『ChronoBox -クロノボックス-』

『ChronoBox -クロノボックス-』

『ChronoBox -クロノボックス-』は2017年にWIN用として、
NO_BRANDから発売されました。

いわゆるシナリオゲー、
それもゼロ年代前半頃に多かったタイプが好きな人向けの作品でしたね。



<概要>


ゲームジャンルはノベル系ADVになります。
移動場所を選ぶ場面はありますが、分岐等もなく、
実質的には一本道の作品になります。

あらすじ・・・―大海に浮かぶ小さな孤島【天使島】
そこに住まう若者達の中に、期招来那由太はいた
彼の通う【EDEN】に流れる、当たり前の日常
友人達と、当然のように遊び、当然のように笑う日常
そんな日々は、たった一つの黒い箱と、
たった一人の黒い少女によって終止符を打たれる
きっと、大丈夫 忘れたままの方がいい
思い出してはいけない過去
EDENに集う天使のような仲間と、今日も日常を過ごす
少女が導く悪夢は、まだ終わらない―

<感想>


これ、率直な感想としては、
いかにもネット上で意見するタイプのエロゲユーザーに、
好まれそうな作品だなということでしょうか。
まぁ、最近のユーザーがどうなっているのか、
正確な所は分からないのだけれど、
一昔前にレビューサイトが一杯あった頃の、
そういう人たちに好まれそうなイメージって感じで。

本作のストーリーは、いわゆるループものであり、
ヒロインとの個別ルートを何回も繰り返しつつ、
次第に真相に迫っていきます。
途中にはグロを混ぜてプレイヤーにインパクトを与えつつ、
ラストにはSFっぽさを混ぜて、
ストーリーの壮大さや論理性や伏線回収も図ると。
・・・ね、なんか、そういう作品って、
いかにもエロゲユーザーに好まれそうですよね。

一昔前のゼロ年代前半に、
いわゆるシナリオゲーと呼ばれたジャンルがありました。
まぁ、何年か経ってネット上でだけは名作扱いされつつも、
実際にはその大半が売れていなかったので、
果たして本当に人気があったのかは分からないですけどね。
でもまぁ、とりあえず、
そういうシナリオゲー()なるものがあったのは事実です。

その一昔前のシナリオゲーに、
本作は良くも悪くも似ているのです。
プロットは一見すると凝っているようだけれど、
根本の土台部分がしっかりしていないから抜けも多い。
ストーリーの目的が序盤からはっきりせず、
主人公らの行動理念・原理も伝わってこないから、
イベント間をつないだ一本の筋としてのストーリーが、
どうしても弱く見えてしまう。
そして何となく意味が分からないまま進行しつつ、
最後でポンって種明かし~みたいな。
単に伏せていたのを後でまとめて出しているだけなのに、
なぜか伏線回収が凄いとか言われたりとか。
そういう、ライターのテキスト(シナリオ)は上手いかもしれないけれど、
プロットとストーリーが弱いような作品が、
シナリオゲーとか言われて幾つも存在していたわけですが、
そうした特徴が本作にも当てはまるのです。

まぁ、本作に関しては、プロット部分は割と頑張っていましたし、
シナリゲーが減っていると言われる今日、
同系統の作品を知らない人も増えているでしょうから、
エロゲ歴が浅いと衝撃を受けるかもなとは思います。
しかし、特に目新しいことをやっているわけでもないので、
個人的にはまたこういう路線かという感じでした。

それから本作に関しては、テキスト(シナリオ)も、
意見が分かれそうなところでありまして。
この辺は好みの問題もありますけどね。
シナリオゲー()を珍重する人は、全部文章で書いて欲しい、
つまり地の文を増やしてと思う人もいるのでしょうが、
私はゲームとして全体で表現できていれば良い、
つまりテキストでなく絵で表現できるのなら、
むしろそれで良いとすら考えるので、
本作のようなテキストも気になりませんでした。
しかし、本作がシナリオゲーのような立ち位置にあるだけに、
本作の癖もないけど簡素な感じのテキスト表現では、
いわゆるシナリオゲー好きには、
物足りなく見える面もあるのかなと思いました。

中身に関して触れるならば、
少し登場人物が多すぎたのかなと。
私は登場人物の多い作品の方が好きな傾向はありますが、
それだってケースバイケースです。
本作はヒロインの数が多かったがために、
個々のヒロインのルートが薄くなり、
メインヒロインの描写も薄くなってしまったのだと思います。
根本部分は同じであっても、
ヒロインの数を減らして総ルート数を減らし、
その代わりに各ルートやメインヒロインの描写を増やしただけで、
かなり印象は変わったように思うわけで、
ちょっと勿体なかったですね。

その他としては、グラフィックに関しては、演出も良かったですし、
キャラの塗りも良かったです。

<総合>


総合では佳作となるでしょうか。
普通には楽しかったです。

私はゼロ年代前半頃のシナリオゲーには、
懐疑的な部分もあり、辛めに評価している作品も結構あります。
本作は、当時のシナリオゲーを、
今のグラフィック水準で表現したような作品なので、
本質的には私に向かない作品ではあるのでしょう。

なので、当然ながら、逆の人にはすすめたいわけでして。
つまり、ゼロ年代前半のシナリオゲーを美化しつつ、
今はシナリオゲーがないとか言っているような懐古には、
これでもやっとけと言いたいです。
もちろん、今の現役ユーザーであっても、
一昔前の作品の方が好みって人にも、
本作はオススメと言えるように思いますね。

ランク:C-(佳作)



DL版


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