『死に逝く君、館に芽吹く憎悪』

『死に逝く君、館に芽吹く憎悪』

『死に逝く君、館に芽吹く憎悪』は2016年にWIN用として、
バグシステムから発売されました。

今時の商業作品で良くこれ出したねって思えるような、
発売されたこと自体が称賛に値する見事なグロスカゲーでしたね。

死に逝く君、館に芽吹く憎悪 dl

<概要>


ゲームジャンルはノベル系ADVになります。

あらすじ・・・
それは、何の前触れもなく起こった――。
平穏だった世界に、突如として現れた上位種族達。
彼らは一方的に人間を虐殺し、世界は混乱の渦へと飲み込まれていった。
家族と買い物の途中だった美亜もまた、その被害に遭ってしまう。
父、母、姉が殺害される中、必死に逃げた先でも別の上位種族の男と遭遇。
自棄になった美亜は、死を覚悟の上で男にナイフを突き立てた。
次の瞬間、美亜の意識は飛んでいた。
自分がどうなったのかもわからず、腹部には激しい痛みが感じられていた。
「私の体を傷付けておいて、勝手に死なせるわけにはいかない。
君の罪は……万死に値するのだからね……」
そして、意識を取り戻したとき、美亜は館のベッドの上にいた。
体に傷はなく、服は自分のものではないドレスが用意されている。
その館で再会したのは、あの上位種族の男。
彼は、美亜に館に住むよう命じ、数々の非道な行為を繰り返すようになる。
潰され……刺され……撃たれ……流され……
撥ねられ……食わされ……破裂させられ…………。
そして、意識を取り戻したとき、美亜は館のベッドの上にいた。
体に傷はなく、服は自分のものではないドレスが用意されている。
その館で――――――――――

<総論>


エロゲの歴史も30年以上になりますが、
振り返ってみると表現への規制と、
それに対する反発の繰り返しだったように思います。
規制されて、もうエロゲ駄目かなと思っても、
数年するとまた過激な物が出てくるって感じで。
もっとも、2009年に陵辱が規制されてからは、
商業作品で過激な陵辱系作品は激減してしまいました。

少し余談になりますが、直接的な陵辱作品は出せないということで、
ブランド側は半ば合意があったとも捉えられるように、
何かしらの方法で陵辱をオブラートに包む必要が生じました。
その手段として催眠やNTRが用いられるようになり、
結果として、表面的には催眠ゲーやNTRゲーが増えたのです。
だから事情をよく分っていない人だと、
催眠やNTRが突然流行り出したように勘違いしがちなのですが、
必ずしも当該ジャンルのファンが増えたというわけではないのです。
むしろ昔からのこれらジャンルのファンとしては、
表面だけ皮を被った「似非作品」が増えて困っており、
それを流行り出しただの細分化されただのと言われると、
少し抵抗を感じてしまいます。
少なくとも、従来は様々なジャンルとして出されていたものが、
規制により催眠やNTRに「統合」されていったのであり、
NTR等の内部で「細分化」されていったというように評するのは、
ベクトルが反対であり間違っているのです。

話がそれてしまいましたが、以上のように陵辱が規制されたことで、
商業作品からは陵辱モノが激減してしまいました。
特に過激なものほど、減ってしまったのです。
そのため、その類の作品を新作でプレイすることを望むのであれば、
今は同人ゲーをプレイするしかないような状況が続いているのです。

後述するように、本作は過激な陵辱が特徴のグロゲーになります。
上記の様な現在のエロゲの状況に中においては、
そもそもよくこれ出す気になれたねって時点で賞賛すべきなのでしょう。

<感想>


まず属性に関していうならば、本作は広い意味では陵辱系なのでしょう。
もっとも、もう少し細かくみていくと、
ヒロインが拷問されることが主の作品であり、
拷問リョナゲーとなると思います。

また、シナリオライターの和泉万夜さんは、
ブラックサイク時代からエログロを得意としています。
そうなると昔からのファンとしては、
本作もエログロ路線なのかなと思いがちでしょう。
実際、臓器がむき出しとなるシーンも多く、
グロゲーであることは間違いありません。
しかし拷問から生じるグロがエロに結びついていないので、
エログロというよりは単にグロゲーという印象になってしまいます。

むしろ、これはプレイして驚かされたのですが、
結構スカ要素のある作品です。
私はスカ要素は好きとまでは言えないものの、
逆にスカ要素があるからといって今更気になるわけでもありません。
だからプレイしていても、あぁ~スカゲーなんだで済みましたけれど、
もしスカが苦手ならば、少し注意した方が良いのかもしれません。

