『水仙花』

『水仙花』

『水仙花』は2005年にWIN用として、
FLADYから発売されました。

HAINゲーの代表作とも呼べる作品ですね。
メタ要素のある作品が好きならば、
これはやっておくべきなのでしょう。



<概要>


ゲームジャンルはノベル系ADVになります。

あらすじ・・・
主人公、光一。財閥、大柳一族の青年当主である彼は、
全てを手にするが故の空虚で怠惰な毎日を過ごしていた。
そんな彼の無色人生は、
しかしヒロインとの出会いにより有色に彩られる。
始まる、官能の毎日。
淫蕩の痴嬢『御門』、隻眼の麗奴『小夜』、
百合仲の使用人『裕子』と『佳苗』、
両性の秘書『恵美』、そして『ヒロイン』。
昼夜、場所、全てを問わず自由に交わり続ける毎日。
願うまま思うまま、肉を心を貪る住人。
堕落と背徳にまみれて過ごす日々。
けれど、そんな淫蕩を行いながらも、
その果てに待つのは『ヒロイン』との
『永遠』の『約束』に裏打ちされた『真愛』による
『大団円』――…の、はずだったのだが。
しかし、渦巻く思いはそんな物語を良しとしなかった。
そして新たに姿を現した物語は…――狂っていた。
――とても狂っていた。――どうしようもなく狂っていた。
――狂いきっていた。そう、少年少女は立ち上がり、
「愛と感動の物語」に反旗を翻したのだ。
自らの幸せを得るために。
もう二度と、不幸の繰り返される事の無いようにと願って。

<感想>


まず、ゲームジャンルは、上記のとおりノベルゲーなのですが、
一般的なノベルゲーとは異なります。
フローチャートがあり、そこからイベントを選ぶ形式なのです。
ロックがかけられているところも多いので、
攻略に悩むこともないし、一本道に近い構造でもあるのですが、
上記の構造であることから、
全体としてイベントの集合体のようなプレイ感覚です。
プロットは凝っているし、テキストも凝っているのですが、
ストーリーはないに等しいという珍しい作品ですね。

上記のような構造に加え、
本作ではテキストが演劇っぽくなっていることから、
結構好き嫌いが分かれる作品だと思います。
考察ゲーというか、ひと昔前のエロゲオタに好まれそうな、
論争のネタを盛り込んだ作品ではあるのですが、
こうした癖のある構造と、
序盤のつながりのないように見えるエロの連続に、
脱落してしまう人もいるかもしれません。
内容的にも、ショタ要素が混じっていますので、
より一層好き嫌いが分かれるのでしょう。

その一方で、本作はHAINゲーの代表作でもありまして。
一応知らない人向けに説明しますと、HAINゲーの特徴としては、
メタ要素を盛り込むことが挙げられます。

ところで、メタ要素を盛り込んだエロゲはいくつかありますが、
大抵はライターが苦し紛れに入れたような、
作品作りを放棄したものであるとか、
従前の作品と同じことをやっていて、
今更感が強いことなどから、
私はエロゲでのメタ要素のある作品の多くには否定的です。
勘違いしないでほしいのは、メタ要素が嫌いなのではなく、
主張が2番煎じであったり、メタ要素を物語の中に、
きちんと落とし込めていないから叩いているのです。
そうでなければ、当然褒めることもあります。

さて、肝心の本作なのですが、
最初からメタ要素ありきで作られた作品です。
エロゲでメタ要素を全面的に、
かつ本格的に押し出したノベルゲーは、
これが最初になるかもしれません。
そういう意味では、以後の作品は、
どれも本作の2番煎じの域を出ていないのかなと。
言い換えるならば、本作があるからこそ、
以後の同系統の作品は厳しく評価せざるをえない感じですね。
内容的には、いろんな点で、
あちこちにケンカをうっているようなとこもあり、
商業作品としてどうなのよと思うところもありますし、
個人的には気に入らない点もあります。
しかし、私の好み云々を除けば、
まぁ、こういうのを最初にやりきったことに意義があるわけで、
それはそれで評価されて然るべきなんじゃないかなと。
後に似たようなことをやっているだけなのに、
それでも大きな顔をしている他所のクリエイターもいますが、
HAINゲーは先にやっておけよって言いたくなりますしね。

<総合>


総合ではギリギリ良作としておきます。

ショタ要素に、メタ要素に、演劇調の癖のあるテキストに、
フローチャートを用いたストーリー性のない展開と、
非常に癖の強い作品ですし、前半は非常に退屈ですので、
楽しめない人も結構いると思います。
私の場合、嫌いなものはほとんどないので、
それで楽しめないということはないのですが、
本作はプレイしていて盛り上がるまでに時間がかかり、
それで単純に楽しめきれなかったというのが大きいです。
そのため、単純な好みで言えば、
決して好きな作品ではありません。
他方で、メタ要素を用いた考察ゲーということで、
好きな人は絶対手放せないような、
独特の魅力の詰まった作品でもあります。
メタ要素があるから評価するという間抜けなことはしませんし、
一見すると普通のエロゲっぽいのに、
とってつけたようにメタ要素だけを入れていたら、
おそらく酷評していたでしょう。
しかし、完成度はともかくとして、
これだけ平均的なエロゲから逸脱し、
一から独自の作品を作りあげたことは、
やっぱり評価されるべきなんだと思いますね。

ランク:B-(良作)

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駿河屋


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