『Analogue : A Hate Story』

『Analogue : A Hate Story』

『Analogue : A Hate Story』は2012年にオリジナルが発売され、
現在は日本語版も発売されています。

尚、今回は番外編ということで、簡易感想になります。

analoghate.jpg

<はじめに>


簡易感想ということで、気が向いたら後日正式な記事として書くかもしれません。
あまり需要がなさそうな作品だったり、
ちゃんと書く時間が取れなかったりした作品なんだけど、
でも一言だけ言いたいって作品を扱います。

<感想>


簡単に説明すると、steamで販売されているADVで、
近未来を舞台としつつ、宇宙船内のログを読むことで、
李氏朝鮮時代の男尊女卑などの考え方などを扱った作品になります。
ゲームとしては残された古いログを読む作業と、
コマンドプロンプトのような画面で直接コマンドを打つ作業を繰り返すことで、
物語を進める作品になります。

まずこれ、ビジュアルノベルって紹介されているけれど、
そもそもビジュアルノベルではないよね。
欧米でその様な紹介がされてても、
例えば「SUKIYAKI」ソングがどれだけ世界でヒットしようとも、
日本にとっては「上を向いて歩こう」でしかないようなもので、
日本ではこういう作品をビジュアルノベルとは呼ばないです。
ノベルゲーの多くは男性向けアダルトゲームなのだけれど、
その中でビジュアルノベルって銘打っているのは本当に僅か。
ビジュアルノベルと呼ばれるのは、
基本的にグラフィックの上をテキストが覆うタイプを指し、
もう少し広義に捉えるにしても、絵とテキストの表示方法など、
何かしらビジュアル表示に深いこだわりを示す作品をいうわけでして。
二次元のキャラさえ用いていれば、
何でもかんでもビジュアルノベル(VN)と呼べるわけではない。
だから多くのエロゲのノベルゲーも、
以上の条件を満たした場合くらいにしかVNを名乗らないのです。
本作は二次元のキャラを用いているのだけれど、
テキストとキャラは分離して表示されています。
ログを読む場面では白背景にテキストだけ、
キャラ(AI)との会話ではAIの服装が変わることはあるけれど、
一枚絵とかのイベントもなし。
その読むだけの場面を何とか絵や音で盛り上げようと工夫して、
各社が頑張って発展してきたのが現在のノベルゲー市場なわけで、
その工夫がされていない本作をVNなどとは呼べないです。
また本作をプレイしていても、
製作者が日本のビジュアルノベルを参考にして作ったとも思えないですしね。
構造的に本作をビジュアルノベルの枠組みで説明しようとするのは、
根本的に間違っているのでしょう。
こういう表示の仕方は作品にとってもユーザーにとっても、
悪い結果しか残さないように思うわけで、
だからこそ、ここは訳す時に注意して欲しかったな。

本作に対し安易にVNという表現を使う人は、
また使われているのを見ても違和感を持たない人は、
絶対に普段ノベルゲーをプレイしていないでしょ。
そういう人が本作のストーリーに注目してそこだけ語るならまだしも、
ノベルゲーという形態として本作を褒めていても、
個人的には白けてしまうわけで。
こっちも普段、結構辛口な記事もあるけれど、
それでも好きで普段ノベルゲーやってるわけで、
ノベルゲーなめんな、ノベルゲーマーなめんなと言いたくなってしまいます。

その辺で少しカチンときてしまったのだけれど、
何であれ作品として面白ければ、それはそれで構わないのですけどね。
本作はノベル+コマンド入力という構造になっています。
基本はノベルゲーで、その中に部分的にコマンド入力を混ぜるという作品は、
たまに見かけるのだけれど、
本作のように完全に分離して切り替えながら進めるのは案外珍しいかと。
もっとも珍しいからといって、それが良いってわけではなく、
両者を融合して新しい形を作ろうとするのならまだ新鮮さも感じるのだけれど、
完全に分離してしまったことで、ノベルパートとコマンド入力パートという、
既存の形式が二つ独立して並んだだけのように見えてしまいます。
そしてそれぞれの部分を単独で見ると、
ノベルパートに関しては分岐も少なく演出も乏しくて、基本資料を読むだけだし、
コマンド入力式としても、やれることは非常に限られていて、
各パート自体はどっちも中途半端な内容なんですよね。
ノベルとコマンド入力と、どっちか馴染みのない形式がある人は、
その部分が新鮮に感じられるかもだけど、
両方馴染みのある人にはもの足りないでしょう。
つまり、狭義のゲーム性も低いのです。

そもそも近未来を舞台にしつつ、何でコマンドプロンプトなのかなと。
作り手が作りたいものとして、
未来の視点から李氏朝鮮時代の男尊女卑を振り返る的な内容と、
コマンド入力式という異なる二つのものがあって、
その二つを強引にくっつけただけのように見えました。
片方のテーマから自然にもう片方が出てきたとは思えず、
ゲームデザイン面での不自然さが目立ってしまい、
少し欲を出し過ぎたかなと思ってしまいます。

まぁ、男尊女卑という過去の朝鮮の価値観を踏み台にして、
そこから女性クリエイターが自分の感性を交えつつ、
ジェンダーについて考えるというテーマ・内容は、
それ自体は面白いと思うのですけどね。
別に個人的に好きな題材でもないけれど、
そういう作品がもっとあっても良いと思うし。

ただ、このテーマの伝え方も問題があったかな。
テーマ性の強いものに対し、キャラが直接こちらに語りかけるような手法は、
どうも最近のノベルゲーに増えているように思います。
主題をきちんと物語内に溶け込ませてこそ、
個人的には創作物として評価に値すると思うのですけどね。
何か同じようなことを何度も書いているので今回は省略しますが、
この手の安直な手法が増えるのは好ましいと思えないし、
仮に手法自体は問題ないとしても、少なくともかかる手法に新鮮さは感じられず、
またこのタイプかよって、うんざりしてしまいます。

欧米で人気のと言いつつ、
海外でのレビューサイトの評判は芳しくないように思いますが、
それも当然かなと。
ストーリーの目の付け所は面白いと思うのだけれど、
作品としてゲームデザインは最近のノベル的に目新しいものはなく、
更に作り込みは甘すぎて出来が悪いとしか見えなかったですから。
普段ノベルゲーに触れていない人には新鮮にも見えるかもだけど、
とりあえず最近のノベルゲーに私と同程度くらいに触れている人は、
得るものはないだろうなと思います。

関連するタグ WIN /ADV /ノベル系 /


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