シナリオライター30選 (第3回、90年代10選その2)

シナリオライター30選 (第3回、90年代10選その2)

シナリオライター30選の3回目になります。

前回、90年代に活躍したシナリオライターで、
なおかつエロゲのシナリオライターに絞って考えてみたのですが、
途中で終わってしまったので、その続きになります。

※主に90年代に活躍したシナリオライターから選んだのですが、
一般ゲーのライターなどは別の機会に回すことにして、
今回はアダルトゲームのシナリオライターに限定します。

※前回は現役のシナリオライターということで、
どちらかというと今後期待したい人という観点が強かったです。
しかし、今回は既に現役でない方も多いですし、
時代が違うので異なる観点からでも良いのかなと。
そこで今回は、「エロゲ業界に何をもたらすことができたのか」、
という観点を強めにして選んでみました。

尚、記事を書く時間があまりなかった上に、
昔のことということもあり、主な代表作は結構適当です。
一杯代表作があって、ファンの方だと、
それよりもこれの方がって作品もあると思いますが、ご理解下さい。

※掲載順は、前回同様に五十音順にしようかと思ったのですが、
選考基準との兼ね合いから、基本的に古い順に挙げていきます。

前回挙げた5人
・蛭田昌人
・とり
・斎藤ケン坊
・田所広成(葛西みなみ、南泌流夫)
・広崎悠意


<藤堂信昭>


・得意ジャンルはノンフィクション・ミステリー。
・端的に言ってしまえば、どれも神谷右京シリーズとなるのだけれど、
 各作品は異なるストーリーであること、
 各シリーズで傾向も異なることなどから、選んでみました。
・基本的にライターである弁護士の藤堂信昭さんが、
 自身の経験した事件を元にしてシナリオを書いたものばかりになります。
・大江戸探偵神谷右京シリーズはフィクション率が高めですが、
 これまでの推理ものにはないジャンルを扱い、
 法律上の専門用語を交えながら進行するスタイルは他にはない、
 オンリーワンのシリーズでした。
・「真説」はノンフィクションとフィクションが半分ずつの割合になり、
 セミフィクションとして紹介されました。
 WIN版以降は「真・真説」シリーズとなり、
 更にノンフィクションの割合が増えています。
・藤堂さんが最も書きたくなかった事件として挙げたのが、
 最後の作品である『真説神谷右京 ~贖罪~』になります。
 もっとも、ゲームバランスなども含め全体的な観点で評価するならば、
 個人的には『真説 神谷右京2』が一番ですね。

・主な代表作
『大江戸探偵 神谷右京2』(大江戸探偵神谷右京シリーズ)

『真説 神谷右京2』(真説・大江戸探偵神谷右京シリーズ)


『真説神谷右京 ~贖罪~』(真・真説・大江戸探偵神谷右京シリーズ)



<三峰奈緒>


・得意ジャンルはファンタジー。
・プロット・ストーリー・シナリオの全てにおいて秀でており、
 作家とよべる域に達したシナリオライターは、
 三峰奈緒さん辺りからなんでしょうね。
 蛭田さんとか広崎さんとか田所さんとかは、ゲームデザインも考慮し、
 作家というよりクリエイターという印象になってしまいます。
 三峰さんは、あまりゲームデザインとは意識していなくて、
 単純にシナリオだけで勝負という感じなので、
 ちょっと毛色が過去の人らと異なるのです。
 また、後のいわゆるシナリオゲーのライターの場合、
 シナリオ技術はあっても、
 プロット・ストーリーに難のある人ばかだったので
 (そもそもシナリオ重視なんて言葉は、プロット等はパクリでも、
 俺はこの人の文章が好きなんだという場合に、
 その人の作品を褒めるために使われ出したものであり、ある意味、
 独創性はないというネガティブな言葉だったんですよね。ギャルゲーや
 人生等の様に、途中から好意的な意味合いで使う人が増えましたが。)、
 全ての面で秀でた作家となると、今でも三峰さん以上の人は、
 ほとんどいないんじゃないかなって思います。
・また、GAOGAO!シリーズ全4作として、
 シリーズものの大長編で上手く纏め上げた作品も、
 当時としては非常に珍しかったです。

・主な代表作
『カナン ~約束の地~』(GAOGAO!シリーズ)



『夢幻夜想曲』



<剣乃ゆきひろ(菅野ひろゆき)>


・得意ジャンルはSF
・本名は菅野ひろゆきなんだけれど、菅野名義の作品よりも、
 PC98時代の剣乃名義の作品の方が圧倒的に好きなので、
 個人的には永遠に剣乃さんです。
・どうも最近はストーリーの良い作品の代表みたいに言われがちだけど、
 もちろんストーリーもシナリオも良いのだけれど、
 ストーリーとゲームシステムの融合こそが、
 剣乃さんの真骨頂なのでしょう。
 したがって本質的には上記の藤堂さんや三峰さんのような作家ではなく、
 蛭田さんらと方向性を同じにするクリエイターなのだと思います。
・下記代表作で挙げた作品では特に、
 複数の視点・複数の物語の融合・表現に対して様々なアプローチを行い、
 それが一つの特徴でもあるのでしょう。
・PC98後期は中小ブランドを中心にゲームの簡易化が進んでおり、
 更にWIN95の登場でプログラムが難しくなったこともあって、
 アダルトゲームで複雑なことがやりにくくなっていったわけで。
 その時代の流れもあり、複雑な構造を採る剣乃作品に続く作品は、
 ほとんど出てきませんでした。
 しかし後年になって、昔にも非常に優れた作品があったのだとして、
 その例として剣乃作品が挙げられることが多く、
 そういう意味での影響は大きかったのでしょうね。

