『Chatty(シャティ)』

『Chatty(シャティ)』

『Chatty(シャティ)』は1988年にPC88用として、
システムサコムから発売されました。

考えるADVから読むADVへ。
ノベルウェアシリーズの第2弾になります。

chatty01.png

<概要>


『DOME』に続くノヴェルウェアシリーズの第2弾。
原作者は小説家としてだけでなく、
海外SF小説やゲームブックなどの翻訳で知られる鎌田三平氏であり、
本作は氏の書き下ろし作品になります。

作品紹介・・・
遠い未来、一つの事件を巡る複雑な人間模様と、
絡み合う愛を描く、高年齢層向きのシナリオが展開します。
物語は、何者かのたくらみで
事件の犯人に仕立てあげられてしまった主人公が、
次元転移装置を使って別世界に飛び込んだところから始まります。

<総論>


選択肢を選びつつ読み進めるノベルゲームというのは、
つまり今現在ノベルゲームと呼ばれる構造の作品と同じ構造の作品は、
古くは84年から存在しています。
もっとも、ゲームの構造からは今のノベルゲームと同じであっても、
名称として「ノベル」という言葉を用いたものや、
また今日のノベルゲーのように、
必ずしもゲームということにこだわるのではなく、
絵と音の付いた小説という方向性を明確に打ち出したものとなると、
おそらくシステムサコムの「ノベルウェア」が元祖になるのでしょう。

何でもそうですが、元祖は認知度が高くなるものでして。
だからノベルウェアの最初の作品である『DOME』は有名ですし、
またゲーム業界という題材の珍しさや名前のインパクトから、
3作目の『ソフトでハードな物語』も有名です。
しかしその両作品に比べると、間に挟まれた2作目の『シャティ』は、
少し地味で目立たない印象があります。

しかしながら、『シャティ』に意義がないかというと、
決してそうではないのです。
というのも、そもそも最初の作品たる『DOME』には原作小説があり、
純粋なオリジナル作品とは言えません。
それに対して本作は、鎌田三平氏がシナリオを書きおろした、
完全オリジナルの新作になります。
したがって、この作品が登場したことにより、
ノベルウェアという存在が実質的に確立されたといえるのでしょう。
その意味では、ADV史的にも意義のある作品だと思います。

<感想>


さて、本作はノベルウェアシリーズの中の作品の一つになりますが、
実はノベルウェアシリーズも作品によって細かいシステムが異なります。
本作にも「見る」や「調べる」というコマンドがありますので、
形式的に見ればコマンド選択式とも言えるのでしょう。
しかし、80年代のコマンド入力式やコマンド選択式が、
考えることに一番の重点を置いていたのに対し、
ノベルウェアは読むことに一番の重点を置いています。
本作も一度コマンドを選択した後は、
結構な量を読み進めることになりますし、
同時期のコマンド選択式とは方向性が全然違うのです。
本作をプレイした人ならば、
これをコマンド選択式と呼ぶことには抵抗を感じるでしょうし、
だからこその「ノベルウェア」なのでしょう。

まぁ、例えば後のビジュアルノベルなんかにしても、
私は『To Heart』をノベルゲーと思って購入したんですよね。
実際、ビジュアルノベルとして発売されているわけですし。
でも実際にやってみたら、画面全体をテキストで覆っているだけで、
システム的には『雫』や『痕』と異なるのです。
移動場所を選択する場面が多いことから、
むしろ従来のコマンド選択式と同じ構造だと思い、
これってノベルと言えるの?って戸惑ったものでしたし。
ブランド側が同じシリーズとして売っていたとしても、
細かい部分は実際にやってみると異なることもあるんですよね。

少し余談になってしまいましたが、話を元に戻しますと、
本作は「ノベルウェア」であるということから、
つまりは読むことに重点が置かれているということでもあり、
したがって細部のシステムにも特徴があります。
それがノベルジェネレーターと呼ばれるもので、
具体的には本作はマルチウインドウになっているところ、
そのウインドウの大きさや、
表示されるウインドウの優先順位などを決めることができるのです。
他にも、メッセージスピードを変えられることなども、
今のノベルゲーでは当然の機能ではありますが、
当時としては珍しいものでもあり、
読むことに重点を置いた作品らしい構造となっていたといえます。
また本作は、マルチエンディングの作品でもありました。

ストーリーとしては、事件の犯人にされてしまった主人公が、
自身の無実を証明する旅に出るというものになります。
アダルトゲームではないのでしょうが、
複雑な人間関係や愛を描くなどアダルトタッチな内容であり、
大人向けの作品と言えるのでしょう。
今の18禁作品は、Hシーンがあるから18禁になっているものの、
ストーリーの内容的には中高生向けが主流ですからね。
そういう意味では、何の制限もないこういう作品の方が、
本当の意味で大人向けなんだと思います。

それと、このシリーズの多くがそうとも言えますが、
本作もまたサウンドが良かったですね。

<総合>


プロの小説家がオリジナルのシナリオを手がけ、
「読む」ことに重点を置くことを明言しつつ、
そのために必要なシステム構築もなされたノベルウェア。
現在の国産ADVのほとんどは、
ノベルウェアの理念の影響を受けたものといえます。
繰り返しになりますが、
そのノベルウェアを実質的に確立させたのが本作であり、
その意味で非常に意義のある作品だったと思いますね。

ランク:A-(名作)




関連するタグ PC88 /ADV /ノベル系 /


面影レイルバック   美少女万華鏡 -罪と罰の少女-  鬼と花妻
カテゴリ「1988」内の前後の記事





管理者にだけ表示を許可する

トラックバック http://advgamer.blog.fc2.com/tb.php/3183-0e79da49
| ホームへ戻る |