planetarian ~ちいさなほしのゆめ~

planetarian ~ちいさなほしのゆめ~

『planetarian ~ちいさなほしのゆめ~』は2004年にWIN用として、
keyから発売されました。

ジャンル:ノベル系ADV
原画:こつえー(駒都えーじ)
シナリオ:涼元悠一

planetarian ちいさなほしのゆめ メモリアルエディション

シナリオに涼元悠一さん、原画にこつえー(駒都えーじ) さんということで、
個人的な期待も大きかったわけですが、
同時にキネティックノベルの第1弾としての役割も担った作品でした。

ノベルゲーム自体は80年代からあるわけですが、
当初は選択肢によって様々に物語が分岐するという、
ゲームブック的なゲームとしての側面も重視されていました。
ゲームブックが好きだった私はその形式自体は好きだったのですが、
かかる形式は同時に物語の主張がぶれやすいという問題も抱えていました。
プレイヤーを楽しませるというよりも、
ライターの主張をもっと前面に押し出したいという方向性が強まり、
次第に物語が分岐していく要素が失われていきました。
それでゲームと呼べるのかは疑問が残るところですが、
それでもテキストに音と絵が備わることで、
小説とは異なる独自のコンテンツとしての意義は有していました。
ただ、絵と音がついたノベルで1万近い価格は高いですし、
価格分に相応しくと無理にボリュームを増やしてしまえば、
中短編の良作は作りにくくなります。
そういう意味では、1000円というラノベと大して変わらない価格で、
音と絵のついたノベルを提供しようとするキネティックノベルの理念は、
私には大変素晴らしいもののように思えたものです。

さて、本作はその第1弾だったわけですが、ライターは涼元悠一さん。
青猫の街』で日本ファンタジーノベル大賞優秀賞を受賞してますし、
『AIR』で担当した部分も秀逸でしたので、
個人的にはかなり期待していた方でした。
原画はこつえーさんで、今もそうですが、
当時は特に人気の高かった方で、私も好きな原画さんでした。

そういうわけで期待せざるをえなかったわけですが、
キャラはやっぱり可愛かったですね。
ストーリーは荒廃した世界に主人公とロボットの女の子だけということで、
この手の設定が好きなだけに大体先も想像できてしまいます。
ラストもロボット三原則を貫いていますし、
意外性がなく想定の範囲内で終わってしまうのは確かでしょう。

でも、それでもグッときてしまうのは、
ライターの自力があるからなのでしょうね。
日本ファンタジーノベル大賞はあまり浸透できてないところもありますが、
ここの受賞者たちは実力者揃いで、
ハズレの多い賞も一杯ある中で珍しく良質な賞だったりします。
涼元さんは優秀賞でしたが、それだけの実力はあったってことですね。

かように基本的には満足できましたし、
元の価格からすればコストパフォーマンスも悪くないでしょう。
キネティックノベルの理念は伝わってきましたし、
十分に良作だとは思います。
人によっては名作にもなりうるでしょう。

ただ、いくら良くても、想定の範囲内ってのは、
私の評価のベクトルとはずれてしまいます。
できればありきたりな話ではなく、
もっと涼元さん独自の世界を見せて欲しかったわけでして。
ゲームのライターとしては文章力は抜群なのでしょうが、
そういうものを求めているわけではないですからね。
それこそ『青猫の街』のような、
涼元さんらしさを前面に出したゲームを作って欲しかったです。

それとキネティックノベルの理念は理解できるのですが、
涼元さんに限って言うならば、
フルプライスの作品で1本作ってみてほしかったわけでして。
そこで真価が問われるべきだったと思うのですが、
もうゲームから離れてしまったので、結局は分からずじまいでしたね。
その点は非常に残念で、今でも心残りです。

こつえーさんの絵も、せっかくならもっと一杯楽しみたかったですしね。
本作は良質な作品ではあるものの、
このコンビならフルプライスで見てみたかったという気持ちが先行し、
どうしても消化不良な気になってしまったものです。
キネティックノベルというコンテンツは応援したいが、
この作品はフルで見たかったということで、
ハッキリ言って矛盾した感想かもしれませんけどね。
そう感じてしまった作品でしたね。

ランク:B(良作)

planetarian ちいさなほしのゆめ メモリアルエディション

planetarian ~ちいさなほしのゆめ~ [初回版]

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