・主な代表作
『DESIRE』


『EVE burst error』


『この世の果てで恋を唄う少女 YU-NO』



<ふみゃ>


・得意ジャンルは、同性を扱った作品となるでしょうか。
・実のところ、今回の10人の内、最後の1人で悩みました。
 逆に20人とかなら悩まなかったかもですが、
 最後に絞り込むのに難儀しまして。
 好きなライターとかだと別の人になるのですが、
 幅広い活躍という業界への貢献という観点から、ふみゃさんにしました。
・下記代表作を例にすると、最初に有名になったのは、
 ゲームシステムとも上手くマッチさせた『逆玉王』でした。
 その一方で、純粋に読ませる『アトラクナクア』で、
 当時珍しかった百合ゲーの先駆けとなりました。
 その後は、『隠れ月』や王子様シリーズを手がけ、
 初期BLゲーの発展に大きく貢献したわけでして。
 普通のエロゲにしか興味のない人には馴染みがないかもですが、
 エロゲの裾野を広げるという意味では大きい存在だったのかなと。
 パイを奪い合っているだけの今のエロゲ市場において、
 本当に必要なのは、こういう人なのかもしれませんね。

・主な代表作
『ウェディング・エラントリー 逆玉王』


『アトラク=ナクア』


『隠れ月』



<麻枝准>


・得意ジャンルはファンタジー。
・エヴァ以降、セカイ系が注目され始めた頃に、
 いち早くエロゲに持ち込んだ『ONE』。
 泣きゲーという言葉が生まれるきっかけとなり、
 泣きゲーを浸透させた『Kanon』。
 それでいて、全作品に通ずる麻枝さんの本質部分、
 つまり闇の部分に関しては初期の『MOON.』こそ一番だったりしますし、
 似たようで、意外といろいろもたらしていたように思います。
・何をもたらしたかや氏の本質という観点から、
 主な代表作も上記3作にしましたが、
 個人的に最も好きだったり評価しているのは、
 『AIR』や『CLANNAD』になります。

・主な代表作
『MOON.』


『ONE』


『Kanon』


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自分はWindowsからアダルトゲームを始めた人間なので、名前を知らないシナリオライターの方も何人かいました。
エルフ、アリス、D.O.、シーズウェア、Keyのゲームは割りとプレイしていたので、蛭田さん、とりさん、ふみゃさん、広崎さん、剣乃さん、麻枝さんの名前は挙げられました。
あと三峰さんは夢幻夜想曲をプレイ済みでしたので挙げられましたが、他の方の名前は知りませんでした。

最近になってPC98のジャンク品を購入したので、katanさんがオススメする過去の作品も少しずつプレイしていってます。
NIKE、卒業写真/美姫、GAOGAOシリーズは最近になってプレイしましたが、どれも本当に素晴らしい作品でした。
神谷右京シリーズもkatanさんの感想を読んで面白そうなので、プレイしてみたいですね。

挙がらなかったのは、田所さんと藤堂さんと斎藤さんですかね。
藤堂さんと田所さんは以前から名前を出していたけれど、
斎藤さんはたぶん名前を出したの初めてです。

90年前後って、RPGが増えた時期でもあるけれど、
第一次ストーリー重視期って感じでもあったんですよね。
でも情報が散逸してしまっていて、
ライターの名前とか埋もれちゃっていて残念です。
斎藤さんもその一人で、他にも、あの当時を知る人だったら、
何で「秋まさき」さんの名前がないんだって思った人もいるかなと。
私はバーディーソフトの作品に対して全体的に辛口になっているけれど、
あの頃のバーディーソフトの人気や『CAL2』の評価とか凄かったですし。

F&Cの凋落っぷりから、どうも過剰に低く評価されがちですが、
エルフ、アリスと並んで御三家と評されたアイデスの存在は、
決して無視できないはずなんですよね。
エルフを育てたのが蛭田さんで、アリスを育てたのがTADAさんなら、
アイデスを大きくした田所さんの功績は同じくらいに大きいと思います。
特に田所さんの場合、アイデスを出た後にはPILを作って、
エロゲ業界にSM調教ブームももたらした人ですし。
ライターとして作品に関わる場合には別名義を使うことが多いので、
それで田所という名前が浸透しにくかった面もあるのでしょうが、
エロゲ業界で最も過小評価されている人だと思いますね。

神谷右京シリーズは、毛色が全然違いますからね。
慌てて先を進めても良さが分からないので、
できれば時間のある時にプレイしてもらいたいです。
普通のゲームのモブはモブでしかないけれど、
実在の人物はその人にとっては自分が自分の物語の主役なのであり、
実在の人物から構成されるこのシリーズのサブキャラも、
それぞれに私らと同じ人生があったんですよね。
さりげない一言にその人の生き様が集約されていて、
そういう部分をじっくり想像しながらプレイすると、
良さが分ってくる作品だと思いますので。

> 最近になってPC98のジャンク品を購入したので、
おぉ~購入したんですか。
どうせなら楽しんでゲームをプレイした方が良いですからね。
個人的には、発売当時にタイムスリップしたような気持でプレイすると、
この時期にこんな作品があったのかって感じで、
より楽しめるように思いますね。

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