『Remember 最愛の妻が他の男の腕の中で微笑む、もう一つのIF』

『Remember 最愛の妻が他の男の腕の中で微笑む、もう一つのIF』

『Remember 最愛の妻が他の男の腕の中で微笑む、もう一つのIF』は、
2012年にWIN用として、Team.NTR(アトリエさくら)から発売されました。

良質なのに、宣伝文句で非常に損している作品ですね。

Remember

<概要>


主人公・篠崎小太郎は、妻・朋香と娘・萌香に囲まれた幸せな日々を送っていた。
だが、ある日交通事故に遭い、生死の境をさまようほどの重体に陥る。
朋香と萌香は嘆き悲しみ、最愛の夫が回復することを祈った。

その思いが通じて、奇跡的な回復を遂げた小太郎。
だが目覚めた時、隣にいた女性は朋香と萌香ではなかった。
昔亡くした最愛の彼女・橘真希。
その彼女が、小太郎の妻として寄り添っていたのだった。
朋香は小太郎の友人でしかなく、愛娘の萌香は存在していない。
死んだはずの真希は生きていて、自分の妻として生活している。

そこは小太郎が歩んでいたかもしれなかった
もう一つの可能性。 IFの世界。

<ストーリー>


ストーリーは、ある意味とてもシンプルで、
IFの世界で真希を選ぶのか、それとも現実世界の朋香を選ぶのかという、
主人公の葛藤を描いた作品になります。

複数のヒロインの間で悩む主人公ということで三角関係とも言えますが、
修羅場とかを求めるようないわゆる三角関係ゲーとは異なるわけで、
あくまでも主人公がどうするのかってことですね。
もっと言うならば、恋愛云々を抜きにして、
広い意味で過去の最も大切だったものを選ぶのか、
それともそれを失った後に積み重ねてきたものを選ぶのかとも言え、
過去の自分に向き合い決断を下す大人の成長物語とも言えるのでしょう。

誤解を解消するという点でついでに言っておきますと、
この作品は「超・寝取られADV」として出されました。
寝取られ作品を専門としたブランド・ライターの集大成的作品かと思い、
発売日に購入したような人のほとんどは寝取られゲーを予想していたでしょう。
しかし実際には、いわゆる寝取られゲーではなかったのです。
一応IFの世界で朋香が他の男性と寝るシーンがあり、
現実世界における自分の妻が他人と・・・ということで、
広い意味では寝取られとも言えるのかもしれません。
しかしIFの世界での朋香は友人ですし、主人公が真希を選んだ結果ですので、
そうなると朋香が何をしようと勝手のはず。
だからこれは、寝取られゲーとは言わないのでしょう。
まぁ定義の上でどっちになるかはどうでもいい話かもしれませんが、
少なくとも既存のNTRゲー好きが求めるものがないことは確かであり、
NTRゲーとして売るのは適切ではなかったよなと。
ラーメンを食べに行って極上のパスタを出され、
もちろん美味ければパスタでも構わないって人もいますが、
どれだけ最高のパスタでもラーメンが出されなければ怒る人もいるでしょう。
その点で批判されても仕方ないし、宣伝方法で損をした作品だったかなと。

さて、ストーリーの内容に関しては、
あまり深く語らない方が良い作品と思うわけで、
各自が自分で感じ取ってもらうのが一番なのかなと思います。
複数のヒロインの間で悩む主人公を描いた作品は何本かやっていますが、
既存のアダルトゲームで満足できた作品はほとんどなかったりします。
大抵は主人公が屑で馬鹿なだけというケースであるため、
悩む主人公の言動が滑稽に見えてしまうのです。
その点、本作の主人公の場合は悩む理由に説得力がありますので、
同系統の作品の中ではかなり印象の良い作品となりました。
低価格商品ということもありますが、無駄な掛け合いに時間を費やすこともなく、
一文一文をしっかりかみ締めながら読めました。
コンパクトながらもしっかり纏まっているシナリオ重視作品であり、
こういうのは久しぶりで、たまには良いよなと思ったものです。

