90年代のADVの話 その4

90年代のADVの話 その4

軽いおさらいということで、前回書いたのはジョー・スパークスらがインタラクティブムービーと呼ばれるジャンルのゲームを作りあげたこと。
今日使われている意味合いと少し異なり、この頃のイナタラクティブムービーにはヴァーチャルリアリティや仮想空間を作るということも内容に含まれていたこと。
その後、ジョー・スパークスがトータルディストーションを作ったことというところでしょうか。

さて、前回の続きとなるのですが、その前にもう一度原点に立ち返る必要があるのかなと。インタラクティブムービーが映像やサウンドを主とする点やヴァーチャルリアリティにこだわるというのは確かに大きな特徴なのですが、それだけが全てではないわけでして。これらの面は主にプレイヤーにも見える部分の共有できるものでもあるのですが、プレイヤーに見えない裏の部分もあるってことですね。
そういや今は死語となったのかまったく言葉自体を耳にすることがなくなったのですが、一時期はどこに行っても「マルチメディア」という言葉が氾濫していた時期もありました。何だか分かったような分からないような言葉でもあり、言葉とそのイメージだけが先行していた気もするのですけど。
言葉としては本来は複数の種類の情報をまとめて扱うということらしいですが、多くの場合は映像と音楽の融合という方向で扱われていたように思います。
マルチメディアという言葉とCD-ROMの普及とインタラクティブムービーの発展は切っても切れないくらいに連動しているわけで、映像と音楽を如何に連動させて表現させられるのかが、当時の大きな課題だったように思います。

オーサリングツールとはプログラムを書かずにソフトウェアを作るためのアプリケーションソフトを指しますが、マルチメディアオーサリングツールの元祖と呼ばれるのがアップル社のビル・アトキンソンによるハイパーカードで、ハイパーカードはMacintoshの標準であったハイパーテキストを作成するツールでした。
ハイパーテキストは複数のテキストを関連付ける仕組みということで正確に説明しようとすると長くなるのかもしれませんが、ぶっちゃけ単純に言ってしまえばネットで皆が利用しているものです。画面上の絵やテキストをクリックしたら次の画像に切り替わるってやつですね。

このハイパーカードやハイパーテキストを用いて『マンホール』を作ったのがCyan社を設立したミラー兄弟で、93年に『MYST』を作って世界中で大ヒットします。MYSTは2002年にシムズに抜かれるまでPCで最も売れたゲームらしいですが、MYSTの系統に関してはまた今度ということで。
まぁ関係ないけれど、MYSTというかADVファンとしては、MYSTを知らない人が増え始めていることは少し寂しくも思ったりも。アダルトゲームがどれだけ売れても、所詮はMYSTの100分の1しか売れていないんですけどね。
ADVが好きであればプレイはしたことがなかったにしても、最低限MYSTという名前だけは絶対に耳にするはずと思っていたのですが、アダルトゲームのADVは数多く知っているのにMYSTは知らないとかって言われると、ADVでなく2次元のキャラに興味があるだけなんだなと思ってしまいます。

ミラー兄弟はCyan社でハイパーカード・ハイパーテキストをオーサリングツールに用いたのですが、オーサリングツールは他にもあります。
現在のオーサリングツールとしてはAdobe Systems社のDirectorやFlashが代表的な物となるのでしょうが、もともとはMacromedia社が開発・販売をしていて、当初はMacromedia DirectorやMacromedia Flashって呼ばれていました。Adobe Systems社がMacromedia社を買収したので、以後は名前が代わったのです。
ジョー・スパークスらのリアクター社はそのMacromedia Directorをオーサリングツールとして選び、まずはヴァーチャルヴァレリーを制作しました。そしてその後にスペースシップワーロックを制作したわけですね。
この成功が大きかったわけで、Macromedia Directorの有用性を一気に世界中に知らしめると共に、マルチメディアの可能性を一気に広げていったわけです。

たまに「~というゲームは後のクリエイターに影響を与えた」とかいう論調をみかけますが、どうもそういう文章の多くに私は引っかかりを感じてしまうわけでして。論者の好きなゲームに全てを関連付けたいがための強引な展開が多いように思うのです。そういう傾向が特に強いのがWIN95以降のアダルトゲームの世界であり、だから私自身が他人から見れば十分にオタクだろって位置にいながらも、いわゆるオタクの人と一歩距離を取ってしまう結果につながるんですけどね。まぁ今回の話とは関係ないことかもしれませんけれど。
ただ、このMacromedia Directorの有用性を示したこととそれによりマルチメディアの可能性が広がったことは後のクリエイターに大きな影響を及ぼした最たるものであり、スペースシップワーロックはユーザーへの影響というよりも、むしろ制作側の制作方法に及ぼした影響の方が大きかったように思うのです。

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