恋愛ゲームシナリオライタ論集30人×30説+

恋愛ゲームシナリオライタ論集30人×30説+

恋愛ゲームシナリオライタ論集30人×30説+

単独の記事にする予定もなかったの、
簡単ではありますが、感想を。


<恋愛ゲームシナリオライタ論集30人×30説+>


まぁ、それぞれが書きたいことを書いたのだなってのは伝わりました。
ただ、皆がそれぞれバラバラに書いているものだから、
統一性に欠けるんですよね。
だから文献としての資料的価値はなさそう。
せめて項目だけでも統一して欲しかったかな。

それと、記事担当者の多くが下手に格好つけようとして、
それで面白味に欠けてしまったところもあるかなと。
だから読んでて疲れた。
どうせ統一性なく好き勝手に書いているのならば、
俺はこのライターが好きなんだということを、
もっと前面に押し出して熱く語っても良かったように思います。

もっとも、東なんとかさんらの本みたいに、
偏見の押し付けが少なかったのは相対的に良かったです。
まぁ、ちょっと知識が欠けていて、
それで誤った知識を事実として書いてしまっている人もいるので、
そこは読者に誤解を与えそうですけどね。
でも、東なんとかさんらの本のように、
意図的に嘘の歴史や事実を刷り込もうとしているわけではないので、
それだけでもマシなのかなと。

あとは、then-dさんの麻枝さんの記事とか、
これももしかしたらちょっと強引と思う人もいるかもしれないけれど、
切り口とか私も興味深いと思いましたし、
好きな人は面白く読めて良いんじゃないかなと思いました。

全体的には、シナリオライターに対して真面目に取り組んだもの、
それもある程度の分量のものは少ないので、
こういう趣旨の本があることは良いことだと思います。

ただね、一点だけ。
冒頭を大石玄さんが書いていて、
ネットではそれなりに有名なのかもしれませんけどね。
この方、『闘神都市』(90年)で初めてエロゲに触れたらしいのですが、
あまり古い時代のエロゲに詳しくないでしょう。

エルフにアリスとか最大手だし、
そこに剣乃さん(シーズウェア)も挙げているけれど、
これらはシナリオだけで評価されたブランドではありません。
アリスはもちろんのこと、エルフもシーズウェアも、
ゲームデザインに凝ったブランドです。
シナリオも良かったけれど、グラフィックもサウンドも、
ゲームデザインも良かったから有名になり売れたブランドなんですよね。

昔も今もそうなのですが、エロゲにおいては、
シナリオだけ良い作品ってあまり売れないのですよ。
特に今よりもPC88やPC98時代の方が、
その傾向は強いと言えるでしょう。
また今よりも昔の方が口コミも弱いし、情報も残りにくいから、
発売当時は熱烈なファンがいても、
時間を経ることで埋もれやすくなりますしね。
だからシナリオだけは良かったから、
当時プレイした人の熱烈な支持は得つつも、
他が普通なために売上としては必ずしも良くなく、
それでブランドとしては有名にならなかった作品も多数あります。
売上的に大手ではないからと言って、
だからシナリオも悪いに違いないというのは、
今だけでなく昔においても間違いなのです。

そもそも、今回の企画からして、
作品全体はともかくとして、シナリオだけは良かったもの、
優れていると考えたシナリオライターに注目したわけでしょ。
ハッキリ言って、この本で取り上げられたライターの作品って、
ネットの一部では人気かもしれないけれどさ、
麻枝さんのような例外を除けば、
ほとんどは全然売れていないんですよね。
今はそういう作品でも、ネットに記事を挙げれば見つけられるけれど、
昔はそうでないから、時間が経つことにより埋もれるというだけで、
昔だって売り上げは伴っていないけれど、
評判が良くて熱烈なファンのいたライターもいたわけです。
私はシナリオライターに特別に注目する方ではないけれど、
それでも挙げるべきシナリオライターは何人かいると思うのですが、
その名前が全然挙がっていませんし、
むしろ存在しなかったような書きぶりになっています。
仮に売れていない作品のライターは除外するというならば、
今回取り上げたライターも大半が除外されるべきでしょうし、
昔のライターだけ除外されるいわれはありません。

エルフ・アリス・シーズという、
誰でも知っている大手だけ挙げているけれど、
そして確かにゲームデザインの観点からならば、
それらは当然挙げるべきなんでしょうけどね。
今回は、そもそもコンセプトが違うでしょ。
もしシナリオに着目するのならば、他に挙げるべきブランドがあるし、
当然挙げるべき人物も変わってくるし、
ちょっと見当違いではないでしょうか。
少なくとも、PC88や98のエロゲをシナリオの観点で注目するならば、
こういう書き方にはならないはずです。

本書の記事の中には、先程のthen-dさんの記事のように、
なるほどと思えるところもあります。
せっかく良い本になれたかもしれないのに、
出発点から失敗してしまっている。
結局本書で書かれていることは、過去は駄目だった、
俺がハマった時代「だけ」が最高だったのだという、
自分らのハマった時代だけを賛美すると受け取られかねない、
そんな内容なんですよね。
だから同じ時代を過ごした人以外には、
白けて見えてしまうおそれがあると。

もちろん、この本の趣旨は違うのでしょう。
でも、だったら端的に90年代後半からゼロ年代前半にかけての、
俺らが好きだった男性向けエロゲのライターについてと区切りをつけて、
それより前にも、それより後にも、触れない方が良かったと思います。
論点のずれたことを書いたがために本書の価値を損ねてしまっては、
勿体ないですし。

最後に。
あらためて思ったのですが。
好きなライターについて語る企画はよく目にします。
ただ、90年代に盛り上がったエロゲは、
ゼロ年代に入ってからは崩壊し右肩下がりなわけでして。
(まぁ個人的にはここ15年ほどは年平均の名作数は変わらないので、
良い作品自体は15年前から減ったとは思わないですが。)
だからユーザーがクリエイターにインタビューとかして、
そこで褒めちぎっていても生産的ではないわけでして。
このライターのどこが凄いとかよりも、なぜこのライターらの作品は、
現在のネットが普及し情報が容易に共有できる社会でも売れなかったのかと、
そっちを検討した方が業界にとって有益かもしれませんね。



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