『隠れ月』

『隠れ月』

『隠れ月』は2000年にWIN用として、
Alice Blueから発売されました。

全てはここから始まった・・・のかな?

隠れ月

<概要>


ゲームジャンルは育成SLGになります。

あらすじ・・・魔法によって作られた人造生命体である朔夜は、
何者かの呼ぶ声を聞いて目を覚ます。
そこは戦国状態にあるJAPANの魔法研究所で、
目の前には自分を作った男・草壁静真が微笑んでいた。静真はこう告げる。
「君は今日から九十一日間をこの屋敷で過ごす。
私と助手たちは、君に、君が望む教育をほどこそう。
つまり……君は試されることになるんだ。
どういった成長を選ぶのかも含めてね」
朔夜は自分が作られた理由も、
研究員たちがここに集っているそれぞれの理由もわからない。
それからの時間のすごし方によって、それは明らかになるかもしれない。

<感想>


本作は女性向けの、いわゆるBLゲームになります。
アリスソフトからBL専門レーベルとして誕生したAlice Blueからの発売ですが、
本作自体は18禁ではなく一般作品となります。

BLそのものに対する関心は薄いので、
BLゲーの歴史とか考えたこともないのですけどね。
例えば、オムニバス作品の『if2 ~イフ2~』(1993)の中に、
「やっぱり薔薇が好き」というホモシナリオが入っていますし、
その後も単発で何かしら出ていたようにも思うので、
探せば幾つかのブランドで作品が出ているのかもしれません。

ただ、アダルトゲームの最大手であったアリスが、
BL専門のAlice Blueというレーベルを作って本作を発売したことは、
認知度アップ・普及という観点からは大きかったと言えるでしょう。
その数か月後に他社から、
18禁の『好きなものは好きだからしょうがない!!』が発売されたわけで、
2000年というのはBLゲー市場にとって、
特別な意味を持つ年だったように思います。
そういえば、ゲイゲーの『炎多留』も2000年でしたしね。

さて、本作の舞台なのですが、
未プレイでも勘の良い人ならあらすじで分るのかな。
戦国状態にあるJAPANということで、
アリスの代表作であるランスシリーズと世界観を共通にしています。
今なら『戦国ランス』(2006)と言えば、すぐに分ってもらえるでしょう。
もっとも本作は2000年の発売ですので、
本作発売時には当然、まだ2006年発売の戦国ランスはなく、
従って当時の印象としては、
『鬼畜王ランス』と世界観を共通にしたとなるでしょうか。

男性向けと女性向けはユーザー層が異なるので、本作をプレイした人の中にも、
ランスシリーズ未経験の人も結構いるのかもしれません。
しかし魔人とかランスシリーズの設定が絡んできますので、
ランスシリーズを知っている方がより楽しめると思います。
またBLゲーは興味ないよという人でも、
ランスシリーズの世界観を漏らすことなく把握したいコアなファンならば、
本作はやっておいた方が良いのでしょう。
特に戦国ランス発売前は、JAPANを知る貴重な手がかりでもありましたので、
余計にもプレイの価値があったと思います。

本作は、何を求めるかでも印象の変わりうる作品でして。
濃いBLを求める人には18禁でない本作は少しもの足りないかもだけど、
BLにちょっと興味を持ち始めたライト層とか、
ランスシリーズの延長でプレイしようかと考える人には、
これくらいでもちょうど良いのでしょう。
例えば80年代にRPGを普及させるため、
堀井さんはドラクエ1から少しずつ複雑にさせていったわけで、
つまりはドラクエ1はかなりシンプルだったわけですね。
従ってPCでRPGをプレイしていた人にはDQ1はもの足りない内容だったけれど、
RPGを知らない人の入門作には最適だったのです。
本作もBLゲーの最初期なわけですから、
時代的な点も踏まえれば、これで良かったのでしょう。

因みに本作のライターはふみゃさんで、当時は勢いのあった頃ですからね。
それでシナリオも楽しめた感もあるのだけれど、
あまり目的意識のハッキリしない作品でもありまして。
本作はゲームジャンル的には育成SLGとなるのだけれど、
育成SLGは目的意識のハッキリした作品も多かったですからね。
育成SLGという観点で捉えると、何かもやもやした印象を抱きかねないのかなと。
他方で、育成SLGのシステムを用いつつ内容面が恋愛という場合、
いわゆる恋愛SLGなどでは、普通の日常が続いたりするので、
目的意識のないような作品も多いです。
なので、恋愛SLG的な意識で臨むならば、特に違和感もなかったのかなと。

<総合>


作品の完成度だけで考えるならば、佳作くらいなのかなと思います。
しかし、やっぱり時代的なものは大きいですね。
本作の登場は衝撃的でもあったし、
新しい時代の幕開けを感じさせてくれた点は大きかったわけで。
その点も加味して、良作としておきます。

ランク:B-(良作)

隠れ月

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