『きんこむぎ! ~家出中の金髪小麦肌娘~』

『きんこむぎ! ~家出中の金髪小麦肌娘~』

『きんこむぎ! ~家出中の金髪小麦肌娘~』は2014年にWIN用として、
VENUSから発売されました。

ビッチ風JKと中年男の同棲生活。
個人的には、今年を象徴する一本という印象の作品でした。

きんこむぎ

<概要>


ゲームジャンルはノベル系ADVになります。
内容的には寝取られ(NTR)と言いたいところだけれど、
後述するように恋愛と寝取られの混在タイプと考えた方が、
素直に楽しめるのではないでしょうか。

あらすじ・・・「一晩だけ泊めてくれない?
お金はないけど、お礼はちゃんとするよ……?」
見知らぬJKに駅前で突然声をかけられた独身・童貞・中年の男、北上 耕史。
怪しいと悟った耕史はJKから逃げようとするが、
結局家までついてこられてしまう。
そこから始まる、中年男とJKの同棲生活。
互いを知り、深まっていく絆。
そんな歳の差カップルの恋愛物語―――
―――だけでは終わらない……。

<グラフィック>


VENUSは寝取られ系の作品を得意とするサークルで、
これまでにも何本も制作しています。
寝取られゲーは各社から結構な数が出ていますが、
他社とVENUSとの決定的な違いは、何といってもグラフィックなのでしょう。

まぁ最近の過去作をプレイしている人なら説明不要なんですけどね。
キャラ同士の絡みをカットインとして背景と同化させる手法を用いており、
これが非常に効果的に機能しているわけでして。
絵の見せ方が非常に上手いわけですね。
これはこのサークルの持つ絶対的な長所であり、
他所の作品では得られない魅力なのでしょう。
今作は前作から大きく進化したとは言えないのですが、
それでも前作と同等か、それ以上の良さは十分に有しています。

かようにグラフィックの見せ方は過去作からして最高に素晴らしかったのですが、
それがグラフィック全体となると、
過去作の場合は必ずしも高得点とは言えなかったわけでして。
つまり見せ方は良いのだけれど、
肝心のキャラデザが微妙に狂っていたので、
過去作ではそこがマイナスポイントになっていたのです。
まぁ私は好きな絵柄だったので、それ程気にならなかったのですが、
いわゆるヘタうま絵みたいなもので、自分は好きだとしても、
客観的には上手いとは言えないだろって絵だったのです。
もっとも、そのキャラデザも少しずつマシになってきており、
今作では十分に可愛く、かつ狂いのない絵に進化しました。
凄い上手い絵ってほどではないにしても、
少なくともマイナスってことはないでしょう。

というわけで、グラフィックは従来はプラスマイナスが混在していたのですが、
今作ではマイナスの部分がなくなったので、結果的にプラス分が残って、
トータルでも十分な長所と主張できるようになりました。
カットインの進化を感じられなかった点は少しものたりなかったですが、
トータルでは十分満足です。

<ストーリー>


アラフォーのサラリーマンのおじさんと、
金髪小麦肌で見た目はビッチな女子高生との純愛物語ですね。

これ、先入観次第で印象も変わると思うんだよな~
DMMとかだと、サムネイルに最初は寝取られってなかったのに、
途中から入り出したわけでして。
だから今からDL版を購入する場合、
これは寝取られ特化ゲーだと思ってしまうでしょうに。
個人的には、入れなかった方が良かったと思うのですよ。
今はジャンルに対する情報を、事前に公開しろとうるさい人も結構いるようです。
それによりNTRなんかは不意打ち系がなくなってしまい、
その方面での楽しみ方ができなくなってしまいました。
でもね、これは寝取られゲーですって事前にレッテルを貼ることは、
不意打ちを楽しめないというデメリットがあるだけではないのですよ。
他にも弊害はあるのです。例えば、なまじ寝取られゲーと言ってしまうと、
今度は寝取られ「だけ」を期待してプレイする人が増えるため、
プレイヤーの視点も寝取られだけに偏ってしまいがちなのです。
そうなると、作品内に寝取られと異なる方向での楽しさがあっても、
それが正しく理解されないことになりかねないのですよ。
例えるならば、評判の幕の内弁当でバランスの良さがウリだとしても、
肉を食べられると聞いて肉モードになっている人には、
肉以外が邪魔に感じられてしまい、
バランスの良さを認識してもらえないみたいな感じでしょうか。

具体的に本作に関していうならば、
本作はオッサンと女子高生の交流と純愛が肝なのです。
上手くいけばそのままハッピーENDとなりますし、失敗したらバッドENDになると。
そのバッドENDの種類として、主人公が他の女性とやってしまうのもあれば、
逆にヒロインが他の男性とやってしまうのもあるわけで、
そのヒロインと他の男性とのHが寝取られとなるわけですね。
従って本作は何かに特化というのではなく、
ハッピーとバッド、或いはそのギャップを楽しむ類の作品なのだと思います。

そもそも寝取られ特化ゲーとなると最近は、
早い段階から寝取られる描写を丁寧に描く作品が好まれます。
しかし本作はかなり後半になってから、
あまり事前の予兆もなく寝取られに転ずるので、
寝取られだけを求める人には、
唐突な感じでインパクトが弱く見えてしまうおそれがあります。
本作は何も事前情報がなければ、不意打ち系とされる作品だろうし、
寝取られる過程のみを描いた作品ではないんですよね。
サークル前作の『うたかたの蕾』なんかは、まさに寝取られ特化の作品で、
複数のヒロインの寝取られ描写を掘り下げた作品でした。
それと同じ方向性、寝取られだけを求めると、
本作は少し弱く感じてしまうのではないかと思うのです。
また、寝取られをメインと考えてしまうと、
寝取られエンドでのヒロインの救われなさに、
後味の悪さを感じてしまうでしょう。

