『マクナ=グラムラとフェアリー・ベル』
『マクナ=グラムラとフェアリー・ベル』は、
2018年にWIN用として、
ALICE IN DISSONANCEから発売されました。
これこそが次世代の紙芝居といった感じの、
良質な作品でしたね。

ゲームジャンルはノベル系ADVになります。
【作品概要】
本作はfaultシリーズ世界で登場する童話
『フェアリー・ベル』のビジュアルノベルです。
立ち絵を使わず、ストーリーに合わせた
150点もの描き下ろしイラストのみで構成しました。
3Dカメラを駆使した多彩なカメラワークと、
切なくも優しいBGMで彩られた演出をご堪能ください。
本作はスピンオフ作品のため、fault本編のキャラクターや
あらすじの知識不要でお楽しみ頂けます。
また、本編ネタバレも含みませんので
本編未プレイの方にもオススメです。
【あらすじ】
マルベル孤児院で暮らす少女「マクナ」とその友達「セビア」。
いじわるな孤児院院長ティグラ・アンのもとでの生活はつらく、
さびしいものがありました。
それでも二人は、二人なりの楽しみを見つけては、
日々をささやかに過ごしていました。
しかし、孤児院には「10才になっても里親が見つからないと、
動物に変えられ、売られてしまう」という
逃れられない決まりがありました。
もうすぐ10才になるマクナは
奇跡の存在”フェアリー・ベル”に思いをはせます。
つらい境遇にある子ども達を永遠の幸せの地
”エンレス・ランド”へいざなうフェアリー・ベル。
彼女が心からベルのことを信じ、救いを求めたとき、
奇跡は起こりました。
「待たせてごめんなさい、マクナ。助けに来たよ。」
そう言ってベルはマクナを
永久の幸せが約束された場所エンレス・ランドへと導きます。
「永遠にオトナにならないこと」を条件に―――
おそらく、あまりゲーム歴の長くない人が、
この作品をプレイした場合、
「通常のノベルゲームとは異なり~」
という表現を使うのではないでしょうか。
ただ、それは正しくもあり、
また同時に正しくないのでしょう。
これまでにいろんな記事で書いてきましたが、
ノベルゲームは80年代から存在します。
紙芝居なんて言われ方も、80年代から存在するのであり、
それは客観的な事実なのです。
まぁ、ドラクエで初めてRPGに触れた子供が、
RPGの元祖はドラクエと言い出したり、
ポケモンで初めてRPGに触れた世代が、
ポケモンがRPGの元祖と言い出したり、
そういう自分が初めて触れた作品を元祖と言い出すのは、
いつの時代も、どの分野でもあることでして。
だからノベルゲームについても同様に、
サウンドノベルで初めて触れた世代や、
ビジュアルノベルで初めて触れた世代が、
それぞれ元祖と言い出すことも、
分からないではないのですが、
事実としては、それより前から存在していることは、
疑う余地もないことなのです。
そして初期のノベルゲームは、
それこそ紙芝居と揶揄されるように、
一枚絵主体の構造であり、
だからこそ紙芝居に例えられるのでしょう。
しかし、近年のノベルゲームをろくにプレイせず、
ネット上で昔のイメージだけで語る人なんかは、
今でも紙芝居なんて言っていますが、
実際にプレイしている人からすれば、
紙芝居ではなく、人形劇じゃね?って疑問は、
誰しも持つはずです。
そして、そう思うのは、当然です。
当初は紙芝居のような構造だったノベルゲームは、
ゼロ年代以降、一枚絵軽視・立ち絵重視にシフトし、
人形劇のような構造に変わったのですから。
汎用性のある立ち絵を使いまわす方法は、
コストを削減することができます。
アイデア勝負の中小ブランドにとっては、
低予算でゲームが作れるわけですから、
非常に便利な方法と言えるのでしょう。
したがって、立ち絵重視の手法を、
一概に否定するつもりはないのですが、
本当にストーリーを盛り上げるグラフィックを用意したいなら、
立ち絵の使いまわしではなく、
その場面その場面に即した一枚絵を、
ふんだんに用いるべきなのです。
そういう意味では、個人的には、
ノベルゲームが立ち絵重視に変化したことについて、
間違った方向に進んでいるように感じられ、
大きな不満があったものです。
本作は、立ち絵を廃し、
一枚絵と演出により全てを表現しています。
つまり、人形劇ではなく、紙芝居なのです。
