人間デブリ コンナジブンニダレガシタ?

人間デブリ コンナジブンニダレガシタ?

『人間デブリ コンナジブンニダレガシタ?』は2010年にWIN用として、
elf(エルフ)から発売されました。

ジャンル:ノベル系ADV シナリオ:土天冥海

人間デブリ

開始後しばらくは、この主人公はマジキチかとか思ったりもしましたが、
それでもやっぱり土天冥海さんのテキストは落ち着けますね~
これぞアダルトゲームって雰囲気がひしひしと伝わってきます。
最近多いラノベに音と絵を付けたような作品だとすぐ眠くなるのに、
この作品ではそんなところが全くありませんでしたから。
まぁ、ラノベも読むからラノベもどきのゲームも嫌いではないですけど、
アダルトゲームなんですからね。
そう感じさせてくれる作品をプレイしたいってものです。
しかし現実にはそう感じさせてくれるライターはほとんどいないわけで、
だからこそ余計にも土天冥海さんの作品は貴重なんですね。
本作を気になってる人は『媚肉の香り』もプレイ済みかと思いますが、
あのテキストや雰囲気が好きな人なら今回もいけるでしょう。
それにしても、じっくりとテキストを堪能できるゲームなんて、
本当に久しぶりにプレイした気がします。
とにかく楽しかく、非常に集中して遊べました。
楽しめないゲームが増えるともうそろそろ引退かとか思っちゃいますが、
こういうのをやるとまだまだいけるよなって思えてきます。
尚、冒頭のマジキチってところで、電波嫌いな人は警戒したかもですが、
じきにそうでないことが分かりますのでその点は安心して良いと思います。
まぁ、タイトルからわかるように、もっと屑なキャラは出てきますけどね。

この屑というところでストーリーが絡んでくるわけですが、
ストーリーは基本的にはサスペンス物になるのでしょうか。
前回は女性の黒幕が狂っていたわけですが、今回は男性が狂っています。
そこまでは良いのですが、主人公らの年齢が前回より下がっています。
そのせいか、黒幕の理屈や行動が何ともガキ臭くって。
いや、ガキがガキ臭い論理を並べるのは真っ当ですし、
その意味では不自然さもなく上手く書けているのでしょう。
だからそういうのを望んでいるのなら楽しめるでしょうし、
一概に悪いとは言えません。

でも、そういのは他のゲームでも間に合っているわけでして。
このライターは大人の駆け引きも書けると思うし、
ユーザーもそういうのを期待している人の方が多いんじゃないでしょうか。
前回の黒幕のようなキャラを期待しちゃうと、
どうにも今回は小物感が強くて、スケールダウンして見えちゃうのですよ。
『若妻万華鏡』から『媚肉の香り』までは、
キャラの平均年齢が他のゲームより高めでした。
このライターには高めの設定の方が向いていると思うので、
設定の時点でちょっとずれてしまったのかもしれませんね。

それと、今回は物語の鍵を握る部分に催眠ネタが使われています。
これは何でもできる小物として使われる場合も多く、
便利ではありますがリアリティを犠牲にしやすい側面もあり、
それ故に苦手とする人も多いでしょう。
だからリアル路線のゲームでは扱いに繊細さが要求されるわけですが、
本作は鍵となるわりには扱いがぞんざいだったように思います。
最近は催眠に特化した優れた同人ゲーとかもあり、
この手が苦手だった人でも納得させられるような作品も出始めています。
それらに比べると、どうしても本作のこの部分は劣って見えます。
昔ながらの便利な小道具的な使われ方であり、
これでは催眠系の苦手な人を納得させることは出来ないし、
逆に今の催眠系好きも満足させられないでしょう。
ここをしっかり作っていればストーリーにも深みが出たでしょうし、
作品全体の完成度も飛躍的に上がっていたでしょうに。
それだけに、残念でもありましたね。
キャラ設定といい使うネタといい、これまでと違うことをしようとして、
何か自分の得意でないフィールドで勝負してしまった感じがしました。

さて、ライターと並んで目玉なのが、
市川小紗さんの描くグラフィックなのでしょう。
上品さと肉感的な良さを併せ持ち、今回もレベルは高いと思います。
テキストの良さもあって、空姉ちゃんはとてもよかったですね。
CGも差分抜きで153枚ありボリュームもありますし、
ウリであるアニメーションも健在で、
アニメーションの回想枠だけで42もありました。

