『幻想のアヴァタール』

『幻想のアヴァタール』

『幻想のアヴァタール』は2010年にWIN用として、
べにたぬきから発売されました。

この価格でここまでやれるのかという、高水準な同人ゲーでしたね。

幻想のアヴァタール

<概要>


ゲームジャンルはノベル系ADVになります。

商品紹介・・・
信じることのできる思い、信じてくれる人たちの思い。
その中にこそ、本当の私がいるんだ──

CG200枚以上、総プレイ時間30時間。
長編‘現代和風’伝奇ビジュアルノベル!

物の怪の棲まう現代日本。
彼らを見ることができる主人公、猿渡十哉は、
霊障を解決する探偵業を営んでいた。
そこに駆け込んできた少女が、
十哉に『黒い霧』なる悪霊を祓って欲しいと依頼するが……。
物の怪、人間、そして二つの間を揺れ動くものたちが繰り広げる、
伝奇バトルストーリー。

<感想>


同人ゲームということもあり音声はないのですが、
CG枚数もプレイ時間も平均的なフルプライスの商業作品を超える程で、
まさに同人枠における大作ノベルといった感じですね。

シナリオも普通に良いと思いますし、
伝奇バトル系が苦手でなければ十分に楽しめるのかなと。
ただ、バトルにおいて同じような展開が続いたり、
やや冗長な部分があったりするので、
ストーリーに関しては少し弱さもあるのかなと思います。
まぁ、この手の作品で私が楽しめたくらいなのだから、
普通の人ならまず楽しめますが。

ティータイムとして幕間があり、
次章のあらすじとか、これまでの流れも説明してくれますし、
ストーリー内で細かい説明とかもあるので、
非常に丁寧に作っているなという印象を受けます。
もちろん、そこに好感も持てるのだけれど、
逆を言えば作品に入れたい物をなんでも詰め込んだ感じで、
それが上記の冗長さにもつながったのかなと。
プロの物書きだと必要のない部分は削ったりもするのですが、
全部入れちゃえって辺りが、良くも悪くも同人らしいのかもしれません。
個人的には、もう少し削っても良いのかなと思いますが、
この同人っぽさが好きな人には更なる魅力にも見えるでしょう。
その辺は同人に何を求めるのかとも関連し、好みで別れるでしょうね。

全体的に好印象の作品なのですが、
気になるとすればグラフィックの表示方法なのかなと。
本作は立ち絵も頻繁に動きますし、エフェクトによる演出も優れているんですね。
この辺は下手な商業作品より上で、本当に良く作ってあります。
ただ、ビジュアルノベルと名乗っているように、
画面の全体をテキストで覆うタイプでして。
一枚絵の魅力で惹きつける作品ならば、
その絵の上にテキストを表示させるのも一つの手だと思うのですが、
画面が頻繁に変化する作品で全体を覆うタイプですと、
何とも画面が見にくいですし、演出でテキストを消すと、
テンポも削がれてしまいます。
この手の表示方法は、解像度が低く立ち絵等の変化が乏しい時期には、
それなりに使い道があったと思うのですが、
本作の様な作品では逆に長所を消してしまうように思います。
もちろん現在でも、工夫すれば問題ないですし、そういう作品も現にあります。
しかし例えば、本作は厳密には画面全体ではなく、
画面中心から上下8割ほどをテキストで覆います。
つまり上下の端には、テキスト枠がないわけですね。
でも、画面の端って普通は大した変化がないですし、
ここだけ枠を外す必要もないでしょう。
また本作は画面内のテキストが更に3~4行ごとに段落分けされており、
この段落単位で画面に表示させても構わないと思います。
そうすれば画面下部にテキスト欄を表示する通常のタイプでも、
本作を実現することはできたはずなんですね。
その方が作品の魅力をもっと引き出せたように思うわけで、
ビジュアルノベルであることの必要性や、
ビジュアルノベルたりうる工夫がなされておらず、
問題点がそのまま残ってしまうのです。

オリジナルの同人作品で、シナリオが良いのに売り上げが低い場合も多いです。
何かが売れた場合、シナリオが良いからとか、
信者は一つの点に理由を決めつけたがる傾向がありますが、
購入する人がどこに興味を持つか、どこを嫌うかは人それぞれでして。
音声必須と考える人が本作に手を出さないのはもちろんのこと、
本作の様な画面全体を覆うタイプを苦手とする人もいるので、
必要性がない限りは違う手法が良いのかなと思うのですけどね。

<総合>


面白かったし、この価格でこの演出やボリュームは凄いよなと思うものの、
ストーリー展開と表示方法に気になる部分もあり、
総合では良作としておきます。

フルプライス作品との差額は7000円ほどですが、
音声に7000円分の価値はないよと考えることができる人ならば、
非常にオススメな作品なのかなと。
読み物としては、このレベルの物は商業でも年間に数本レベルでしょうし。
音声にこだわりがなければ、コスパも非常に良いですからね。

・・・と、ここまで書き終えていたところへ、
本作の発売中止が報じられまして。
何とも残念ですね~
個性重視な私の観点からは名作にはなりませんでしたが、
何を重視するかによっては名作と考える人がいても不思議でないし、
同人のノベルゲーでもここまでやれるんだぜという、
本作はその象徴みたいな作品でしょ。
こういう作品は、できればDL版などなんらかの形で、
いつでも誰でもプレイできるようにしておいて欲しいのですけどね。
何とかならないかな~
このまま消えていくのは、何とももったいない作品ですからね。

ランク:B-(良作)

幻想のアヴァタール

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