『コブラ 黒竜王の伝説』

『コブラ 黒竜王の伝説』

『コブラ 黒竜王の伝説』は1989年にPCエンジン CD-ROM2用として、
ハドソンから発売されました。

いわゆるデジタルコミックの元祖と呼ばれる作品であり、
CD-ROMの大容量を活かした作品でした。

コブラ 黒竜王の伝説

<概要>


当時人気だった寺沢武一の漫画『コブラ』を原作としており、
具体的には原作の「黒竜王」編のストーリーをベースに、
そこにオリジナル要素などを加えた作品になっています。

まぁ、私はコブラは、しっかりと通して読んだことがないので、
正確なところは分らないのですけどね。

<感想>


一般的には、デジタルコミックの元祖と呼ばれることが多いです。
もっとも本作発売当時にはデジタルコミックとは名付けられておらず、
初めて用いられたのは『うる星やつら STAY WITH YOU』でした。
しかし『うる星やつら STAY WITH YOU』は本作と開発ツールが同じで、
ゲームの方向性も同じであることから、
だったら本作もデジタルコミックと言えるだろうという判断があり、
本作をデジタルコミックの元祖と呼ぶ人が増えたということなのでしょうね。

尚、今一般に使用されるデジタルコミックとは意味合いが異なりますので、
知らない人は注意が必要です。
ここでのデジタルコミックとは、基本はADVでありつつも、
パズルや謎解きの様なゲーム性を重視するのではなく、
CD-ROMの大容量を活かした豊富な映像と音声により、
物語を読むことを主目的としたコンテンツと捉えれば良いのかなと。
まぁ、CD-ROMの大容量を活かし、音声を加えたって辺りを重視すると、
『No・Ri・Ko』なんかも含まれそうですからね。
暗黙の了解として、二次元の作品という縛りもあるのかもしれませんけれど。

デジタルコミックは、その後もPCエンジンのCD-ROM2用として、
各社から発売されています。
アニメ原作ものばかりという印象もありますし、
ゲーマーよりアニメ好きの方が馴染みがあるかもしれませんね。
デジタルコミックも、それなりの作品数があると思いますし、
音や絵で盛り上げながら物語を楽しむという基本姿勢は、
ノベルゲーと同じだと思います。
それでいて「家庭用ゲーム機のゲームとしては」ノベルより先なので、
もっとデジタルコミックの呼称が普及しても良さそうなものですが、
国民機たるSFCとマイナー機であるPCエンジンとの差なんでしょうかね。
当時の雑誌のコラムで、国民機以外から発売されたゲームは、
(俺が知らないから)存在自体を認めないって評論家がいました。
これを読んで、そんな馬鹿なと思う読者もいるかもしれませんが、
昔の評論家にも適当な人は多かったし、
ユーザーにしても多勢に無勢で国民機のゲーム中心に語る人ばかりなので、
私からすると誤りだらけの情報が、
今でも定説っぽく語られることも結構多いんですよね。
だから子供時代をSFCで過ごし、大人になってPCゲーに触れた人が、
あれもこれもノベルゲーと言うようになったのでしょうが、
その人らが先にデジタルコミックに触れていたら、
世間での呼称もまた違ったものになっていたのかなと、
そんなことを考えることもあります。

さて、実質的にデジタルコミックの元祖とされる本作ですが、
それは物語を楽しむことを主目的としたという意味合いにすぎず、
ゲーム形式を従来の区分に当てはめるなら、
コマンド選択式のADVとなります。

コマンド数を減らしフラグ管理を緩くしたという特徴もありますが、
この時期のコマンド選択式ADVの中には、
既に不要なコマンドを表示させない物も出始めていますので、
この点を以てデジタルコミック独自の特徴と言うことはできないのでしょうね。

読むことを主目的としつつも、コマンドも存在するということで、
やっていることはノベルウェアの初代『DOOM』(1988)と同じです。
家庭用ゲーム機のADVの歴史をたどるならば、
85年に『ポートピア連続殺人事件』が発売され、
コマンド選択式ADVが登場します。
その後89年に本作が登場し、演出面を強化しつつ、
フラグ管理を緩くして、読むことを主目的にした作品が出てきたと。
更に完全に汎用コマンドを撤廃し、読み進めることのできるゲームとして、
『弟切草』(1992)が出てきたとなるのでしょう。
コンソール史観しか持たない人だと、たぶんそんな認識だと思います。
しかし『弟切草』のように、コマンドを完全撤廃して、
読み進めるというゲームも、PCでは遅くとも88年には登場していますので、
PCゲーも含めて語るのであれば、
上記の流れを歴史として語るのは誤りでしかないのでしょう。
とりあえず、コンソールのADVというのは、
PCゲーの流れを数年後に辿っているだけであり、
その構図は基本的に今も昔も変わらないのだと思います。

なので、本作のコンセプトやゲームシステム的な観点からは、
実は新しいと思えることはありません。
しかし、豊富なアニメーションや音声でゲームを盛り上げるのは新鮮であり、
その観点からは非常に大きな意義を有していると思います。

<総合>


マクロな観点というか、存在意義的な話ばかりになりましたが、
内容に関しては原作のファンが熱く語った物の方が絶対に面白いので、
ファンの方に委ねるってことで。
本作に関しては、どういう位置付けだったのかの方が意味があると思うので、
その点を中心に書いてみました。

ランク:B-(良作)

コブラ 黒竜王の伝説

駿河屋
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