『Aster』

『Aster』

『Aster』は2007年にWIN用として、
RusKから発売されました。

この頃では逆に珍しくなってきた、いわゆる泣きゲーですね。

Aster

<概要>


ゲームジャンルはノベル系のADVになります。

あらすじ・・・晴坂市の北部に佇む『北稜学園付属校』。
この物語は、北稜学園付属校に通う3人の少年少女を中心とした話となる。

主人公・榊宏と、幼なじみの柚月沙希、そして双子の姉である沙耶。
彼らが北稜に通い初めて、2度目の夏が訪れる。
試験も終わり、長い休みが近づいてきた。
夏の日差しの元、3人はそれぞれの想いを交錯させ、
幼なじみという関係から、一歩、また一歩と進んでゆく。
やがてその想いと関係は、ひとつの形に落ち着くこととなる。
夏が過ぎ、秋が訪れ、そして冬が近付いてきたある日。
落ち着いていたはずの想いと関係が、大きく変化する出来事が起きた。
それが、始まり。
この物語は、宏、沙希、沙耶の3人と、その出来事へ関係した人々の物語である。
そこに奇跡は無い。けれど希望は在る。

<感想>


上でノベル系のADVと記載したのですが、
選択肢は一切なく本当にただ読むだけです。
ノベルゲームではなく、まさにノベルって感じですね。
一応ゲーム扱いするのだとしても、
プレイする方としては、これは完全な読み物だと思っておいた方が、
素直に楽しめるのではないでしょうか。

さて、本作のストーリーは、いわゆる泣きゲーとされるタイプのものです。
一人の少女の死をきっかけとした、周囲の関係者のその後の物語。
事故の被害者側だけでなく加害者側などにも注目し、
狙いどころ自体は良かったように思います。
お涙頂戴な展開でいて、かつカップルだらけというのは、
案外合わない人も多いかもとは思いますけどね。

個人的には、もしじっくりと読めていたら、
少しは楽しめていたのかなと。
実際、まきいづみさんの声が好きなこともあり、
沙耶が登場する序盤は楽しめていましたからね。

問題なのは、本作の構造なのでしょう。
本作は最初のルートでヒロインが死亡すると、
別の3つのルートが解放され、主人公も代わります。
物語を多角的に見ることができるというのは、それ自体は良いことだと思います。
だから一本のストーリーが完結し、
それを別角度から見るというのなら良いのですよ。
しかし一つのストーリーがきちんと完結しないままに、
プレイヤーの意思とは関係なしに、
別の主人公の物語を読むことを強いられるため、
読んでいて何とも据わりが悪いのです。

泣きゲーって、理屈だけではないと思うのですよ。
グラフィックやサウンドやその他の様々なものやタイミングがハマるかで、
人によっても感想はかなり変わりうるのでしょう。
私も過去に大泣きした泣きゲーがありますが、
それのコンシューマー版をプレイしたら、退屈になって投げましたからね。
先にコンシューマー版だけやって、
それでその作品をプレイした気になっていたら、
きっと今でもボロ糞に言っていたままでしょう。
感情に訴えかける作品というのは、些細なことで印象がかわりうる、
それだけ繊細なものなのだと思います。
本作も構成次第では、もっと確実に楽しめたはずです。
しかし良いところで勝手にぶつ切られるものだから、気持ちも醒めてしまい、
結局どのシナリオもはまりきれなくなってしまうわけで、
上手く感情移入できないと粗ばかりが目に入ってしまうのです。
別に選択肢が必要とは思いませんが、せめてルート単位でまとめておくとか、
どういう風に読むかをプレイヤーに委ねるとか、
そういった配慮は欲しかったなと。

また途中で読むストーリーは、それぞれが密接に関係するわけでもないのに、
それでいて似たり寄ったりな展開でもあるため、
ある意味最悪の組み合わせでもあり、途中で退屈になってしまうのです。

<総合>


本作は特に奇抜なことをしているわけでもなく、
泣きゲーに慣れた人が新たな発見をできるものではないのでしょう。

だから泣きゲーに慣れていない人の方がはまる可能性は高いのだけれど、
如何せんユーザーの感性にはまるかどうかという作品ですから、
初心者であれば楽しめると言い切れるものでもないですし、
加えて構造面の問題で醒める人も出てくるでしょうから、
その辺でどうしても人を選んでしまうのでしょうね。

一本道の泣きだけのゲームで泣けないと、何も残らないですからね。
こういう構造の作品は、ハマる人はハマるのだけれど、
構造的に賛否分かれることは作る方も覚悟して作るべきなのでしょう。
いっそのこと普通の萌えゲーだった方が、
私は楽しめたように思いますね。

ランク:D(凡作)

Aster

Aster[特別版]

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