だから人形劇になってからのノベルゲーしか知らないと、
「通常のノベルゲーとは異なり~」という表現になるのですが、
昔を知っていると、ある意味原点に戻ったとなるのです。
例えるならば、推理小説でいうところの、
社会派とかの流行の後に出てきた、
「新本格派」といったところでしょうか。
もちろん、本作は、単に原点回帰したのではなく、
今の最新の技術で作られ、
豊富なグラフィックと演出により、
昔の紙芝居から大きく進化したものとなっています。
紙芝居、紙芝居と、安易に用いる人は多いけれど、
本当の紙芝居ゲーがどういうものなのか、
あなたは分かっているでしょうか。
百聞は一見に如かずといいます。
紙芝居と人形劇の違いを言葉で説明しても、
なかなか伝わりきらないところ、
最近は違いを示せる良い例もありませんでした。
本作は、たった500円でその違いを理解できるわけで、
それだけでも、意義があるというものです。
なお、ストーリーに関しては、普通ってとこですね。
良くも悪くも童話って感じです。
ボリュームも少ないし、テンポも良いので、
最後まで一気に読めるとは思います。
だから普通には楽しめるのですが、
特別面白いってものでもないというところでしょうか。
総合では良作としておきます。
この作品を作る時間があるのなら、
faultシリーズの新作を早く出せよ、
いつまで延期するんだよ~という気はしますけどねw
その辺で少し複雑な気分ではありますが、
本作自体は現代型紙芝居の形を示したという点で、
十分に意義のある作品だと思います。
一枚絵重視にすることで、絵本感が増し、
童話という内容にもマッチしていますし、
雰囲気も良い作品です。
名作というには、もう一つパンチが欠けているのですが、
上記のとおり、500円で違いを理解できるという、
貴重な作品ですからね。
ノベルゲームの構造自体に興味のある人には、
ぜひともプレイしてもらいたい作品ですね。
ランク:B(良作)

関連するタグ WIN /ADV /ノベル系 /
さくら、もゆ。 イブニクル2 その日の獣には、
2018年にWIN用として、
ALICE IN DISSONANCEから発売されました。
これこそが次世代の紙芝居といった感じの、
良質な作品でしたね。

<概要>
ゲームジャンルはノベル系ADVになります。
【作品概要】
本作はfaultシリーズ世界で登場する童話
『フェアリー・ベル』のビジュアルノベルです。
立ち絵を使わず、ストーリーに合わせた
150点もの描き下ろしイラストのみで構成しました。
3Dカメラを駆使した多彩なカメラワークと、
切なくも優しいBGMで彩られた演出をご堪能ください。
本作はスピンオフ作品のため、fault本編のキャラクターや
あらすじの知識不要でお楽しみ頂けます。
また、本編ネタバレも含みませんので
本編未プレイの方にもオススメです。
【あらすじ】
マルベル孤児院で暮らす少女「マクナ」とその友達「セビア」。
いじわるな孤児院院長ティグラ・アンのもとでの生活はつらく、
さびしいものがありました。
それでも二人は、二人なりの楽しみを見つけては、
日々をささやかに過ごしていました。
しかし、孤児院には「10才になっても里親が見つからないと、
動物に変えられ、売られてしまう」という
逃れられない決まりがありました。
もうすぐ10才になるマクナは
奇跡の存在”フェアリー・ベル”に思いをはせます。
つらい境遇にある子ども達を永遠の幸せの地
”エンレス・ランド”へいざなうフェアリー・ベル。
彼女が心からベルのことを信じ、救いを求めたとき、
奇跡は起こりました。
「待たせてごめんなさい、マクナ。助けに来たよ。」
そう言ってベルはマクナを
永久の幸せが約束された場所エンレス・ランドへと導きます。
「永遠にオトナにならないこと」を条件に―――
<感想>
おそらく、あまりゲーム歴の長くない人が、
この作品をプレイした場合、
「通常のノベルゲームとは異なり~」
という表現を使うのではないでしょうか。
ただ、それは正しくもあり、
また同時に正しくないのでしょう。
これまでにいろんな記事で書いてきましたが、
ノベルゲームは80年代から存在します。
紙芝居なんて言われ方も、80年代から存在するのであり、
それは客観的な事実なのです。
まぁ、ドラクエで初めてRPGに触れた子供が、
