『はるとゆき、』

『はるとゆき、』

『はるとゆき、』は2018年にWIN用として、
あかべぇそふとすりぃから発売されました。

とても雰囲気の良い、癒される作品でしたね。



<概要>


ゲームジャンルはノベル系ADVになります。

あらすじ・・・
「この温泉旅館の仲居さんは、
どうしてナース服とかチャイナドレスを着てるんですか?」
「当館がそのようなシステムだからでございます」
山の奥深く――とは呼べないまでも、
街からはそれなりに外れた場所。
そこで、小さな旅館『ゆき』は営業しています。
この旅館には、ちょっと変わったシステムがあります。
【お客様・従業員ともに、
敷地内ではどんな格好をしてもOK】というものです。
ひらたく言えば、コスプレOKというシステムです。
衣装は持参でも問題ないですが、貸出もしています。
お客様が何を着てもいいですし、
従業員にリクエストもできます。
ただしお触りはNG。浴室以外で全裸になったら怒られます。
当たり前です。
そんな一風変わった温泉旅館に、どうぞいらしてみませんか?
あ、コスプレ以外にも変わったところはありますが
気にしないでください。
もう死んでいる人が泊まりに来るとか、
その死んだ人は旅館の中では実体化して触れるようになるとか、
生きてる人と見分けがつかなくなるとか、
そんな本当に些細な点です。
今の季節に合わない服装や、
軍服や制服や着物なんかで亡くなった方が、
いらっしゃったときに悪目立ちをしてしまわないように、
【どんな格好でもOK】って言ってるんですから、
本当にお気になさらずでお願いします。
どんなお客様でも、当館は歓迎いたします!

<感想>


生きている者だけでなく、死んだ者も訪れるという、
ちょっと特殊な温泉宿を舞台にした、
心温まる作品でした。

ライターの中島大河さんの作品は、
これまであまり扱ってこなかったように思います。
強烈な個性があるというわけでもないので、
そもそもあまり意識していなかったというのもありますし。
ただ、テキストが読んでいて楽しいのですよ。
ちょっとした日常の描写とかにしても、
他の最近のライターと違って面白いのです。
まぁ文章力がどうのとか、あまり痛いことは言わずに、
単に私に合っているだけとしておきますけどね。
いずれにしても、少なくとも私は合うので、
おそらく大抵の作品は楽しめるんじゃないかと思います。

ただ、私は自分にテキストが合ったという理由だけでは、
名作扱いすることはありません。
プラスアルファを求めます。
ライターも、凄い作品を作ろうという意識があったのか、
これまでの作品にも、メッセージ性の強い作品など、
扱いの難しい題材にも挑戦していたように思います。
そして、その部分が優れていれば、
文句なしに名作となっていたのでしょう。
しかし、残念ながら、これまでの作品の場合、
その扱いの難しい部分において、
いろいろひっかかる部分があり、
トータルでむしろマイナスになりかねないところがありました。
そのため、これだったら下手に凝らずに、
シンプルに楽しませてくれる作品の方が良いのではないかと、
常々思っていました。

そんな中で出てきたのが本作です。
本作は、過去作ほどのメッセージ性はありませんし、
難しい題材に挑戦しているわけでもありません。
そのため、過去作ほどのインパクトはないかもしれません。
しかし、その反面、下手に凝ったところもないことから、
純粋にライターの魅力が堪能できるように思うわけでして。
小難しいこと抜きに、今回はひっかかることなく、
シンプルに楽しめたように思います。

作品全体を大雑把に表現するならば、
上記のとおり、癒される作品となるのでしょう。
もっとも、個々のシナリオに目を向けると、
泣きゲー的なルートもあれば、
師弟愛を扱ったようなものがあったり、
いろいろ楽しめて良かったと思います。

というわけで、十分満足できる内容ではあったのですが、
上記のとおりインパクトという点では、
過去作よりも物足りない作品でもありまして。
つまり、設定やストーリーから、
この作品ならではというような、
突き抜けた部分がもう一つ足りないのです。
そのため、好きな作品ではあるのですが、
いつもの私の基準では、良作より上にはしにくいのです。

もちろん、いつも言っていますように、
ゲームはシナリオだけではありません。
その他の要素によって名作に昇華することも、多々あります。
そしてその観点からいうと、グラフィックやシステム等、
他の部分も、どれも十分及第点ではあるのですが、
これといった特徴もないわけでして。
どうしてもライターの力ありきの作品なんですよね。
作中、ややテンポが悪く感じてしまうところもありましたが、
そういうところも、ゲームデザイン次第で解消できますし。
パッと見が地味な作品だけに、
もう少し何かユーザーをひきつける要素があれば、
きっと素晴らしい作品になったと思います。

<総合>


総合では良作としておきます。

一見すると地味なんだけれど、
ライターの良さが出ている良質な作品でした。
不作な2018年の中では、間違いなく上位にくる作品なのですが、
名作足りうるには、もう一押し欲しかったですね。
その辺は次回作に期待するということで、
このライターの作品にはしばらく注目してみたいと思います。

ランク:B(良作)



DL版


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