『ひこうき雲の向こう側』

『ひこうき雲の向こう側』

『ひこうき雲の向こう側』は2014年にWIN用として、
FLATから発売されました。

少数派だろうけれど、ぶっちゃけ和美さんが一番好きなのだが・・・

ひこうき雲の向こう側

<概要・システム>


ジャンルはノベル系のADVになります。
内容的には純愛ものですね。

私は誤字脱字には寛容な方なのですが、
誤字どころか時々意味不明な物も出てきます。
パッチを当てれば緩和されるものの、気になる人は気になってしまうでしょう。

またテキスト欄がピンク色なのも読みにくく、
UI全般も不便で全体的に平均レベルを下回っているでしょう。
個人的にはシステム周りには寛容なので、
この部分単独では大きな減点要素とはなりませんが、
他の要因と相まって雑という印象は免れません。
私と異なりシステム周りにこだわる人だと、更に不満を感じてしまうでしょうね。

<グラフィック>


キャラデザというか絵柄は好きなのですが、
CGがわりと雑でもあり、ところどころで崩れる場面があります。

塗りや演出なども平均レベルですし、
トータルだと平均をやや下回るくらいでしょうか。
操作性がイマイチでバグがあり、絵もテキストと上手く連動していないため、
作品の評価出来うるポイント、楽しめるか否かも、
ほぼストーリーの良し悪しにかかってしまいます。
その意味で、本作はライターの信者向けという側面は免れないのでしょう。

<ストーリー>


そのストーリーなのですが、純愛ものですね。
変な要素が混ざることもなく、純粋に恋愛だけを描いた作品です。

もっとも特定のキャラ(瑛莉)の扱いが強く、他のヒロインの印象が弱いです。
単にストーリーの良し悪しといった主観的なものにとどまらず、
一部のヒロインは分量そのものが格段に少ないため、
自分の目当てのヒロインがオマケ扱いだったということもありえます。
従って、好きなヒロインとの恋愛を楽しもうという意味での恋愛ゲーとしては、
どうしても不満の出てしまう作りと言えるでしょう。

もう少しバランスよく作っても良かったと思うのですけどね。
個人的には義母の和美さんが一番かわいかったので、
和美さんルートを作って欲しいくらいですしw
まぁそれは個人の我儘でしかないのだろうけれど、
それでもブランド側がヒロインとして紹介した分に関しては、
不満を言われても仕方ないのでしょうね。

というわけで、本作は実質的には瑛莉ゲーになります。
彼女を気に入ったか否かで、作品に対する印象も大きく変わるのでしょう。
個人的にはわりと好きなタイプではあるのですが、
たぶん拒絶反応を示す人もいると思います。
具体的には、いじめに敏感な人ですね。
瑛莉のような人をはめるタイプが実際に身近にいれば嫌うだろうし、
この性格が自身の分身たる主人公だったとしても嫌悪が先立ちそうなのですが、
ゲーム内のヒロインという間接的な存在であることなどから、
私自身は特に気にならなかったです。
ただ、あくまでも個人的な印象なので、駄目って人も少なからずいるでしょう。
その点で賛否分かれる作品といえます。

また瑛莉ルートは、エピローグの受け取り方でも印象が大きく変わります。
実質瑛莉ゲーで、その大きな比重をエピローグが占めているので、
極端に言えばエピローグの印象がゲーム全体の印象にも直結しうると。
主人公と結婚し、子が生まれ、老いて50年後を迎える。
最近の恋愛ゲーの中では比較的終わり方が上手いとも言えるし、
人によっては感動的に見えるのでしょうが・・・
まぁ当時言えなかった言葉を50年経って言えるようになるというシチュは、
個人的には大好きなんですけどね。
主人公らには当然その年月分の重みがあるのでしょうが、
その部分をダイジェストで描かれてしまっているために、
読み手に年月の重みが伝わってこないのです。
結局は単に設定を垂れ流しているだけであり、薄っぺらいのです。
他のヒロインやエピソードを削って構わないから、
主人公とヒロインの歩んできた道のり・人生をもっとしっかり描いて欲しかったです。

他のヒロインのルートは少し劣るので割愛しますが、
美奈についてだけ触れておきます。
こちらは連れ子同士の義理の妹との恋愛を描いているのですが、
主人公が何を悩んでいるのかが伝わってきません。
義妹との結婚に法律上の支障は全くないですし、
親は物分りが良いし、義妹を巡って三角関係になりうる友人も良い奴だし、
主人公の意思一つですぐに解決してしまう話だと思うのですが。
義妹を選ぶための障害らしきものが何もないから、
何こいつ一人で勝手に悩んでいるんだとなってしまうわけで。
ヒロインを本当の妹にするとか、
設定を少し変えただけでも少しは印象が変わったでしょうにね。

義母にしても、20年前のゲームなら攻略対象になったでしょうに。
それができないのであれば、あえて義母にする必要もなかったわけで。
どうにもよくある設定をそのまま使用しただけのような、
安易さを感じてしまいます。

上記以外にも主人公がヒロインらに惚れた理由なども薄いですし、
何を描きたかったかは推測しうるものの、肝心の内容が伴っていなかったです。
従ってストーリーに関しては設定だけを垂れ流した、
設定主導作品との印象になってしまいます。

<感想・総合>


CGの乱れやUIの不親切さなどから評価しうるポイントがストーリーしかなく、
その時点で、もしこれを評価するのであれば、
恋愛小説で構わないじゃんって話にもなります。

加えてストーリーに関しても、
萌えゲーなら無駄な日常の積み重ねすらも大事になってきますが、
本作は複数のヒロインを等しく愛でる構造ではありませんから、
萌えゲー的構造でもありません。
もちろんストーリー重視路線で一向に構わないのですが、
ストーリー性を重視するなら、無駄な日常シーンを削ってでも、
その分を必要な部分に回すべきでしょうに。
厚く描くべき部分・簡単に省略できる部分のメリハリがなっておらず、
どういった方向性で作品を作りたかったが構造から伝わってこないのです。
どうにも定番のエロゲ構造の枠にはめて、
設定を垂れ流しているだけにしか見えなかったですし。

端的に言えば雑な作品であり、完成度の低い作品となるのでしょう。
個々の部分には良いところもあるだけに、
少しいじれば格段に良くなる可能性もあったでしょう。
全体をきちんと統括できる人が現場にいれば、少しは違ったのでしょうけどね。

ランク:D(凡作)

ひこうき雲の向こう側

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