しかしながら作品全体としては、私は本作が前作より劣っているとは思いません。
今作ではヒロインを一人に絞り、
ヒロインとの出会いから恋愛に至る過程が丁寧に描かれています。
ここで好印象だったのは、主人公もヒロインも年相応の行動をすることです。
ゲームだからと言ってしまえばそれまでなのだけれど、
エロゲの主人公って安易に女性に手を出してしまうし、
オッサン主人公と言いつつ、内面に違和感を覚える作品も多々あります。
しかし年を重ねるごとに立場や環境のしがらみが増え、
迂闊な行動ってとれなくなるんですよね。
本作の主人公は格好良いヒーローではないので、地味に見えるし、
若いプレイヤーが魅力を感じるタイプのキャラではないかもしれません。
しかし年相応の落ち着きと誠実さを感じることができたので、
個人的には他所の作品のように違和感を覚えることもなく、
十分に楽しむことができました。

昔、陵辱ゲーのヒロインを屠殺場の豚に例えた人がいて、
個人的にその表現に凄く納得したものでした。
どれだけ見た目が上手く可愛く描かれていても、
陵辱されるだけのヒロインってエロ要員でしかないんですよね。
私は、そういうヒロインに本当の魅力を感じることができません。
主人公との純愛がしっかり描かれているからこそ、
ギャップでそれがぶち壊される展開が輝くと思うのですよ。
本作は陵辱ものではないですが、ある意味同様であり、
主人公とヒロインの純愛が一本のルートとしてしっかりしているからこそ、
寝取られルートの痛さが更に破壊力を増すのでしょう。

他方で寝取られルートですが、
ヒロインは見た目こそビッチなのですが、
こちらも最近増えている外見だけビッチ風というキャラで、
内面は純粋な女の子です。
ヒロインを寝取る間男は二人登場しますが、
どちらもヒロインの弱みに付け込んでってタイプでして。
この寝取られる理由なんかにしても、
この年代の子なら、こういう行動になってしまうだろうなと思えますし、
十分納得できる内容です。
また主人公に現場を見られるシーンのCGであるとか、
裸土下座のシーンとか、かなりインパクトのある場面もありますからね。
NTRルートに突入するのが後半からというだけで、
描かれている内容は満足度が高かったです。

先程、純愛がしっかりしているからこそNTRの威力が増すと書きましたが、
それは逆の場合も当てはまります。
本作のNTRルートのヒロインは、最後にかなりきつい終わり方をします。
もし本作がNTRオンリーで、この結末だけだったら、
ほとんどの人がもやもやした後味の悪い気分になってしまうでしょう。
だからこそ、幸せなハッピーENDが一層活きてくるのです。

そう考えると、本作の構成も分るように思います。
NTRルートで、謝罪するヒロインを許すルートが、本作にはありません。
最初は許すルートがあっても良いのではとも思いましたが、
それでは駄目なんですよね。
そういう安易な分岐をやってしまうと、
昔から言われるマルチエンド系の弱点が妥当し、
作品全体が薄まってしまいますから。
ハッピーENDでは幸せに、バッドENDでは徹底的に落とすことで、
そのギャップも増し作品の魅力も増すのです。

<総合>


純愛と陵辱、ハッピーとバッドが混在しつつ、
その落差やギャップを楽しむタイプの作品は、
90年代後半には結構あったのですが、
ゼロ年代以降はほとんど見かけなくなりました。
私はこのタイプが非常に好きなのですが、
今の市場からすると少数派になってしまうのでしょうね。
(まぁ、男性向け作品で見かけなくなったというだけで、
今は女性向け作品で結構見かけるのですけどね。)
でもね、純愛作品も陵辱作品も漫画や小説など、
他媒体でも経験できるじゃないですか。
しかし純愛もしっかり楽しめるけれど、自分の対応が拙かったりすると、
徹底的に不幸にもなってしまうのだよという形式は、
ゲームでしか味わえないわけでして。
これだけでもゲームであることの意義が十分にあると思うのですよ。
だからこそ、私は好きなんですけどね~
純愛に寝取られや陵辱を混ぜるなと小煩い人や、
住み分けが一番良いのだとか勝手に決めつける人が増えることで、
私の好きな混在タイプは男性向けでは激減してしまったんですよね、
だからまぁ、こういう両方がしっかりしている作品を久しぶりにできて、
それだけでも大満足ですね。
そこに背景に同化するキャラのカットインという、
他所にはない演出面の絶対的長所が加わるわけですから、
これは十分に名作と呼べるでしょう。

最後に余談ですが、2014年は広義でのビッチ系ヒロインのいる作品や、
オッサン主人公の活躍する作品で楽しめた物が多い年でした。
何年か後に過去を思い出そうとしたとき、
一本の作品からいろいろ思い出すことができる場合があります。
(そういうのがないと、こんな対象期間の長いブログなどやってられんて。)
オッサン主人公とビッチ風ヒロインとの恋愛を描いた本作を思い出すことで、
私は2014年の作品がずら~っと思い出すことができるでしょう。
他の年にもそういう作品がある年があるのですが、
そうした意味でも個人的には2014年を象徴する作品でした。

ランク:A-(名作)

きんこむぎ

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