グリザイアの果実

グリザイアの果実

『グリザイアの果実』は2011年にWIN用として、
FrontWingから発売されました。

3部作の1本目となる作品であり、現在は続編も発売されています。

ゲームジャンル:ノベル系ADV

グリザイアの果実

選択肢はプレイ時間に比してかなり少なめです。
数時間やって、それでようやく1つって感じですから。
個人的には下手に分岐の複雑な作品よりは好ましいのですが、
気になる人は注意が必要でしょう。

内容的には、近年では珍しく何でもありって感じですね。
基本はというか、共通ルートは学園ものになります。
全校生徒6名で、主人公以外は全部女性です。
私は女性同士の掛け合いが好きなので、
キャラたちの掛け合い自体は結構楽しかったのですが、
ハーレムに近い設定は食傷気味に感じる人もいるかもしれませんね。

個別ルートは一転してシリアスになっていくわけですが、
熱いバトル路線に萌えゲーのテンプレっぽいのに狂気を扱った内容と、
いかにも好かれそうな内容が程よく詰まっています。
キャラもクーデレやらメイドやら阿呆の子などと、
人気のありそうな属性は結構備えてきています。
最近は偏ったゲームも多いだけに、
1本にいろいろ詰め込んできたのは案外久しぶりなのかもしれません。

こういう多岐に渡る構成は本来好みとするところなのですが、
個別ルートに既視感が強いというか、
別のゲームで見かけたような話ばかりなわけでして。
個々のストーリーは決して悪くはないのですが、いたって普通なんですね。
毒にもならないけど薬にもならないってのが、個人的な印象でした。
それでもまだマキナルートと天音ルートは良かったのですが、
他は若干見劣りします。
複数ライターの弊害からかストーリー間の差もありますし、
主人公の性格も若干異なってきます。
統一感という観点からは、完成度は決して優れているとは思えません。

因みに、グロやらカニバリズムやらもありますが、
その手が好きな人には全然物足りません。
いろんな要素が詰め込まれているけれど、どれも温いのです。
そういう意味では、本作は本当の初心者向けなんだと思います。
何が好みかも分からない初心者が手をだしてみる。
すると好きな要素も出てくるでしょうし、
中には合わない要素も出てくるかもしれません。
何れにしろこういう路線もあるんだねって知ることができますし、
初心者なら既視感もないから素直に楽しめると思うのです。
逆に、一杯やっている人ほど楽しめる要素が減ってきます。
知っている人ほど楽しめないわけで、
初心者向けとしては認めるものの、個人的には点がつけにくい作品でした。

それでも、序盤の掛け合いが楽しいと感じられている勢いで、
そのまま最後まで突っ走ってくれたのなら、
また違った印象も抱けたのかもしれません。
本作を語る上で外せないことの1つに、ボリュームの存在があります。
10時間を越えると言われるほど、共通ルートは長いです。
最初は楽しかったのですが、これでは次第に飽きてしまいます。
メインキャラが主人公の他は皆女性ということもあり、
展開の幅も限られてきますしね。
普通の学園で魅力的な男性キャラが何人かいれば、
このボリュームでも耐えられたでしょう。
しかしこのメンバーだけでやるにはちょっと多すぎで、
面白いネタを厳選して短くしてくれた方がずっと良かったと思います。

共通ルートも長いですが、個別ルートもそれなりに長いです。
つまり数値上のボリュームはかなりある作品なのです。
これが1本の作品を終えた満足度につながれば良かったのですが、
実は完全には終わったとは言えなかったりします。
万能な主人公の過去やその周辺はもっと補足されるべきで、
そうでないと御都合主義っぽく感じられてしまいます。
また、要所要所でキーとなってきそうな主人公の姉の一姫。
彼女のルートがあって全てが説明されて、
それでようやく1本の作品としてのまとまりがでてくると思うのですが、
本作にはそれがありません。
誰が見てもあるべきなわけで、
ファンディスクか続編かでやるつもりなのかもしれませんが、
それでは印象も良くないですし1本の作品としても評価できません。
無駄にボリュームだけ多い未完成の作品と言われても仕方ないでしょう。
共通ルートを半分に削ってその分を一姫ルートに分けていたら、
作品の完成度は飛躍的に上がっていたでしょうに。
10周年記念作品なのだったら、商売っ気抜きに完成させて欲しかったです。

また、グラフィック面は枚数は平均以上あるでしょうし、
カットインとかもあって、数値上は問題ないと思います。
しかしプレイ時間はそれ以上に多いわけで、
1時間における見た目での満足度はあまり高くないように思います。
それと、原画も複数いるのですが、違いがハッキリしているわけでして。
同じ人でも立ち絵と一枚絵に違いがありますし、
個々の絵を見ればわりと好みなのですが、
全体では統一感がなく完成度は低いように思いました。

総合的にみますと、
ボリュームは多いけど完成度は低いの一言に尽きるのかなと。
グラフィックやテキストの統一感のなさに全体の構成の過不足など、
改良の余地が至るところにあるように思います。
まぁ、私は普段あまり完成度を重視しないので、
それ以上の個性があればそれで全く問題はなかったりします。
完成度云々で話を進めざるを得ないほど個性が薄いことが、
実は一番の問題なのかもしれませんね。

もっとも、無駄に長い部分を削ってギュッと密度を濃くしつつ、
本来あるはずのものをきちんと加えていれば、
基本的に好みの路線ということもあり、
或いは名作クラスに感じられたかもしれません。
可能性は秘めていただけに、勿体無く思いました。

そういうわけで、個性に乏しく完成度も低いということから、
単体の出来としては凡作も十分にありうるかと思います。
ただ、個人的に蒔菜がかなりツボだったわけでして。
ストーリーとしても蒔菜ルートは作品内で1・2を争うくらい良かったし、
これだけで元は取れちゃったように思います。
そういうわけで、キャラ分のポイントで佳作としておきたいと思います。

まぁ、私の感想はそんなところですが、
蒔菜に対する萌え分という主観的な好みが非常に強いわけです。
なのでキャラに思い入れのないベテランユーザーは、
あまり得られるものはないかもしれません。
反面、最近はこういういろいろ混ざった路線は珍しいですから、
初心者にはおすすめできると思います。
何の属性でも濃いものほど評価されがちですが、
初心者にいきなり濃いものを勧めるのは得策とは言えません。
そうなると本作くらいの適度な刺激と温さがちょうど良いわけで、
自分はこれが好きなんだと決め付けて殻を作る前に、
こんな作品で視野を広げてみることは良いことだと思います。
それならそれでNTRとかアブノーマルなのも入れて欲しかった気もしますが、
そうなると受け付けない人が増えそうですしね。
基本は萌えゲーで、そこからちょっと幅を広げてみたい人にオススメと、
そう捉えるのが良いのではないでしょうか。

ランク:C(佳作)

ソフトグリザイアの果実 ソフマップLIMITED EDITION

DL版
グリザイアの果実 DMM

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