『神待ちサナちゃん』

『神待ちサナちゃん』

『神待ちサナちゃん』は、2018年にWIN用として、
Frillから発売されました。

エロとキャラ、ストーリー性を両立させつつ、
演出にも優れた作品でしたね。



<概要>


ゲームジャンルはノベル系ADVになります。

あらすじ・・・
10代の春、少女は【神さま】に出会う。
夜の街を戸惑いながらさまよう家出少女、高尾 紗波。
お金が底をつき、行くあてもない彼女は、
【神さま】がいるというコミュニケーションアプリ
『ディアフレ』をダウンロードする。
出会ったのは、少女を泊める代わりに、
対価として彼女達の瑞々しい身体を求めるサラリーマンの青年、
八條 景(主人公)だった。
「ねぇ、今夜泊めてくれる…?」
無垢な少女のたどたどしいご奉仕は、
やがて悦びと快感へと変わっていく。
奉仕。快楽。救い。しあわせ。
秘密と背徳に満ちた生活の先に、少女が求めるものとは――

<感想>


いわゆる抜きゲーと呼ばれるジャンルは、
ゼロ年代に入ってから、90年代までの作品とは異なり、
ストーリー性を放棄し、キャラの作り込みを放棄し、
マニアックなシチュだけを追求するようになっていきました。
確かに、濃いHシーンがあれば十分、
マニアックなシチュさえあれば十分という人ならば、
それでも楽しめたのだと思います。
しかし、私みたいな人、つまり、
別にマニアックなシチュとかはいらないけれど、
最低限のストーリー性を求め、
キャラの掘り下げがなされた作品でないと、
逆にHシーンにあまりエロさを感じられず、
満足感を得られないという人には、
ゼロ年代以降の抜きゲーというのは、退化したとしかみえない、
不満の残るものばかりだったのです。
しかし、ここ1・2年ほどは、一見すると抜きゲーだけれど、
思いのほかストーリーやキャラの良い作品が増えています。
つまり、上記でいうところの、最低限のストーリー性があり、
キャラの掘り下げがなされた作品ですね。
こういう90年代までの抜きゲーにあった系統の作品が、
ここにきて復活してきているのであり、
それはゼロ年代以降の抜きゲーに不満のあった私には、
非常に嬉しい傾向でもあるのです。

そして本作もまた、
90年代までの抜きゲーと同じ路線の作品になります。
特にマニアックな属性やシチュを扱った作品ではないですが、
抜きゲーと思われるほどの多くのHシーンがありつつも、
それでいて、抜きゲーと思ってプレイした人には、
思いのほかストーリーが良いぞと思われる類の作品ですね。

なお、フルプライスのエロゲは、
大抵は複数のヒロインがいますが、
本作はロープライスの作品ということもあり、
ヒロインは一人でして。
つまりフルプライスの作品の、
1ルートだけを扱ったような感じになります。

さて、内容に関しては、そつなくできているし、
上記のとおり好きな系統の作品ではあるんですけどね。
よくあるタイプの作品でもあるというか、
本作ならではという味付けがないのです。
だから同系統の作品を幾つもやっていると、
どうしても印象に残りにくくなってしまいます。
仮に同系統の作品を幾つもやっていなくても、
その場合には、ストーリーにしてもエロにしても、
どっちも中途半端にみえてしまう人が出てくるのかなと。
もう少し、何かしらの工夫が欲しかったですね。

まぁ、エロとストーリーを両立させつつ、
そこに更に独自性を加えるのは、
シナリオ特化の作品を作るよりずっと難しいですからね。
シナリオゲーという名の手抜きゲーに安易に向かわず、
荊の道を選択したこと自体は、好感が持てますけどね。

ところで、じゃあ本作は、
90年代的抜きゲーの単なる模倣かというと、
決してそういうわけではなく、
今の作品としての進化がなされています。
具体的には、Frill独自の「吹き出し」に近いシステム
(バルーンウインドウ)が本作でも導入されており、
そこにHシーンでのアニメーションや、
E-moteによる立ち絵の動きが加わっています。
バルーンウインドウについては、
以前から苦言も呈しているのですが、
最近は擬音をテキスト化したものを加えたり、
アニメやE-moteが加わることによって、
Frill独自の文化になりつつあるように思います。
まぁ、まだ不満は若干残っていますが、
これはこれで今後にも期待できるんじゃないかなと思うわけで、
今後の作品にも注目していきたいものです。
というわけで、本作はロープライスではありますが、
同価格帯の同人ゲーや抜きゲーのような、
演出等が弱いという問題は全くなく、
上記の様々なシステム等が組み合わさることにより、
普通のフルプライス作品よりも、
ずっと演出の凝った作品になっています。
まぁ、これだけで名作と呼べるほどには、
まだそこまでの完成度はないのかなと思いますが、
それでも十分高い水準の作品にはなっていると思いますね。

<総合>


総合では、ギリギリ良作としておきます。

本作ならではの個性が乏しいので、
そういう意味では、個人的には点の伸びにくい作品です。
ただ、ストーリーもキャラもエロも水準以上であり、
フルプライスエロゲに負けない演出の良さも持った、
ロープライスのエロゲとなると、
これはこれで貴重な作品ですからね。
何より、百聞は一見に如かずといいますが、
私がゼロ年代以降の抜きゲーの多くに不満があると書いても、
ゼロ年代以降にエロゲを始めた人には、
理解してもらえないこともあったわけでして。
でも、本作は一般的にも評判が良い感じであるところ、
本作をプレイして面白いと感じた人ならば、
私の言いたいことも分かってもらえると思うわけで。
こういう作品はもっともっと増えるべきであり、
だからFrillには、バルーンウインドウをもっと洗練させつつ、
今後もこの系統の作品を作ってほしいものですね。

ランク:B-(良作)



DL版


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 同じライターさんでメーカーは異なりますが
先月発売された『親友が気づかぬ内に彼女を寝取るボク』も演出拘りがありました。
Hシーンでの特化演出ですがまさにエロゲーといった演出で。

ひたすら特化したHシーン数が価格に比べて多いとお買い得感はありますが
やはりマンネリ化してメーカーが継続して販売するには飽きられ販売不振になりやすい。
登場する人物たちの関係を深く掘り下げヒロインの個の魅力の底上げを図る一方で
新鮮味をもたせて結末まで描いている作品がまた望まれているのかもしれませんね。

フルプライスで多人数のヒロインが登場するエロゲを作っていたメーカーが
開発凍結および解散していることからも流行の変化がきているのやも。
一部クリエターファンに支えられているメーカー作品は除いて。

ストーリーやキャラの魅力の追求を怠り、特化シチュだけを追求するのも限界があるでしょうね。
また、ラノベ風シナリオゲーが、ラノベにもっていかれてしまったように、特化シチュだけを追求した作品だと、今は画像を投稿できる安価な互換先がいくつも出てきてしまったので、そういうところにもっていかれてしまうのでしょうし。
クリエイター主導なのか、ユーザー主導なのか、その辺は分かりませんが、エロゲの流行も変わってきているように思いますし、その変化は、個人的には嬉しい変化でもありますね。

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