『越えざるは紅い花』

『越えざるは紅い花』

『越えざるは紅い花』は2012年にWIN用として、
Operetta Dueから発売されました。

シナリオ重視の乙女ゲーであり、非常にキャラの気に入った作品でもありました。

越えざるは紅い花 初回限定版

<ストーリー>


舞台となるのは、架空のファンタジー世界です。
イメージとしては中央アジアのような雰囲気・世界観になります。
その舞台となる大陸では不治の病「腐死」により女性が激減し、
南方の国「ルス」に住む主人公の少女・ナァラは、
北方の国「ナスラ」に母を奪われ、幼くして肉親をなくしてしまいます。

ナァラは国王一家に養女として迎えられ、
義兄が新国王に即位したのに伴い、今度は義兄の王妃として輿入れするはずでした。
そこにまた「ナスラ」が女性を略奪しにくるわけで、
ナァラも親友を助けようとしてナスラ国王により攫われてしまいます。

というわけで、敵国にさらわれた状態からが物語の本番であり、
そこで出会う男性たちとの恋愛を描いた作品になります。

シナリオ重視と聞いていたのですが、
確かにテキストは十分に楽しめたものの、
ストーリーそのものは必ずしも新しいものがあるわけではないのかなと。
良作だと思わせるだけの面白さはあるものの、
ストーリーだけで名作と思わせるほどのインパクトはないってことですね。

もっともファンタジーというとご都合的に使われるケースもありますが、
本作は女性が激減した世界を舞台にしたという点でのファンタジーであり、
しっかりとした設定の上に物語が積み重なっていきますので、
最後まで落ち着いて読むことができます。
男性向けアダルトゲームでは、一般にシナリオ重視として有名な作品でも、
この土台部分に不満のある作品も多かったりします。
それだけに本作は相対的に非常に良く感じられますし、印象も良くなります。

かように世界観自体にも良い印象を抱いているものの、
それ以上に本作の一番の魅力と感じられたのはキャラでした。
それとストーリーではなく字義通りのシナリオ重視、つまりテキストの良さですね。
本作は乙女ゲーということですので、攻略対象は男性です。
もっとも主人公は女性なので、Hシーンも男女になります。
やっていることは男性向けのアダルトゲームと変わらないですから、
一応は女性向けのゲームとはされているものの、
こういうのは男性でもいけるように思います。

さて、その攻略対象である男性陣は、良い意味で個性派揃いです。
文鎮をあそこに使おうとする変態とか、思わず噴出しそうになる場面も。
今の男性向けアダルトゲームのようにパロネタに頼り切るのではなく、
あくまでもキャラの個性を活かした笑いですので、
私には最近の男性向け作品より非常に好ましく、かつ楽しくプレイできました。
ノリとかも男性向けアダルトゲームとは違うんですよね。
男性向けゲームは、数をこなせばこなすほど既視感が強くなってしまいますが、
乙女ゲーはキャラ同士の会話一つとってみても若干異なりますので、
男性向けより新鮮に感じられやすいです。
その点でも良かったですね。

そして何より良かったのが、主人公であるナァラの存在なのでしょう。
女性陣を引っ張る者としての責任感や芯の強さ、
相手を思いやる優しさに、それら考えたことを実践しうる行動力。
とにかく彼女の魅力が素晴らしく、
この作品の魅力の半分も彼女の存在によるものとも言えるのでしょう。

何て言うかね、元々男性向けアダルトゲームのヒロインって、
実際にはこんな奴いないよと分かりつつも、
こんな娘がいたら良いなっていう理想と妄想の塊だったはずなんですけどね。
どんどん記号化・テンプレ化していって、
今ではまるで魅力を感じられないわけでして。
それどころか、この子はこういう属性って事前に示すだけで、
その設定に行動が全然伴っていないケースも多々あります。
アニメや漫画では魅力的に感じる女性はいるのに、
もう何年も男性向けアダルトゲームで本当に魅力を感じる女性に出会っていません。
プレイしている時はそれなりに感情移入して楽しんでいるものの、
数ヶ月も経てば名前も忘れるようなヒロインばっかなんですよね。
それだけに、絵や設定だけに頼るのでなく、
行動と内面からにじみ出る魅力を持ったナァラが、
とても活き活きと眩しく見えたのですよ。
「生きた女性」と感じられたのは、ホント久しぶりです。
ナァラは、2012年のゲームの女性キャラでは最も印象に残ったキャラでしたね。

<ゲームデザイン>


ジャンルはノベル系のADVです。
メイン格の攻略対象が3人いて、それに伴い大きなルートも3本になります。
その各ルートから、サブも攻略できるように分岐していきます。

<グラフィック>


スチルがどうのこうのと言う点では、男性向けよりも厳しい目で見られるのが、
女性向けゲームの特徴でもあるのでしょう。
女性向けゲームだとデッサンがおかしいとか叩かれることもよくありますが、
男性向けだと狂ってるのもまた味であるとか、
ありえない構図まで受け入れてしまいますから。
まぁどっちが良いかは分かりませんが、何れにしろ文化の違いなのでしょう。

本作はそういう意味では若干のデッサンの崩れが指摘されるようですが、
色使いの上手さもあり、個人的には気にならなかったなと。
萌えゲーでもっと酷いの、いくらでもありますし。
それよりも頭身の高い若い女性の艶かしい裸体が見られて、それだけで満足ですよ。
いや、だって男性向けの場合、設定上は皆18歳以上でも、
実際にはJSか精々JCくらいの娘しかいないじゃないですか。
かと言って頭身の高いきちんとした体となると、
今度は最盛期をとっくに過ぎた熟女ばかりですし。
まぁロリも熟女も大好きなので、普段は気にならないですけどね。
そんなロリか熟女かなんて極端な二者択一ではなく、
もっと「妙齢」のピチピチした女の子がいても良いではないですか。
今のアダルトゲーマーって、ロリコンかマザコンしかいないのかと、
時々疑いたくなりますし。
娘盛りの綺麗な姿ってもっと見たいのだけれど、
中々希望通りの作品が見つからなくって。
そういう点でも、本作は個人的に満足でした。

ただ、枚数も少なくはないのですが、後半集中で途中が少し寂しかったり、
使い方やバランス配分で少し改善の余地はあるかもしれませんけどね。
その辺で、まだブランドの経験の浅さがあるのでしょう。

<総合>


私は元々女性主人公の作品が肌に合うこともありますが、
普通の男性向けアダルトゲームよりも、
今はシナリオ重視の乙女ゲーの方が楽しく感じてしまうように思います。
そのような傾向はあるものの、
しっかりと構築された世界設定の上に繰り広げられるキャラの魅力。
これは、やっぱり素晴らしかったわけでして。
主人公の魅力など本来は最も基本的なことのはずなのに、
何だか懐かしすぎて逆に新鮮に感じてしまい、
その点を評価して名作と判断しました。

結果的に、2012年の個人的トップ3は全部女性主人公ですし、
そしてその3本だけでも女性キャラの方向性は異なります。
単に攻略されるだけのヒロインではなく、
一人の人間としての女性キャラについて再び考えさせられた年であり、
作品であったと言えるかもしれませんね。

ランク:A(名作)

越えざるは紅い花 初回限定版
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越えざるは紅い花
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