『女王蜂の王房 めのう編』

『女王蜂の王房 めのう編』

『女王蜂の王房 めのう編』は2014年にWIN用として、
PUREWOOLから発売されました。

18禁乙女ゲーの中でも異端となる意欲作であり、
ミドルプライス作品として二分割された中の一本となります。

女王蜂の王房 めのう編

<概要>


ゲームジャンルはノベル系ADVになります。
「女王蜂の王房」には「めのう編」と「輝夜編」の2本があります。
両者はそれぞれ、同一時間上の物語を「めのう」の立場から描いたものと、
「輝夜」の立場から描いた作品になります。

一応どっちからプレイしても構わない構造になっているので、
輝夜編を先にとか輝夜編だけというのも可能です。
しかしながら、どちらかというと「めのう編」のストーリーが基礎にあって、
その裏側や補完が「輝夜編」といった感もありますので、
できれば「めのう編」からプレイした方が良いでしょう。
個人的には輝夜編の方が好きなのだけれど、
輝夜編を存分に楽しむという観点からも、
まずめのう編を先にプレイした方が良いと思います。
本作はミドルプライスの作品ですし、
フルプライス二本よりは負担も少ないですからね。

あらすじ・・・ヒトを支配し、喰らい、数百年の寿命を保つ【蜂】。
天空にそびえたつその【巣】を維持する、我ら蜂の母たれ――。
幼い頃から主人公・めのうはそう言われ、王城の奥深くで育てられてきた。
しかし、ヒトを喰うことに抵抗を感じる彼女は
焦りを感じつつも、女王の自覚を持てないまま日々を過ごしていく。

そんな時に母である女王から命じられたのは、輝夜を暗殺せよとの命。
その時初めて輝夜が生きていることを知るめのう。
時同じくして、次期女王の夫となるために、オス達が動き始める。
なぜ輝夜の生が隠されていたのか。女王になるために失うものとは。
ヒト、蜂、女王の思惑が交錯する中、血塗られた歴史の上に、
ひとりの少女の物語が開幕する――!

<ゲームデザイン・システム>


少しストーリーの話とも重なってしまうのだけれど、
本作は独特の世界観の下、暴力的な展開や痛々しい描写が多いわけでして。
定義って難しいなと思うところでもあるのですが、
例えばエロゲって言ってしまうと、
エロが薄いことに激怒する人とか出てきてしまいます。
でも18禁ってエロだけが理由ではないはずであり、
エロが薄くても別の理由で18禁になる場合もあります。
だから私はエロゲという言葉を極力避け、
普段はアダルトゲームという言葉を使うことが多いのです。
まぁ文字数が多いので面倒臭く、エロ重視の作品とか、
或いは皮肉で用いる場合にはエロゲって書いちゃいますけどね。
本作は18禁の女性向けゲームであり、
R18の乙女ゲーと紹介されることが一般的なのでしょう。
しかし乙女ゲーという言葉の場合、女性が主人公であるというだけでなく、
その女性主人公が男性キャラを攻略して恋愛を成就するという意味が含まれ、
厳密には範囲が限定されています。
つまり男性向けで言えば萌えゲーであるとか、
恋愛もののシナリオゲーというものが、女性向けの乙女ゲーになるのでしょう。
本作は、男性向けで例えるならば、いわゆる陵辱ものに近いのです。
だから乙女ゲーって書かれ、いわゆる典型的な乙女ゲーを期待すると、
萌えゲーと思って買ったら陵辱ものだったという場合に近くなり、
何だこれはと思ってしまうわけです。
作中で描かれる描写もハードですから、
もうその時点で結構人を選ぶ作品になっているわけですね。
まぁ、だったら乙女ゲーって言わなきゃ良いじゃんって思いそうですけどね。
本作は男性向けでいう抜きゲーとも異なるわけで、
一番近いのは一昔前に多かった「ダーク系」の作品となるのでしょう。
その様なダーク系という概念は男性向けでも廃れましたし、
ましてや女性向けでは定着していないことから、
乙女ゲーという言葉を使わざるをえないところもあり、
それが賛否分かれる要因にもなってしまっているのでしょう。