ただ、アニメーションは前回ほどのインパクトはないですし、
キャラも首から上と下のバランスが若干おかしく感じられ、
前回ほどには惹かれなかったですかね。
設定の関係上女性キャラの数が少ないのは仕方ないのかもしれませんが、
好きな原画家だけにね、個人的にはもう少し人数も欲しかったです。

システムはノベル系のADVで、今回も3Dはありますが、
前回のように自分で移動させる必要はありません。
演出として必要な場面だけ自動的に動くシーンが入ってくるだけなので、
以前のようなストレスはなくなりました。
集中して遊べた要因の1つに、
移動によるストレスがなくなったことも挙げられるでしょうね。

本作はノベルゲームではありますが、近年の多くの作品のような、
個別ルートから好きなのを選ぶタイプではありません。
軸となる1つのストーリーがあって、
そこから選択によって派生的に枝分かれしていくタイプです。
空姉ちゃんとの個別っぽいのはありますが、
それもあくまでも派生の1形式と考えた方が良いでしょう。
つまり、98時代のノベル系のゲームっぽいんですよね。
テキストの雰囲気も相まって、
98時代のシルキーズの作品をやってるような、
何か懐かしいような気持ちにもなれました。

私は当時のシルキーズの作品は好きだったので満足しましたが、
若干注意すべき点もあるかと思います。
まず、上記のように軸が1本となっており、
お姉ちゃんである空の比重が大きくなっています。
ってか、実質的なメインヒロインは空でしょう。
だから空に感情移入できる人は楽しめますが、
妹のひかりが目当てでひかりのルートだけを期待しちゃう人は、
あまり望んだものは得られないように思います。

また、システムは選択肢を選ぶことにより分岐をするわけですが、
最初からハッピーEDに行くことはできません。
まずバッドに直行して、それにより新たなルートが開放されていきます。
それを繰り返すことでハッピーEDに行けるようになるのです。
こういう仕様なので攻略はかなり楽でしたが、
繰り返しを強制される1本道にも近いわけで、
個人的にはあまり好きではないタイプでもありますね。
尚、バッドEDには回避不可なものが幾つかあります。
その多くはならず者とかに犯られちゃうもので、
つまりは寝取られ回避は不可なわけです。
まぁ、NTRが苦手でこの作品に手を出す人はあまりいないでしょうが、
一応そういう人はお気をつけください。

むしろ多くの人が気になるのは、寝取られとして楽しめるのかでしょう。
そして、ここは何を求めているかにもよって印象が変わると思います。
というのも、バッドEDの数が多いので、
某所のスレタイのような彼女または片想いの娘が犯られてしまうシーンは、
それなりにあるんですよね。
とにかくヒロインが変なやつに犯されるシーンが好きって人ならば、
本作は結構いけるように思います。
しかし、どれも突発的に犯されてすぐにバッドEDで終わりなわけでして。
なので、寝取られる過程であるとか、背徳感であるとか、
次第に堕ちていく様子であるとか、
そういうものを期待するとかなり期待はずれに終わるかと思います。
中途半端に催眠ネタが混ざっていることもあって、
個人的には寝取られ物としての印象はほとんど抱きませんでした。
今回はネトリネトラレの様なサブタイはないので看板に偽りはないですが、
商品説明ではおもいっきり寝取られ物っぽく書いてありますよね。
正直この説明はちょっと違うだろとも思うわけで、
相変わらず売り方が下手だよなって思ってしまいました。
まぁ、説明が難しいのは確かなんですけどね。

総合的にはテキストを筆頭にどの部分もレベルは高いし、
移動等前回よりも不満点は減ってよりマイナスのない作品になっています。
しかし、強烈なウリとなるインパクトに欠けてるんですよね。
良質なのは確かなのですが、
それ以上でもそれ以下でもない作品なわけです。
なので、トータルでは佳作としておきます。

原画家とライターの底力は、やっぱりかなりのものがあると思います。
この組み合わせは、今後も最も期待したいコンビと言えるでしょう。
だから、次の作品もおそらく買うと思います。
でも、今回は企画段階で失敗し、持てる力を発揮しきれなかった。
そう感じさせられたゲームでしたね。
次回は両者の力を存分に発揮できる物を作ってもらいたいものです。

ランク:C(佳作)

人間デブリ

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