『抜忍伝説』

『抜忍伝説』

『抜忍伝説』は1987年にPC88用として、
ブレイングレイから発売されました。

ディスクまるごと1枚を使ったOPは、当時は圧巻でしたね。

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<感想>


飯島健男氏が製作したということで、
古いわりに結構有名な作品かもしれませんね。

まず注目すべきはOPで、ここにディスク1枚を使用しています。
OPと言っても、最近のよくあるストーリーに関係のないデモではなく、
きちんとした物語の導入になっています。
尚、単なるムービーではなく、進行にクリックを要しますので、
OPと言いつつ序盤は、今でいうノベルゲーを読むような感覚でしょうか。
こうしたOPにディスク1枚を使用することは異例であり、
当時から賛否あったようです。
まぁ今風に置き換えるならば、DVD4枚組で、
その内1枚がOPだけで終わったみたいな感じでしょうか。
もっとも、否定的な意見を見てみると、
OPに見合ったボリュームのゲームを作るのは大変なんてのもあるわけで、
全体としては概ね衝撃を与えつつも好意的だったという感じですかね。
まぁその後のゲーム業界ではOPに力を入れるRPGが増えていきますので、
本作はその先駆けであると言えますし、
それだけ後世への影響が大きかったと言えるのでしょう。

その点で大きな意義があると言える本作ですが、他にも特徴がありまして。
1つは、OPから主人公らの物語を強調しているように、
従来のRPGに比べてストーリー性が強くなっています。
80年代のRPGは自分で作ったキャラを育てるという、
戦闘・育成重視の作品が多かったわけでして。
そんな中にあって、ストーリーを重視した本作は異色の存在でした。

もう一つはシステム面です。
本作には邪気丸、幻妖斎、小平太という3人の主人公がいて、
それぞれが異なった目的を有しています。
プレイヤーはどのキャラからプレイすることもできますし、
途中で変更することもできます。
また、ある主人公でプレイ中に別の主人公キャラと交わると、
その別の主人公キャラでのプレイ時にも影響が生じます。
つまり、ザッピングシステムであり、マルチフラグでもあったわけですね。
これは非常に斬新であり、本作の持つ明確な特徴と言えるのでしょう。

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賛否分かれうる点としては、通常画面の問題があるでしょうか。
表示される画面が小さいのでね、
そこに不満を感じる人は否定できないでしょう。
他方で、小さい画面と当時の低いPCの性能の中にあって、
その見せ方は上手かったのかなと。
どうも製作陣の中には、元テレビ番組の製作スタッフとか、映画の助監督とか、
映像関係のプロが複数いたみたいなんですよね。

それにしても、まぁ何とも皮肉なものでして。
ハードの性能が上昇するにつれ表現の幅が向上し、
演出に力を入れるゲームも増えていきます。
もっともゲームクリエイターが急に演出に凝りだしても、
演出のプロであるTVや映画の製作陣にはかないません。
ゲーム機でもPSの頃になってムービーが増えたけれど、
映画的という言葉が悪い意味で用いられたりしてましたしね。

それとは逆に、昔はハードの性能が低く表現の幅は限られていたれど、
元映像のプロとか他業種から参入した人も多かったわけで、
意外と凝ったものが混ざっていたりするんですよね。

上述のように、本作には多くの長所・特徴が存在します。
その点に価値を見出した人ならば、名作にも感じられるのでしょう。
ただ、結構引っかかる部分もある作品だったんですね。
本作は一般的にはRPGとして紹介されているものの、
経験値とかレベルとかは存在せず、
RPGの醍醐味である戦闘による育成という要素は存在しません。
それでいてエンカウント率が異常に高いので戦闘が非常に煩わしく、
他の長所が霞んでしまうくらいに面倒だったのです。

<総合>


個人的には長所と短所が相殺しあって、総合でも良作ってところでしょうか。
もっとも魅力的な要素も多い作品だけに、
名作と感じる人がいても何ら不思議のない凝った作品でしたね。

ランク:B(良作)

抜忍伝説

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