<小説> 星虫 (岩本隆雄)

<小説> 星虫 (岩本隆雄)

『星虫』 (岩本隆雄)
第1回日本ファンタジーノベル大賞最終候補作。

たぶん、人生でこういうことを感じるのは数回あるかないか。
そんな風に思わされた作品でした。

星虫01

<概要>


ある日、宇宙から降ってきた“星虫”。
額につけた人たちの感覚を増大させ、神の贈り物とさえ呼ばれた“星虫”も、
巨大化し不気味に成長するにつれ、人々から拒絶されるようになっていった。
宇宙飛行士を夢みる友美、学校で居眠りばかりしている広樹。
友美と広樹が最後の“星虫”所持者になったとき、
二人の全世界を巻き込んだ冒険が始まった…。
第1回日本ファンタジーノベル大賞最終候補作。

<感想>


元々は第1回日本ファンタジーノベル大賞の最終候補作だそうで。
それが90年に新潮文庫から発売され、
2000年にソノラマ文庫から復刊された後、
2009年に「星虫年代記 1」として朝日ノベルズから発売されています。
下にそれぞれへのリンク先を張っておきましたが、上から古い順に並んでいます。

私が読んだのは真ん中の、2000年のソノラマ文庫版です。
全部挿絵が異なっている上に、少しずつ修正とかも加わっているようですが、
評価に影響を及ぼすほどの変更はない様子。
言葉遣いが現代風になったとか、そんな感じみたいですね。

日本ファンタジーノベル大賞は最近のはまだ読んでなかったり、
或いは積んでいるのでよく分からないのですが、
最初期はとにかく新人賞としては別格にレベルが高かったです。
第1回の大賞は『後宮小説』でしたが、
新人のデビュー作でいきなり直木賞の候補作にもなっていましたし。
直木賞は半ばベテランの功労賞みたいになってきているので、
純粋なファンタジー小説のデビュー作が候補に選ばれただけでも驚いたものです。
そもそも今は大賞が500万円ですが、
当時って確か大賞は1000万円なかったっけか?
何か記憶が曖昧になっていますが、もちろん出版もされますし、
アニメ化もされることでお得な新人賞でしたからね。
日本ファンタジーノベル大賞の候補作でもレベルが高かったのでしょう。

まぁ下世話な話はおいといて、
結局読みそびれていた私が読んだのが2000年ってことが、
ある意味最も重要なのですよ。

本作は架空の要素を用いたローファンタジーという意味ではファンタジーですが、
一般にはボーイミーツガール要素を含んだライトSFの、
ジュブナイル小説と言った方が早いと思います。
何度も復刊されたこの作品の解説をするのも野暮な気がしますが、
読んでとにかく面白かったわけでして。

ただ、同時に思ったんですね。
今読んでも凄く面白かった、
しかしもっと早くに読んでいれば、確実にもっと楽しめていたと。
中学生くらいの人が読めば、もしかしたら生涯のバイブルにもなりうるような、
そんな作品なのだと感じたのです。
だからちょっと私は遅かったなと。

勘違いしてもらいたくはないのですけどね。
例えば子供向けの作品には子供の時には楽しめたけれど、
大人になったら粗が目に入りすぎて楽しめなくなる作品があります。
まぁ、何故か私のよくプレイする年齢制限ありのノベルゲーも、
一時期から非常に厨二ゲーが増えまして。
自分がガキの頃だったら楽しめただろうになと思いつつも、
今はその厨二臭さが鼻について楽しめないケースも多いです。
そういうのも、言葉としては「もっと早くに出会えていれば」となるのですが、
もっと早くに出会えていれば楽しめたけど、
今は楽しめないってなるわけですね。

しかし本作は違うわけで、読んだときも凄く面白かったのです。
ただ、若いときに出会っていれば更に楽しめたというだけで。
こういうのを本当の名作と言うのでしょうね。
基本的に私は自分が楽しければOKな人なので、
別に他人に薦める気もおきないのですけどね。
本作は数少ない例外的な作品であり、
若い人にできるだけ早いうちに読んでもらいたいないと、
心底思ってしまう作品なんですよね。

昔、子供にラノベを買ってやりたいと思うのですが、
読ませるべき作品は何かという質問を目にしたことがありまして。
正直なところ、そういう質問は馬鹿かと思ってしまうのですけどね。
ラノベは趣味で好きなものを読むべきであって、
教養とか一般常識のために読むのであれば、一般文学でも読めと。
私も今ではこんなですが、
漱石、芥川とか定番ラインは小学生の時から読んでいましたから。
だから読むべきラノベとかは基本的にないと思うのですが、
例外的に1冊挙げるとすれば『星虫』なのかなと思うのです。

星虫01

星虫02

星虫03

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