というわけでシナリオ重視の人向きの作品であり、
シナリオ重視の人ならばまず楽しめるのではないかなと。
個人的にも十分堪能したし完成度が高いのも認めるのですが、
本作ならではの突き抜けた部分がやや弱いかなということで、
普段の私の基準では点が伸びにくい作品と言えるでしょう。
言い換えると、他の同系統の作品は昼ドラの劣化版でしかないのですが、
本作には昼ドラと同等の魅力があり、相対的には十分楽しめる作品ではります。
しかし、それ以上のゲームとしての本作だけの特徴はなかったということです。

それでも真希をもう少し掘り下げていてくれたら、
名作扱いだったと思うんですけどね。
ちょっと現実の妻の朋香が強すぎますから。
しかも娘の萌香なんてジョーカーを出されてしまっては、
真希に余程のアドバンテージがないと釣り合わなくなってしまいます。
粗探しのようですが、しいて物足りない点をあげるとすれば、その辺なのかなと。

<グラフィック他>


まずジャンルはノベル系のADVであり、
どちらを選ぶかで個別にENDを迎えるものの最終的なENDは一つになります。

グラフィックは基本的なCG枚数は30枚で、
価格からすれば妥当な量と言えるでしょう。

<総合>


完全にシナリオ重視の作品であり、
間違っても抜きや寝取られを目当てに買うべきではありません。
シナリオ重視の人であれば、まず楽しめると思います。

最後に少し余談っぽくなってしまいますが、
少し過去のアダルトゲームの話について。
いわゆる葉鍵の作品が台頭する時代が到来し、
信者がシナリオ重視の時代へなんて言い出すのを散々見かけました。
熱狂的信者ほど声が大きいですから、
何も知らず後から入った人はそれが真実と思い込むかもしれません。

ただね、あの葉鍵が台頭し始めた当時、
私が思ったのは、これでシナリオゲーは「終わった」なということでした。
始まったではなく、終わったのです。
だからシナリオゲーの時代が始まったなんて言われると、違和感しかないわけで。
あらゆる萌えのパターンが含まれていると言われた『痕』、
『To Heart』なんかは言うまでもないですかね。
そういうのが人気を得ることで、
シナリオも「萌え」を前提にしなければ支持されず、
それに伴い学生を主人公・ヒロインにしたような物語でなければ支持されない、
つまり「大人の物語」というものが受け入れられない時代になっていったのです。
特定のジャンルだけがもてはやされ、
それ以外のジャンルの物語が市場で消滅せざるをえない以上、
それは衰退と捉えられても仕方ないでしょう。
皮肉なことに私は萌えゲーも好きでしたし、
鍵ゲーの登場にも非常に興奮し楽しんだものです。
自分が楽しめさえすれば、好きでないジャンルが滅びようと関係ないというのも、
一つの考えではあるのでしょう。
しかし、他方で自分がそれほど好きでない類の作品であっても、
それがなくなっていった事実は消せません。
消滅するジャンルがあり、偏った一部のジャンルだけが残る市場では、
本当の意味でのシナリオ重視などとは言えないと思うのです。
本作はエロ重視の作品でもないし、萌えなんて皆無だし、
少年少女なんかもいません。
大人が過去の自分を見つめどう考えるのかという作品です。
これをプレイして面白くないというのもありでしょう。
私自身、こういうこじんまりした作品はそれ程好きな路線でもないですし。
でも、紛れもなくこれは大人の物語であり、
もしこういう作品が再び支持される時代が来るのであれば、
それはとても喜ばしいことのように思うのです。
ある意味、自分がそれほど好きでもない分野の発展を願うのですから、
変に思う人もいるかもしれませんけどね。
でも私個人の好み云々ではなく、広い意味での市場の活性化を願うのであれば、
やっぱりこういう作品はもっと増えて欲しいよなと思うのです。

ランク:B(良作)

Remember

駿河屋
DVDソフトRemember

ダウンロード版
RememberDL

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