『クリムゾン・エンパイア ~Circumstances to serve a noble~』

『クリムゾン・エンパイア ~Circumstances to serve a noble~』

『クリムゾン・エンパイア ~Circumstances to serve a noble~』は、
2008年にWIN用として、QuinRoseから発売されました。

とにかく圧倒されたというか、大ボリュームの渾身の作品でしたね。

クリムゾン・エンパイア

<概要>


ゲームジャンルは詳細は後述しますが、公式上ではADVとされています。

商品紹介・・・貴族の国・ルクソーヌの属国。
華やかな王城を舞台に、メイドという立場で行う恋愛アドベンチャーゲーム。
舞台裏で起こる、血生臭い駆け引き。
第二王子付きのメイド長という役職で、護衛も兼ね、高い戦闘能力を誇る主人公。
元奴隷、暗殺者としての訓練も受けたという過去がある。
刹那的な生き方と、ささやかな願望。
職務に臨むときの万能さと、私生活での不器用さの同居。
利害や人間関係の絡み合う権力争いの中、
主を王位につかせるため様々な策を講じ様々な人間を利用していくこととなる。
戦闘や工作においては有能でも、恋愛や友情の育み方はうまくいかない。
ちぐはぐな力と心を持つ、彼女の迎える結末とは―――。

<ゲームデザイン・システム>


さて、本作は公式上はADVとなっているし、
ベースには読み進めるノベル系ADVがあると思うので、
まぁADV扱いも構わないのかもしれませんけどね。

ただ、一点だけ注意が必要でして。
本作はターンごとに進行し、社交などで好感度をあげたり、
クエストで支持率をあげたりとSLG的要素が含まれています。
また戦闘・育成もあるので、RPGの要素も含まれています。
従って、RPG・SLG要素の含まれたADVとなるのです。
RPGやSLG目当ての人が満足するほど本格的ではないのだけれど、
かと言って完全にオマケ程度と軽視できるほどの簡単なものでもないので、
純粋なADVないしノベルゲーだけがやりたいって人の場合、
合わない可能性も出てくるでしょう。
プレイする前には、本作は複合的な構造の作品なのだと、
ただ読むだけのノベルゲーではないのだと、
その点は理解しておく必要があるかと思います。

まぁ、ブランドの過去作を知っていると、何ら問題はないのですけどね。
過去作との比較という点では、『アラビアンズ・ロスト』と同じ路線ですね。
因みに『アラビアンズ・ロスト』も複合的でゲーム性は高かったのですが、
コンフィグ等のシステム周りが貧弱であり、そこが大きな欠点でもありました。
基本システムが、同人で用いられているのを流用したような感じでしたからね。
本作は、そこが大きく改善され快適に遊べるようになりましたので、
それだけでも大きな進歩と言えるように思います。
また上記のような構造ですので、
多少のゲーム性もあった方が楽しめるという人ならば、
普通のノベルゲーよりも楽しめる確率は高くなるのでしょう。

尚、本作はゲーム機にも移植されているのですが、
複雑な構造だからでしょうか、どうやらバグだらけのようでして。
まぁ私はゲーム機のはプレイしていないので、
正確なところは分らないのですけどね。
とりあえず、できるならば、
オリジナルであるPC版をプレイした方が良いのでしょう。

<ストーリー>


本作は女性向けの、いわゆる乙女ゲームになります。

乙女ゲームということで、もちろん恋愛の要素もあるのですが、
そもそも主人公は戦うメイドという設定でして。
第二王子付きのメイド長という立場から、
主を王位につけることが目的となります。
典型的な乙女ゲーを望む人にはどうなのか分かりませんが、
個人的にはただ恋愛だけってよりも、こういう作品の方が楽しめますね。

主人公の設定からして上記のようなものなので、
従って単に男性に守られるのではなく、むしろ主人公が守る側であり、
強くて格好良くて、行動的なところに好感が持てますしね。
また、このブランドの特徴でもあるようですが、
主人公は結構毒を吐くようなところもあって、
キャラ的に男性向けゲームなどではいないタイプなんですよね。
だから新鮮さも加わって、より一層楽しめました。

もちろん、攻略対象キャラは個性的ですし、
各キャラごとのイベント数も多くボリューム面も十分です。

<グラフィック>


本作の最大の魅力として、グラフィックが挙げられるでしょう。
何でも、CG数は2000枚以上だそうで。
RPGやSLG的な部分では立ち絵やフェイスウィンドウが用いられるのですが、
物語が進行するADV部分の、いわゆるイベント部分では、
豊富な一枚絵とその差分だけで物語が進行します。

ゲーム開始時から、どんどん新しいCGが出てきますからね。
下手なゲーム一本分のCGを、
この序盤だけで使っちゃったんじゃないかと思うくらいです。
もう、この時点で圧倒されましたね。
男性向けブランドで、爪の垢を煎じて飲ませたいブランドも幾つもありますよ。

何故だか男性向け作品は、
立ち絵をピョンピョンさせたがる方に発展しがちなのだけれど、
立ち絵は所詮は汎用・代用品ですからね。
幾ら立ち絵がぬるぬる動いても、汎用の物を用いている時点で、
その場の状況を正確に表現するのには限界があるのです。

きちんとその場面の状況を表現したCGを用意して、
内容に合わせて更に差分で変化を加えていく方が状況が正確に伝わるし、
それこそが一番の正攻法なんだと思います。
だから本作の様な労を惜しまず正攻法で攻めた作品をプレイしてしまうと、
立ち絵だけ動いて演出すげぇって言われる作品が、
何ともチープに見えてしまうのでしょう。

また本作のCG枚数は、QuinRoseとしても最大級の枚数でしょう。
だから過去作は本作よりは少ないのでしょうが、
それでも過去作でも枚数の多い作品はありました。
ただ過去作の場合、いかにも質より量って感じで、
デッサンが崩れたり一枚一枚の質が低かったんですね。
本作は、塗りこそ少し癖があるかなと思うものの、
顕著なデッサンの崩れなどはなくなり、
一枚一枚のCGのクオリティも過去作より上がっており、
グラフィックにおけるこれまでの弱点は克服されたと言えるでしょう。
このように、質が向上しそれまでの欠点を克服しつつ、量が大幅に増えたことで、
明確かつ大きな長所となりえたということですね。

<感想・総合>


脱帽ですね。
それしか言葉が出て来ないです。
二次絵の男性向け商業作品では、今ではもう、こういうのは作れないかも。
いやもう、本当によく作りましたよ。

戦闘が面倒とか塗りが濃いとか、好みの問題の、
いちゃもんのような理由でこれでも点数が低めになっていますが、
傑作だと言う人がいても何ら違和感のない作品でした。
女性はもちろんのこと、男性ゲーマーにも知ってもらいたい作品ですね。

ランク:A(名作)

クリムゾン・エンパイア

DVDソフトクリムゾン・エンパイア

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