『Harmonia』

『Harmonia』

『Harmonia』は2016年にWIN用として、
Keyから発売されました。

Keyの15周年記念として企画された本作。
Keyらしさを感じられる作品は、
もしかしたらこれが最後になってしまうかもしれませんね。



<概要>


ゲームジャンルはノベル系ADVになります。

あらすじ・・・遠い未来の話。
大きな戦争で、地球が大きな傷を負っていた。
大気は灰色に汚れ、大地には生命の芽吹きは途絶え、水は干上がっている。
そして人口は最盛期の頃より大きく数を減らしていた。
ニンゲンたちは、その日を生きる為に身を寄せ合っていた。
そんな時代の中、感情人形(フィロイド)と呼ばれる、
感情機能をもつロボットが、朽ちた施設で目を覚ました。
戦争前の、人類科学の結晶で、
文字通り感情機能をもった人型のロボットだ。
人間の新たなパートナーとして、
生活をよりよい物にしていくと約束されていた存在。
しかし、目覚めたフィロイドは、すぐに自分に感情機能の欠落に気づく。
製作途中で放置されていたのであろう、
右手も人工皮膚に覆われておらず機械の骨格が剥き出しだった。
少年型のフィロイドは、本能的にニンゲンを求めた。
そして自分に欠落している感情を、得るため荒廃した世界を歩き続ける。
そんなある日、フィロイドは、ひとりの少女に拾われた。
少女は、彼のことを人間だと思い丁寧に介抱してくれる。
小さいけれど温かな町。
フィロイドの少年は、少女との生活の中で徐々に感情を学んでいく。

<感想>


まず、はじめに。
本作は2016年にsteamで英語版が発売され、
年末のC91で日本語版が発売されました。
一般販売分は2017年なので、2017年の扱いでも良いかもしれませんが、
まぁ日本語版も、早い人は2016年にプレイできたということで、
一応2016年としておきます。
記念作品なんだから、最初から日本語版を出して欲しかったと、
個人的には思うのですが・・・
なんか販売方法に疑問を持ってしまいます。

さて、本作は、あらすじを見れば分かるように、
SF要素を持った作品であり、また実際にプレイした印象からしても、
Keyの過去作の中では『planetarian』が近いです。
Keyの作品は未プレイという人がいれば、
本作よりも先に別の代表作をやれと言いたいですし、
『planetarian』が未プレイであるというならば、
先に『planetarian』をプレイして欲しいです。
その上で、『planetarian』のような作品が好きというのであれば、
本作も楽しめるように思います。

まぁ、本作は、特に目新しいものとか、
何か新たに得ることのできたものとかはなく、
新鮮味はかける作品なのでしょう。
だから評価としては低くならざるをえないのだけれど、
久しぶりにKeyらしさを感じることのできた作品でした。

近年はそもそも作品がほとんど出ていないのもありますが、
外部から呼んだライターの作品など、
Keyらしさを感じられない作品もありましたからね。
Keyらしさを感じられた最後の作品となると、
やはり2007年のリトバス辺りが最後になってしまうでしょうか。
そう考えると、Keyらしさを感じられる作品を、
もうプレイできなくなるおそれも十分にありえたわけで、
10年ぶりくらいにKeyらしさを感じられる作品をプレイできたことは、
ある意味それだけで満足といえるのかもしれません。
この作品自体の評価が伸びなかったとしても、
この作品が存在すること自体に、
長年のファンにとっては意義があるように思います。

また、本作は、地の文が多めになっておりますので、
会話主体の作品よりも、
じっくり読み進める作品の方が好みって人にも、
合いやすい作品だと言えるでしょう。

<グラフィック>


以上のように、内容に関しては、一定の満足は得られたのですが、
問題は画面表示の方ですね。

好き嫌いは別として、Keyらしさという観点からは、
樋上いたるさんの絵も大事になってくると思います。
樋上いたるさんの絵でなくなってしまうと、
なんか違うブランドに思えてしまいますしね。
こっちは、タクティクス時代から追いかけているわけですし。
その樋上いたるさんの絵は、
今作でも塗りも含めて良かったと思います。

問題なのは、絵の表示方法なんですよね。
本作は、テキストが縦書きであり、
通常時は画面の右半分にテキストが表示され、
左半分に立ち絵が表示されます。
そして、イベントCGが表示される時は、
そのCGを覆うような形で、
画面全体にテキストが表示されます。

何で、今更こんな表示方法にしたのでしょうか?
画面右半分の縦書きとか、どうしても違和感があり、
読みにくさを伴ってしまいます。
キャラと被らないようにと配慮したのかもしれませんが、
そうなると、もっと絵が大事なはずのイベントCGシーンで、
肝心のCGをテキストで覆ってしまうことが解せません。
大事なCGの魅力を、殺してしまうわけですからね。

シナリオを主で読ませたいのであれば、
確かにビジュアルノベルというスタイルをとることも、
選択肢の一つとしてはありえるのかもしれません。
(まぁ、美少女の絵が大事なノベルゲーにおいて、
その絵を殺しかねないシステムをとる意味は、
ほとんどの場合は存在しないのですが・・・)
ただ、Keyの場合は、
ずっとビジュアルノベルを作っていなかったのですよ。
ビジュアルノベルの絶滅しかけている今はともかくとして、
サウンドノベルの流行を受けて、
真似したブランドが幾つかあった90年代後半においても、
Keyはビジュアルノベルを製作していませんでした。
(タクティクス時代においては、PS版の『ONE』は、
ビジュアルノベルでしたが、オリジナルのPC版は違います。)
シナリオだけでなく、絵や音など、
他の要素も大事にしていたからこそ、
安易に流行にのまれることもなく、
そうしたシステムにしていたのでしょう。
それなのに、今更何の工夫も加えることもなく、
安易にこのシステムを用いたことは、
どうしても腑に落ちませんし、
単純に本作の持つ魅力を殺してしまっているように思います。

<総合>


総合では佳作でしょうか。

内容だけならC評価なのですが、
表示方法の分のマイナスも加えると、若干下がったという感じで。

まぁ、不満点もありましたし、
もう一度、いたる×麻枝作品をやりたかったなとの想いは残りますけどね。
それでも、Keyらしい作品や樋上いたるさんの作品が、
もしかしたらもうプレイできなくなるかとも思っていただけに、
たとえ過去作の劣化版であっても、もう一度プレイできたということは、
それだけで昔からのファンとしては満足できたように思うのです。

ランク:C-(佳作)





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