アダルトゲームの歴史 1991年 その1

アダルトゲームの歴史 1991年 その1

アダルトゲームの歴史を振り返るシリーズの第13弾ということで、今回は1991年の1回目になります。

1991年に発売されたアダルトゲームは未確認ではあるものの、120本前後はあるようです。前年より更に増え、遂に100本を超えてきました。

前年の90年はPC-88とPC-98の並存した時期であり、PC-98の性能を活かしたゲームを作るところも出始めました。他方で両方に対応したゲームも多かったですし、基本的にはまだPC-88の時代だったと言えるのでしょう。感覚的にはWIN95が出てきたけど主流はPC-98だった96年が近いのかもしれません。91年はPC-98にほぼ移行が完了し、いわゆるPC-98の時代というのはここから始まるように思います。

さて、だんだん集計するのも面倒になってきますが、まだこの辺なら可能な範囲ってことで頑張って内訳を見てみますと、ディスクマガジン系を除いたADVの数は40~50の間くらい。3分の1強ってところでしょうか。ジャンル単体としては最多なのですが、昨年同様アダルトゲーム全体の中ではADVの比率が少ない時期になります。
RPGは20本強で、比率の面では昨年より大きく減ったかもしれませんが、単純な数自体は横ばいとも言える微減状態ですので、相変わらずアダルトゲーム全体を考えれば多めです。
そしてその他が残りの約半数近くになります。約半数もある残りその他って何だよって思う方もいるかもしれませんが、SLGにACT、この年はパズルゲームやクイズゲームやテーブルゲームも多かったですし、ディスクマガジン系も結構ありましたから。1つ1つのジャンルは10本以下なのですが、全部集めると結構な数になるのです。
ここまであまり深く触れることもなく今後もあまり扱うこともないので看過しがちですが、98時代は常に麻雀ゲームが一定数発売され続けていましたので、この数が結構馬鹿にならないのです。麻雀ゲームは98時代は本当に多かったですね。windowsの時代になって激減したジャンルの中の筆頭格になるでしょうし。このコラムではほとんんど触れませんが、98時代の麻雀ゲームの変遷を辿るだけでも、結構面白いものになるのではないでしょうか。
他方でディスクマガジン系は、80年代の出始めの頃ならノベルに近いとしてADVに分類しても良かったのですが、この頃になると次第にミニゲームの占める割合が増え独自のものとして発展していったので、別個に考えるべきなのかなと。つまり、80年代の頃はゲーム性がないからとの理由で除外だったのですが、この頃の場合はミニゲームの集合体みたいなので、異なるゲーム性があるゆえの除外となるのでしょう。

ということでまず、ゲームデザイン・システム面から見ていきます。
上記のようにADVが多数派だったわけですが、89年頃からストーリーを読ませようという傾向が強まると共に、コマンドが一杯あって難易度の高いゲームは飽きられ始めたこともあり、コマンド選択式というシステムを簡略化する動きが強まってきます。具体的にはコマンドの数を減らしたり、画面には使うコマンドしか表示させず、不要なコマンドは表示しないといった方法が挙げられます。

そうなるとサクサク先に進めてしまうわけですから、必然的にクリア時間が短くなってしまい、ボリューム不足を感じやすくなってしまいます。そこでどう対処するかなのですが、その1つの答えがRPGにしてしまえってものでした。84年から86年にかけて堀井氏がオホーツク~軽井沢~ドラクエと変遷していったように、90年のアダルトゲームも同じ道を歩んだ物が多かったわけですね。あのアリスの『ランス』にしたって、初代はむしろADVであり、それがRPGになっていったわけですし。その流れが1つの傾向として顕著に表れたのが、繰り返しますが前年の90年でした。もちろんこれにはPC-98により高速な処理が可能になったこと、RPGだとADVよりもゲームだと認識してもらいやすいこと、それと合わせて新規に何かを考え出すより既存のRPGという手法を用いた方が無難であること、当時は非常にRPGブームだったしアダルトゲームでも89年に『ドラゴンナイト』が大ヒットしてブームの下地ができていたことなど様々な要因が挙げられるでしょう。このRPGを作ろうって傾向は91年も健在でした。その代表例が『ランス3 リーザス陥落』(アリスソフト)になるのでしょう。

もっとも同じRPGと言っても、90年のRPGと91年のRPGとでは少し傾向が異なります。これまでダンジョンRPGであったドラゴンナイトシリーズの新作『ドラゴンナイト3』は、フィールドタイプのRPGになりました。他にも『ブランマーカー』(D.O.)もフィールドタイプのRPGです。昨年も現代の町を舞台にしたRPGの中にはフィールドタイプのものもありましたが、大手の話題作の類はダンジョンモノばかりだったことを考えると、ここで主流がダンジョンタイプから移行したと言えるのでしょう。(もっともフィールドタイプに内容が伴わず、名作とされるゲームにダンジョンタイプが多かったからか、PC-98時代が本格的になるとまたダンジョンタイプが圧倒的に多くなるのですけれど。)

RPGからの派生になるのですが、この年は複合的なジャンルも見かけられました。SLGとRPGの中間的なスタイルがSRPGなのだとしたら、そういう中間的なスタイルは他ジャンルにだってありえます。例えば『ナイトシープ』はRPGと各種テーブルゲームの複合形態になっており、本格RPG志向の高まるゲーム機とは反対に、お手軽だけど一風変わったタイプのゲームもあることが1つの特徴として挙げられるでしょう。

