『ルナシティ殺人事件』

『ルナシティ殺人事件』

『ルナシティ殺人事件』は1986年にPC88用として、
パスカル2から発売されました。

ある意味、元祖ザッピングゲーとも言える作品なのでしょうね。

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<概要>


ゲームジャンルはコマンド入力式ADVになります。

大雑把なあらすじとしては、舞台は西暦2216年の月面都市、ルナシティ。
そこで市長が変死体で発見されたところ、捜査を委ねられ派遣されたのが、
刑事である主人公の通称G・G。
主人公は一つの人格で二つの身体を持つという特殊な存在であり、
男性のグリフと女性のグラスの二つの身体の間で、
性別を任意に転換することができる。
プレイヤーは主人公となり、事件を捜査することになるのであった。
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<感想>


近未来を舞台にしたSFものと、事件の解決を目指す推理ものというのは、
PC88時代のADVの中では最も数の多かったジャンルなのでしょう。
良く言えば流行の人気路線なのであり、
悪く言えばマンネリとも捉えられかねないジャンルでもあるのですが、
本作はその二つの傾向を受け継いだ作品になります。

もっとも、そうは言うものの、
確かにADV全体では一番のメジャージャンルであるとしても、
アダルトゲームという枠組みで考えるのであれば、
意外にも、かなり珍しいジャンルでもありました。
PC98以降は推理もSFも多くの作品があり、
その中から幾つもの名作が誕生しますが、
本作はそういう作品の始祖的な位置付けになるのでしょう。

まぁ、当時は年齢制限自体が存在しなかったので、
とりあえずHなシーンがありそうなものに対し、
こちらが勝手にアダルトゲームと区分しているだけでもあるので、
そこにどれだけの意味があるのかは疑問も残りますけどね。

さて、本作の具体的な中身に入っていきますと、
ストーリーやグラフィック、細かいゲーム性などに関しては、
わりと良く出来ていたようには思うものの、
特徴と言えるほどに秀でてもいないのでしょう。

本作において、後に名作として語り継がれる可能性があるとするならば、
それは間違いなく性転換の要素だと思います。
上記のように本作は、男性と女性の身体を任意に切り替えることができます。
つまりは、ザッピングですね。
もっとも人格は一つなので、視点が切り替わるとか、
物語を多角的に見るというような要素はないので、
マルチサイトではありません。
従って、マルチサイトを伴わない、純粋なザッピングゲーとなります。

90年代の、特に剣乃作品が有名になった後は、
ザッピングとマルチサイトが一緒に用いられることが大半であり、
両者を一緒に考えてしまったり混同したりする人が増えたのですが、
本来は別物なんですよね。
マルチサイトを伴わない純粋なザッピングゲーは80年代に多く、
本作もその中の一本であり、それどころか場合によっては、
元祖として語り継がれた可能性もあるのでしょう。

ただ、残念ながらそうならなかったのは何故かというと、
まぁ単純にPCゲーだからマイナーだったというのもあるでしょうが、
システムとして使いこなせていなかったからなのでしょう。
例えば87年にはディスクシステムで『新・鬼ヶ島』がありますが、
あのゲームもキャラを切り替える必要があることから、
ザッピングゲーの元祖として語る人も多いです。
『新・鬼ヶ島』が有名なのはディスク用だからというのも大きいですが、
それでもキャラを切り替えることでゲームが進行し、
切り替える行為が攻略に活かされていたからなのでしょう。
他方で本作の場合は、Hシーンを見たいがために女性に代えるようなもので、
また最初だけ男性で後はずっと女性でも構わなかったことから、
切り替える行為が攻略にきちんと活かされていなかったのです。
なので人によってはザッピング要素をほとんど意識せず、
ザッピングゲーとの認識が薄い人もいたでしょう。
そこが本作の惜しいところでもあったのです。

<総合>


当時の人気ジャンルでありつつも、そこに独自の要素を加え、
しかもそれは後にADVにおける大きな要素として育つわけですからね。
後の人気ジャンルの始祖的存在として、
資料的な価値を見出すことも可能なのかもしれませんが、
特徴となりそうなところをきちんとアピールできなかったのは、
何とも惜しかったですね。

まぁ結果として個性のやや薄い作品となってしまいましたが、
他のアダルトゲームが個性だけは際立っていても、
基本部分の作り込みが弱い作品が多かっただけに、
穴の比較的少ない本作が相対的に浮いて見えたことも確かであり、
同年を代表する作品の一つとして良作とは言えると思いますね。

ランク:B(良作)

ルナシティ殺人事件

関連するタグ PC88 /ADV /コマンド選択式 /


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