以上のように、本作はグロとスカが目立った特徴と言えますので、
全体としてはグロスカゲーと言えるのでしょう。
そしてグロスカゲーとしては、
商業でここまで過激なものは久しぶりでもあり、
存在自体が貴重でもありますので、
待ち望んでいたユーザーを満足させることができたのではないでしょうか。

<ストーリー>


ただ、その上での話となるのですが・・・

上記のように、本作のライターは和泉万夜さんです。
和泉さんは、陵辱系でも読み込ませるストーリーを書ける、
即ち、今では非常に少ないダーク系ストーリー重視作品を作れる、
本当に貴重なライターです。

これまでの和泉万夜さん作品の中には、
私も非常に高く評価した作品があります。
もっとも、これまでに関与した作品全てが名作というわけでもなく、
少しばかり特徴というか傾向があるように思われます。
まぁ、これはあくまでも私の印象でしかないのでしょうが、
フルプライスで和泉さん企画・シナリオの場合は、
大当たりも生まれる可能性があります。
他方で、小粒な作品で複数ライターの1人として参加している場合には、
その作品は大抵ハズレなのです。
だからもし私が出資者であれば、
企画からシナリオまで全部和泉さんの自由にさせて、
規模の大きい作品を作ってもらいたいと考えるでしょう。

そうした一般的な傾向から推測される結論が、
本作にもそのまま当てはまるように思います。
本作は和泉さんの企画原案であり、シナリオも一人で手掛けています。
そうであるからか、終始安定して読めますし、
個々のシーンでもグッとくることがあります。
だから面白いかと聞かれれば面白いと答えるし、
過去の代表作が好きな人であれば十分楽しめると思うのですが、
本作はミドルプライスの作品なんですよね。
そのため、過去の代表作より規模的に小粒になっており、
全体的に過去の代表作の縮小版のような印象も抱いてしまい、
そのことから生ずるもの足りなさもありました。

それから、本作でヒロインは、拷問されて何度も死にます。
何度も死にますというのは、拷問されて死んでしまうのだけれど、
記憶を失って復活するのです。
もっとも蘇生するヒロインは、
記憶が完全に失われてしまうのではなく、微妙に残っています。
それが少しずつ精神に影響し、後の行動にも反映されるわけでして。
その辺の匙加減の上手さはさすがに和泉さんだなと思いましたし、
単純にヒロインのグロシーンを一杯見られる楽しみもあります。

ただ、もちろんこれは事前に分かりきっていることなのですが、
そうは思っていても、こいつまた復活するんだろと思ってしまうと、
一つ一つの死の重みが薄れてしまうし、
個人的にはちょっと醒めてしまいます。
酷い目にあうのは一度だけでも、
その一度で取り返しがつかなくなってしまうような、
そういう重みを感じる作品の方が私は好みなんでしょうね。
その点で本作は、少し軽く感じてしまいました。
まぁ、この辺は、完全に私の好みの問題なのでしょうけれど。

<総合>


さすがに和泉さんの作品だなと思わせるだけの作品でもあり、
読んでいて面白い作品ではあります。

ただ、ミドルプライスの作品でフルプライスより小粒であることから、
過去の代表作の縮小版のような印象になってしまい、
主観的にはあまり楽しめなかったように思います。
またグロシーンの個々の重み、シーンの衝撃の程度という観点では、
同人ゲーにも他に優れた作品がありますし。
そうなると本作から得られたものは、
あまりないようにも思うわけでして。

そのため、一時は佳作とも考えました。
しかしロープライスよりは規模の大きいミドルプライスの、
しかも商業作品で、ここまでグロに特化した作品を出してきたことは、
やっぱりそれなりに意義があるよなと思います。
それに、リョナゲーでシナリオを楽しめる作品は少なく、
シナリオを楽しめるリョナゲーの代表格と言いうる作品であることから、
その観点からも意義があると判断し、
総合でもギリギリ良作としておきます。

まぁ、本作自体は名作でないにしても、
どんどん一部の人気ジャンルばかりに偏りつつある業界ですからね。
こういった作品のように、
層の薄いジャンルで良作を出してくれることは、
それだけでも非常にありがたいものです。

ランク:B-(良作)



死に逝く君、館に芽吹く憎悪

DL版
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