また、ここは説明がしにくいところでもあるのですが、
本作は女性向けのダーク系というよりも、
男性向けのダーク系ないし陵辱ものが作品作りのベースにある感じで、
言うなれば「男性向けの女性主人公もの」と近いのですよ。
そこに女性向けのエッセンスを少し加えたという感じで。
だから典型的な女性向け作品の構造と少し異なるのであり、
それがまた女性向け作品だけをプレイする女性ユーザーには、
理解のできない部分を生み出したということにつながっているのかなと。
まぁ、その分、男性ユーザーには入りやすい作品だと思うのですが、
男性向け作品の文法で描かれた女性向けという何とも珍妙な作品であり、
そこは非常に興味深いよなと。
抽象論ばっかで退屈になるかもなので、一例だけあげておくと、
このシリーズは女性向け作品にしてはフェラのシーンが多いです。
とにかく貪っているしw

この男性向けと女性向けのちゃんぽんみたいな構造というのは、
ゲームデザイン・システム面にも表れていまして。
本作のEND数は、めのう編が16個、輝夜編が20個あります。
近年の男性向けはEND数の少ない作品が多いので、
男性向けの陵辱ものと比べるとEND数が多いと言えます。
しかし、女性向け作品はEND数が多く、本作より多い作品も幾つもあります。
従って、分岐やEND数が多いというのは、女性向け作品っぽいのでしょう。

他方で、例えば本作はシステム周りが充実しています。
個人的には解像度を自由に変更できる機能はありがたかったですし、
それだけでなく、本作ではマウスジェスチャーも使えます。
プレイ中の便利さという点では、女性向け作品の中でも最高峰でしょうね。
ただ、こういうプレイ中の便利さって発想は、
男性向けに通じるものがありまして。
まぁ男性向けでも、ここまで揃っているのは滅多にないのですけどね。
その一方で、一度見たイベントはいつでも見られるとか、
音声を保存するとか、クリア後に楽しむ要素は薄く、
女性向けでシステムが充実していると言われる他作品とは、
方向性が異なるように思います。
かようにシステム周りも男性向けの色が濃く、何とも興味深いよなと。

<グラフィック・サウンド>


CGは枚数とかデッサンとかを重視すると、平均的な内容かなと思います。

ただ独特な世界観のファンタジーものですし、
女性向けの中ではトップクラスの過激さを有しますので、
単純に見ていて楽しめました。
序盤の女王の姿とか、思わず吹き出しましたしねw
そういうネタ的な観点からも楽しめたので、十分かなと。

また声優さんも良かったですし、OPも非常に好きでした。
OPは2014年の作品の中でも1・2を争うほど好きですし、
この部分はポイント高いです。
総じて、演出面全般は良かったと思います。

<ストーリー>


グラフィック良し、サウンド良し、システム良し、キャラも良し。
ストーリーは・・・ドンマイ、気にすんな。
細けぇことは良いんだよ、細けぇことは。
過激な場面でネタとして楽しめれば、それで十分じゃんよ。
・・・って作品ですねw

つまりね、設定とかあらすじを見ると、何だか面白そうなんですよ。
キャラも変態ばかりだけど個性は際立っているし、
盛り上がる場面は盛り上がるし。
だから途中までは読んでいて楽しいのです。
ただ、一番はプロットが駄目なんだろうな~
或いは、それをきちんと伝わるようにストーリーとして表現できていないか。
プレイしていると、終盤の方で何だか意味が分からなくなってくるのです。
だから物語の整合性を重視する人とは非常に相性の悪い作品で、
その点で否定的な人が出てくるのは当然なのでしょう。
個人的には、そりゃ整合性があって設定がしっかりしている方が良いし、
それが出来ていない以上、ストーリーを高く評価することもできないですけどね。
でも、一番嫌いなのは整合性があっても、単調でだるい作品なもので。
本作は、部分的にはネタとして楽しめるので、
割り切れば面白い作品と言えるし、その分だけましだったということですね。
キャラも良かったので、
ストーリーの弱い部分は他でカバーって印象でしょうか。

<総合>


もしストーリーだけ、本作だけで判断するならば、
あえて本作をプレイする必要はないのでしょう。

ただ、OPとかグラフィックとかは良かったし、
キャラが個性的なので場面場面では楽しめましたしね。
まぁ箱入りお嬢様である本作の主人公は、
あまり好感が持てる方ではなかったですが、
何より本作をプレイしてこそ、もう一方の輝夜編が更に輝くわけで、
その意味でも外せない作品なんですよね。
なので、輝夜編のためにも必要という意味も込めて、
総合でも良作としておきます。
評価はともかくとして、乙女ゲーの中では異端な作品なのでね、
こういうのが出てきたってだけでも意義はあったと思いますね。

ランク:B(良作)

女王蜂の王房 めのう編

DVDソフト女王蜂の王房 めのう編

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