これらRPGの場合は完全にADVとは異なるジャンルになっているのですが、他方で基本システムはADVを用いることでシナリオを見せつつ、そこに他ジャンルを混ぜることでゲーム性を増そうという方向性もあります。例えば『コズミックサイコ』(カクテルソフト)では基本的にはコマンド選択式のADVなのですが、途中でシューティングゲームが混ざっています(ただし、PC-98等一部機種のみ。88版にはなかったはずで、PCの性能によりけりってところなのでしょう)。
他にも『私をゴルフに連れてって』ではコマンド選択式のADVにゴルフゲームがくっついています。ガイナックスの『電脳学園4 エイプハンターJ』はシリーズ4作目で従来通りのため新規性はないのですが、コマンド選択式ADVにクイズゲームという構成を採っていました。

ここまでがストーリー性を維持しつつも他ジャンルにゲーム性を求めた路線になるのですが、91年にはADV自体の構造を改革する事でプレイ時間の短縮防止及びゲーム性の向上を図る路線も増えてきました。
まずRPGにしようっていうのも、基本的には従来の手法を用いたりアレンジしようということであり、同様の発想はADVにも当てはまります。つまりADV内部の範囲で過去の手法を用いようという方向性ですね。例えばコマンドを簡略化することで1つ1つの分量が少なくなるのなら、数本足してしまえって発想があります。それがオムニバス式のADVで89年頃から登場したのですが、『D.P.S SG set2』(アリスソフト)他数本あり、91年でも健在です。

他方で、簡略化してボリュームがなくなるのなら、昔通り高難度にすれば問題はないという方向もあります。『きゃんきゃんバニー3 スピリッツ』(カクテルソフト)は大雑把にはコマンド選択式扱いでも構わないのかもしれませんが、厳密にはアイコン選択式になります。即ち行動アイコンをまず選び、会話ならノベルゲームのように選択肢が登場し、どれかを選ぶと好感度が変化します。さわるコマンドなら場所を直接選ぶわけですね。このゲームの場合はノベルゲーム同様に選択肢による好感度の上昇が進行の鍵を握ります。好感度が足りなければ当然先に進めませんから、一般的なコマンド選択式に言われがちな総当りの手法は取れません。様々なタイプが混在しているので、単純にコマンド選択式やアイコン選択式と言ってしまうと、少し誤解を招いてしまうかもしれませんね。
ところで、この手のナンパゲームはアダルトゲームの初期の頃からずっと続いてきたわけです。どのジャンルにも当てはまることですが、難易度を上昇させる手法はある程度までは有効なものの、あまり難しくなると新規お断りになってジャンル自体を衰退させます。シューティングゲームなんてのは難しくなりすぎて廃れていったわけですしね。同様に選択肢での好感度の変化を用いた路線での難易度の上昇は、この辺が限界だったのかもしれません。きゃんきゃんバニー自体も次作で方向性を変えますが、この手のジャンルにおける高難度路線は限界が見え始めていたのでしょう。
まぁ後に『バーチャコール』のように連続した選択肢を選ぶ高難易度のゲームが流行ることもありますが、これは新しい側面を導入していますからね。どのジャンルにも当てはまるのですが、難易度を上げていって行き詰まり、易しくしてちょっとシステムにアレンジをして再度人気上昇、難易度を上げていって行き詰まり…って感じで流行は循環するのです。

また、もっと純粋にコマンド選択式の面白さを追求しようという方向性もあります。『ナイキ』(カクテルソフト)はコマンド選択式のADVなのですが、いわゆるコマンド選択式ADVに見られる汎用メニュー(「みる」とか「きく」とか)はありません。その場その場の状況に応じて内容が変わりますので、より違和感のないプレイが可能になっています。見た目的にはノベルゲームにおける個別の選択肢と全く変わりがありませんので、見た目で判断する人からすればノベルゲームともなりそうです。しかし汎用メニューでないというだけで会話のキャッチボールのような構造は変わりませんので、コマンド選択式ADVの範囲内と言うべきなのでしょう。因みに『ナイキ』は、物語の中でレースが登場します。このレースもコマンド選択で進行するのですが、ここは選択によりダイレクトに内容が変化しますし失敗すればゲームオーバーもありえます。なので、ノベルゲーム的要素も含んだ作品、ノベルとコマンド選択式ADVの中間にある境界線上のゲームと言えるのでしょう。

そのノベルゲームなのですが、『はっちゃけあやよさん3』のように一応はあるものの、数の上ではこの辺で一旦衰退します。理由はいくつかあるのでしょうが、この時期特有のものとしては、これまではストーリーを見せようって路線よりもプレイヤーを先に促してCGを見させようという目的だったり展開の変化によるゲーム性重視の傾向が強かったことから、ストーリー重視になるに従い消えていったことがあるかもしれません。ストーリー重視路線はコマンド選択式に偏っていましたしね。
まぁ単にこれまで作ってたところが飽きて違うジャンルに移っただけかもしれませんけど。何れにしろ、PCゲーにおけるノベルが一時絶滅しかかった時期にゲーム機でノベルが登場するわけですから、不思議なものですよね。
一点だけ面白い試みがあったのは『カクテルソフト増刊号』で、質問に答えるという形で選択肢が何回か表示され、その答の組み合わせにより物語が自動生成されて読む事ができました。

まだ途中なのですが、分量の関係で今回はここまでにします。

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