『もののあはれは彩の頃。』

『もののあはれは彩の頃。』

『もののあはれは彩の頃。』は2017年にWIN用として、
QUINCE SOFTから発売されました。

アイデアの勝ちというか、うまく融合しましたね。



<概要>


ゲームジャンルはノベル系ADVになります。

あらすじ・・・
青年・東雲暁は、目覚めると紅葉の舞う河原に立っていた。
なぜここにいるのか、どう進むべきなのか、
なにも覚えていないままで。ただわかるのは、
目の前にサイコロが浮いているという状況だけ。
「さあ、賽を振りなよ」
まず、そうしないことには始まらない──
謎の女・クナドにそう促され、彼は与えられた賽を振る。
「──ここは」
すると、彼が目にしていた景色はガラリと変わった。
風流な自然もどこへやら、
彼が立っていたのは京の歓楽街・秋の祇園──「四条通……」
思わず口をついてしまうほど、どこか郷愁を覚えるその景観。
ただし普段は賑わい豊かなこの繁華街も、
今は嘘のように静まり返っている。
「五マス目──残念ながら、一回休み」
天より響くクナドの声。
彼は、ようやくこの世界の理を知る。「双六だ」
賽を振ると、マス目を進むことができる。
賽を振ると、あがりを目指すことができる。
そして、同様に覇を競う相手もいるということに。
「あんたは敵だ。あまり馴れ馴れしくするな」
制服に身を包んだ少女、野々宮京楓は冷酷に暁を敵とみなした。
彼女だけではない。双六ならば、勝者となるのは一人だけ。
「勝ってみせる。俺よりラッキーな奴はいない」
己こそが天に祝福されし運命の持ち主であると、
信じて疑わないのが彼の誇り。
青年は持ち前の幸運を武器に、あがりを目指して賽を振る。

<感想>


公式ジャンルは和風すごろく体感ADV。
本作のシナリオは冬茜トムさんであり、
過去の作品には、『Magical Charming!』や、
『運命線上のφ』があります。
それら過去作は、ゲームデザイン部分の凝った作品でしたので、
本作もそうなるのかと期待した人もいたでしょう。
また、近年はすごろくゲーというと、
あったとしても同人くらいしかないかもですが、
PC98の頃とかは、恋愛すごろくゲーとかありましたからね。
ここを訪れる人の中には、
結構昔からのユーザーもいると思いますし、
エロゲですごろくゲーと言われても、
あぁ~そういや昔あれがあったなと、
幾つか思い浮かべることのできる人もいるかと思います。
私も、最初本作の存在を知ったとき、
おぉ~久しぶりにすごろくゲーかと期待したものですが、
残念ながら本作は基本はノベルゲーであり、
すごろくゲーではありませんでした。
まぁ、公式ジャンルも、すごろく体験ADVであり、
すごろくADVではないですからね。
単なる私の勘違いでしかないところでもあり、
すごろくゲーかと思い込んでいる人は、
その認識は改めた方が良いのでしょう。

とはいえ、せっかくすごろくを題材にしているわけですし、
もっとすごろくとしてのゲーム性を、
本作に反映させても良かったと思います。
あるべきゲーム性が削がれているようで、
ちょっと残念でした。

他方で、ゲーム要素を薄くし、シンプルにすることで、
全体として分かりやすくするというケースもありますからね。
だからゲーム性が薄くなること自体を、
一概に否定するつもりはありません。
しかし、この作品の場合、仮に低い評価を付ける人がいたら、
その理由の多くに、何だか分かりにくいっていうのが、
挙がるように思います。
本作については、単純にすごろくゲーにした方が、
おそらく分かりやすくなったのでしょう。
なまじノベルゲーに混ぜ込んだものだから、
なんか分かりにくい作品になってしまったと。

以上のような作品ですので、
完成度は決して高いとは言えませんし、
改善の余地も大いにある作品だと思います。

しかし、じゃあプレイの価値がないかというと、
そうではありません。
過去のすごろくエロゲの場合、
プレイヤーはすごろくをしているわけですが、
ゲーム内のキャラはそれを認識していません。
しかし本作の場合、キャラ自体がすごろくの世界にいることを、
きちんと把握しています。
本作における、ストーリーの中へのすごろくの融合は、
わりと上手くできていたと思いますし、
プレイしたほとんどの人は、
アイデアは良かったなという印象は抱くはずです。

すごろくを進めるという目的は、
プレイヤーにもキャラにも共通認識としてあり、
序盤から目的がはっきりとしていますし、
すごろくの攻略ということで、
ある種の心理戦のようなものも展開されることになります。
キャラ同士の心理戦というものは、
今までのエロゲにも幾つも登場はしますが、
本作のような形での表現は他にないと思いますので、
誰がプレイしても、
新鮮な気持ちでプレイすることができるでしょう。
そして本作の最大の魅力もまた、
この部分にあると思うのです。

本作については、ほかにも、キャラは可愛いですし、
口パクとかもありますので、
そういう点での満足度もありました。

<総合>


本作については、何を重視するのかでも、
評価や印象は変わってくるのでしょう。
初心者の頃は、大抵の作品が新鮮に見えることから、
完成度の高い作品に魅力を感じると思います。

私は、元々完成度よりも独自性を重視する傾向がありますが、
私のような考え方でなかったとしても、
長年ゲームをやっていると、
新鮮な気持ちでプレイできることが減ってくると思います。
特にエロゲの場合、マンネリ化は激しく、
テンプレな作品も多いことから、
それで飽きて離れていくユーザーも多いですしね。
それだけに、どれだけ粗削りで欠点があっても、
新鮮な気持ちで楽しめる作品に出合えるという事実自体を、
尊重したいなと思うわけでして。

そういう意味では、本作は、いろいろ問題点もあるけれど、
新鮮な気持ちでプレイできたという観点からは、
今年の作品の中でも筆頭クラスであり、
その点を重視したいなと思いました。

総合では良作としておきますが、
もう少し分かりやすく煮詰めた内容になれば、
素晴らしい作品にもなるでしょうから、
今後の作品にも期待したいところですね。

ランク:B-(良作)





DL版


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