『Minstrel -壊レタ人ギョウ-』

『Minstrel -壊レタ人ギョウ-』

『Minstrel -壊レタ人ギョウ-』は2010年にWIN用として、
宴から発売されました。

良質なラノベを読んだような、ストーリーの優れた作品でした。

Minstrel

<概要>


ゲームジャンルはノベル系ADVになります。
章仕立てで進行し、選択肢はなく読み進めるだけです。

あらすじ・・・そこは、人形支配の街
そこは、首切りと裏切りの街
辿りついたのは不知の孤児院と果ての王都
少年と少女は旅をする。
存在するはずのない愛を求め、お伽噺のような夢を追う。
「僕は、夢を叶えたいんです」
ただ純粋に、ただ無垢に、ただ、ただーー
旅人が目にするいくつもの喜劇悲劇復讐劇は、人間の弱さと醜さを露呈させる。
何が正しくて、何が間違っているのか。
復讐の連鎖はどこまでも惨劇を呼ぶ。
不幸の中心にあるモノは、いつだって”人形”だった。
そして、旅は終わる。全てが。終わる。

<ストーリー・シナリオ>


人間になることを求める人形のロマと、少女リーネの旅物語になります。
本作は章仕立てで進行し、各章ごとに行った先の街でのエピソードが描かれます。
主人公らの会話も楽しいし、目的もハッキリしていますし、
各エピソードでは問題・事件が発生するのですが、
問題点に対する姿勢の対比がハッキリしているので物語に入っていきやすいです。

本作は、シナリオ重視と商品紹介にもあります。
その手の作品の中には無駄にややこしくする作品があるのだけれど、
本作は立場や目的がハッキリしているから、誰にでも分かりやすいんですね。
それでいて対立する問題点は、どちらにも言い分があったり、
何が正解か一概には言えないものばかりであり、
両者の考えをしっかり描いているから、分かりやすくも読みごたえがあるのです。

加えて本作はファンタジーな世界感であり、独自の設定も出てきますが、
そうした特殊要素も上手く物語内に融合させながら説明していますので、
この手のノベルゲーにありがちな、設定垂れ流しということもありません。
というわけで、個々のシナリオという面では確かに優れた作品であり、
年間でも間違いなくトップクラスの出来と言えるでしょう。

ストーリーに関しては、最後に無理のない範囲でどんでん返しもありますし、
伏線回収などもしっかりしているので、概ね良いと言えるでしょう。
ただ、序盤に比べると終盤はややあっさりしていますし、
どんでん返しにしても、普通に予想できる範囲でもあり、
読んでいてドキドキするような感覚や意外性からくる驚きのようなものはなく、
粗削りながらも尖った作品というよりは、こじんまりとしながらも、
実力のあるライターが非常に上手く纏めた作品という印象でした。

<グラフィック>


本作は上記のように完全に読み進めるだけですので、
ゲーム性は存在しません。
また同人ゲーということもあり、音声もありません。
それだけに、ゲームらしさを感じるには見た目の部分が重要になってきます。

本作は吹き出し式を採用しており、
それが本作の一つの特徴とも考えることはできるのでしょう。
実際、プレイ開始時は良いと思えたし、
吹き出しが何個も画面全体を覆っていく光景は、
畳みかけるようなシーンでは非常に効果的に機能しています。

ただ、私は画面下部の固定テキスト欄より、
可動式のテキスト欄の方が良いというような記事を書いたこともありますが、
それは可動式のテキスト欄ありきというわけでは決してありません。
画面内の動きが増すにつれ、その動きにテキストを連動させる必要があり、
つまりは全体のバランスが一番大事なのです。
本作は一枚絵も少なく、立ち絵もほとんど動きません。
その中でテキスト欄だけが動き回るわけですから、
そもそも吹き出しによる可動式にする必要性がないのです。
それどころか読み進めるという観点からは邪魔になりかねないですし、
単に吹き出し式を導入しただけで、その意図を感じさせないのであれば、
ゲームデザイン的にはマイナスの印象すら抱きかねません。

また途中からは吹き出し式ではなく、
背景+立ち絵の上に全体をテキストが覆う構造が増え、
更に終盤では力尽きたのか、黒背景にテキストが全体を覆う構造が増え、
ますますゲームをしているというより、
本を読んでいるような感覚が強くなっていくのです。

<感想・総合>


結局のところ、良いゲームをプレイしたというのではなく、
良くも悪くも「凄く良質な小説を読み終えた」という感覚しかないわけでして。
もちろん、良いシナリオ・ストーリーだけを求める人ならば、
それだけでかなり満足できるのでしょう。
しかしストーリー・シナリオの良し悪しだけでは判断しない私にとっては、
確かに良作ではあるのだけれど、それより上もそれより下もありえない作品でした。

ただ繰り返しになりますが、
これは私がストーリーだけで判断していないからであって、
世間にはシナリオ重視と言って物語だけで判断する人もいますよね。
感想・レビューでも物語の話しかしないみたいな。
もしそういう立場の人であれば、本作は絶賛される可能性も高いと思うし、
少なくともシナリオ重視と言い放って、そこが最優先事項であるのならば、
そもそも本作をプレイしていないというのは、
選択肢としてありえないのではとも思うわけでして。
もしシナリオ重視で考えるならば、一見の価値のある作品だと思います。

まぁ今は商業に移り、商業デビュー作でも尖った作品を出していますので、
今後ブレイクする可能性も大いにありますからね。
その同人時代の作品も面白かったよということで、
もう少し注目を浴びても良い作品だと思いますね。

ランク:B(良作)

Minstrel -壊レタ人ギョウ-

ダウンロード版
Minstrel

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