170本前後あるようです。

アダルトゲーム市場最大の危機から始まった92年は、最大の話題作の発売をもって終わりました。非常にインパクトのあった92年の翌年である93年は、PCそのものという外部事情も相まって更なる変化を遂げていくことになります。

さて、簡単にPC-98と書いてしまっているものの、当然単一の機種ではなく、年々進化していっています。それがPCと家庭用ゲーム機の違いでもあるわけですしね。93年はPC業界全体が動き出した時期でもあり、例えばこれまでの98シリーズのマシンは「98FELLOW」シリーズになり、メモリー・グラフィック・サウンド等を強化した「98MATE」シリーズが新たに登場しました。WIN3.1が登場したのもこの年ですし、CPUではペンティアムが登場した年でもありました。WIN3.1とか中にはアダルトゲームの進化にはあまり関係ないものもあるのですが、進化に貢献しているものもあるわけです。そしておそらくユーザーに一番密着した問題だったのが、ハードディスクの問題なのではないでしょうか。
今ではハードディスクにゲームをインストールしてプレイするのが当り前ですが、昔はPCにハードディスクがなかったり、別売でハードディスクを増設するにしても非常に高価で中々手がでなかったのです。1Mが1万円と言われたような、今からだと信じられないような時代だったんですよね。だからハードディスクを買ってインストールすれば快適にプレイできるとは知りつつも、そのままフロッピーディスクを交換しながらプレイしていたわけです。あまりディスク交換をしているとディスクが弱ってきますから、いかにディスク交換せずに進めるかにこだわって攻略した人もいたくらいですし。とは言いつつ、お好みのエロシーンの入ったディスクは使用頻度が高くなってそれだけぼろくなっていたりで、ディスクを見ればその人の性癖までも分かるという、あれはあれであの頃ならではの光景と言えるのかもしれません。
何れにしろ、それがこれまでの普通の状況だったのですが、アリスの『ランス4』がハードディスク専用で発売され、プレイするためにはハードディスクが必須となってしまいました。『ランス4』に合わせて初めてハードディスクを買ったという人も結構いたはずです。今はPC自体安くなっている上に、洋ゲーに関しては今でもこまめにグラボを変えたりする必要があるものの、アダルトゲームオンリーならば一度買えば結構長い間プレイできます。しかし当時はアダルトゲームであってもPCの強化が迫られることが度々あったのです。っていうか、アリスのゲームに合わせてPCを買い換えたって話はよく聞きますからね。アリスはユーザーフレンドリーということで非常に有名だったのですが、次から次と新しいものを要求し、ユーザーの懐には優しくありませんでしたから。
そういうわけで、それ以後ハードディスク専用というゲームが次第に増え始めることになり、ボリュームが増えグラフィック等さまざまな面でも飛躍的に進化していくことになるのです。いつの時代もハードの性能が上がるとそうなのですが、容量の増加とグラフィックの向上は一番分かりやすい変化なんですよね。アリスなんかは90年代前半までは抜群にCGの塗りが良いとまでは思えなかったのですが、『ランス4』の時には一気に綺麗になった感じがしましたし。

せっかくですから今回はグラフィック面から見ていきますが、グラフィックの表現方法にもいろいろあり、やれることが増えるといろんなものが出てきます。そしてゼロ年代前半にCGの拡大縮小の技法が使われだすように、その時々で演出方法にも流行り廃りがあるのです。そしてこの当時に流行っていたのが、画面のスクロールでした。
以前にも書いたように、基本的にPC-98のアダルトゲームのCGは枠で覆われているものが多く、画面全体に占める割合が今よりも少なめな傾向になっていました。そんな中で、より迫力のあるCGをということで枠をとっぱらったり、更には全画面でCGを表示するゲームも登場しました。
ここまでなら十分に理解できるのですが、その拡大志向はそこでとどまらなかったわけで、2画面スクロール(『バンパイアハイすく~る』など)や3画面スクロール(『Lua』など)のゲームが出てきました。2画面スクロールというのは、CGが画面の2画面分あるということで、スクロールしなければ全部見られないのです。そして当時のアダルトゲームの中には、この何画面スクロールかを競う風潮さえあったのです。
極めつけは『Shinc』(リビドー)の3200ラインで、1画面が400ラインですから、つまりは8画面スクロールのCGが用意され、全部つなげるとキャラが等身大になるというゲームまで出てきたのです。大迫力のCGと言われてしまえば、なるほどそうかもと思ってしまうかもしれませんし、実際ある程度のスクロールくらいなら迫力が増したように感じられました。しかしスクロール数が増えれば増えるほど、画面中に脚だけみたいな感じで一度に体の一部しか表示されませんし、あまり抜き目的には適さないように思い、個人的には好きではありませんでした。しかしこういう風潮があった以上、少なくともそれなりの需要があったということなのでしょう。