RPGの元祖はドラクエと言い出したり、
ポケモンで初めてRPGに触れた世代が、
ポケモンがRPGの元祖と言い出したり、
そういう自分が初めて触れた作品を元祖と言い出すのは、
いつの時代も、どの分野でもあることでして。
だからノベルゲームについても同様に、
サウンドノベルで初めて触れた世代や、
ビジュアルノベルで初めて触れた世代が、
それぞれ元祖と言い出すことも、
分からないではないのですが、
事実としては、それより前から存在していることは、
疑う余地もないことなのです。
そして初期のノベルゲームは、
それこそ紙芝居と揶揄されるように、
一枚絵主体の構造であり、
だからこそ紙芝居に例えられるのでしょう。
しかし、近年のノベルゲームをろくにプレイせず、
ネット上で昔のイメージだけで語る人なんかは、
今でも紙芝居なんて言っていますが、
実際にプレイしている人からすれば、
紙芝居ではなく、人形劇じゃね?って疑問は、
誰しも持つはずです。
そして、そう思うのは、当然です。
当初は紙芝居のような構造だったノベルゲームは、
ゼロ年代以降、一枚絵軽視・立ち絵重視にシフトし、
人形劇のような構造に変わったのですから。
汎用性のある立ち絵を使いまわす方法は、
コストを削減することができます。
アイデア勝負の中小ブランドにとっては、
低予算でゲームが作れるわけですから、
非常に便利な方法と言えるのでしょう。
したがって、立ち絵重視の手法を、
一概に否定するつもりはないのですが、
本当にストーリーを盛り上げるグラフィックを用意したいなら、
立ち絵の使いまわしではなく、
その場面その場面に即した一枚絵を、
ふんだんに用いるべきなのです。
そういう意味では、個人的には、
ノベルゲームが立ち絵重視に変化したことについて、
間違った方向に進んでいるように感じられ、
大きな不満があったものです。
本作は、立ち絵を廃し、
一枚絵と演出により全てを表現しています。
つまり、人形劇ではなく、紙芝居なのです。
だから人形劇になってからのノベルゲーしか知らないと、
「通常のノベルゲーとは異なり~」という表現になるのですが、
昔を知っていると、ある意味原点に戻ったとなるのです。
例えるならば、推理小説でいうところの、
社会派とかの流行の後に出てきた、
「新本格派」といったところでしょうか。
もちろん、本作は、単に原点回帰したのではなく、
今の最新の技術で作られ、
豊富なグラフィックと演出により、
昔の紙芝居から大きく進化したものとなっています。
紙芝居、紙芝居と、安易に用いる人は多いけれど、
本当の紙芝居ゲーがどういうものなのか、
あなたは分かっているでしょうか。
百聞は一見に如かずといいます。
紙芝居と人形劇の違いを言葉で説明しても、
なかなか伝わりきらないところ、
最近は違いを示せる良い例もありませんでした。
本作は、たった500円でその違いを理解できるわけで、
それだけでも、意義があるというものです。
なお、ストーリーに関しては、普通ってとこですね。
良くも悪くも童話って感じです。
ボリュームも少ないし、テンポも良いので、
最後まで一気に読めるとは思います。
だから普通には楽しめるのですが、
特別面白いってものでもないというところでしょうか。
<総合>
総合では良作としておきます。
この作品を作る時間があるのなら、
faultシリーズの新作を早く出せよ、
いつまで延期するんだよ~という気はしますけどねw
その辺で少し複雑な気分ではありますが、
本作自体は現代型紙芝居の形を示したという点で、
十分に意義のある作品だと思います。
一枚絵重視にすることで、絵本感が増し、
童話という内容にもマッチしていますし、
雰囲気も良い作品です。
名作というには、もう一つパンチが欠けているのですが、
上記のとおり、500円で違いを理解できるという、
貴重な作品ですからね。
ノベルゲームの構造自体に興味のある人には、
ぜひともプレイしてもらいたい作品ですね。
ランク:B(良作)

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さくら、もゆ。 イブニクル2 その日の獣には、
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2018-06-01