グラフィックの表現方法で面白いなと思ったのは、1つは『ぷろすちゅーでんとG』でした。これは画面下部のテキスト欄でテキストアニメーションを頻繁に用いていたのです。こんなゲームは今までなかったし、今ならネットでAA(アスキー・アート)とか常識になっていますが、当時はそんなものも知らなかっただけに、非常にインパクトがありましたね。

他には、赤と青のステレオグラフィックで描かれた『透明人間 あらわるあらわる』も珍しかったですね。昔3D映画が流行った時期があって、レンズ部分にそれぞれ赤と青のフィルターが貼られているメガネで見ると、画面が飛び出して見えたのです。その手法をアダルトゲームに用いたわけですね。おそらく『四次元少女リディア』(1984、チャンピオンソフト)以来ではないでしょうか。
幸か不幸か全てのグラフィックではなく、専らHシーンで用いられており、つまりは飛び出す立体のエロシーンってわけです。技術が進化してあと10年くらい経ったら、もしかしたら飛び出す3Dエロゲーも増えているかもしれないでしょうが、とりあえず今これを書いている時点では非常に貴重なゲームと言えるのではないでしょうか。

この2本はちょっと特殊な例すぎる気もしますが、もっと正攻法ということでソニアの『VIPER-V6』を挙げておきましょう。これまでにも、立ち絵や背景など画面内の構成物が動く事に対して、アニメーションを用いてという表現は使われてきました。この手法自体は80年代からあるのですが、やっぱりTVアニメとは異なりますよね。そこでTVアニメのような動画を追求する路線も生まれはじめ、その代表格がソニアのVIPERシリーズだったのです。こういう路線を進むブランドって、少数ながらも続いているわけでして。今ならオーバーフローが該当するのでしょうが、90年代後半からゼロ年代前半なら海月製作所(後のジェリーフィッシュ)が代表的でしたし、その更に前の90年代中盤から後半にかけての時期がソニアだったということですね。

またパソコミックと称された『パープルCAT』シリーズは、CGに直接吹き出しがつき、漫画を読むような感じで進行しました。ゼロ年代に入るとLittlewitchの『白詰草話』なども登場しますが、こういう系統は数こそ少ないものの、忘れた頃に出てくる感じです。

さて、グラフィック関連では他にも『きゃんきゃんバニー5 エクストラ』のキャラが可愛かったとか『NOVA』『ハートヒートガールズ』をはじめCAT'PROの絵が綺麗だったとか、『マージナルストーリーズ』の絵がグロかったとか、『禁断の血族』の絵がエロかったとかあるのですが、一番外せないのが『あゆみちゃん物語』なのでしょう。

ただ、量の関係で『あゆみちゃん物語』については次回扱いにします。

なので先にサウンド面に関して書いておきますが、93年になるとMIDI音源に対応したゲームが増えてきました。MIDI音源は高価なわりに、なくてもPCにあるFM音源で音は聞けることから、必須なものでもなかったのです。だから最後まで標準と言い切れるほどには普及しなかったように思うのですが、一部の音にこだわる人が満足できる環境・時代が次第に整ってきた年でもあったわけですね。

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