最近のADV事情(洋ゲー)と、カジュアルゲームについて その3

最近のADV事情(洋ゲー)と、カジュアルゲームについて その3

現在のADV事情の3回目です。
あまり大層なことを書くつもりもないのですが、分量は今回が一番多くなってしまいました。

前回まではカジュアルゲームの説明に終始してしまったので、
今回はもう少し現在の情勢を書いてみたいなと。

さて、一番基本的な物はパッケージで発売される作品だと思うのですが、
まぁ今ではパッケージ販売の作品もすぐにsteamなどで出るケースが多いですし、
パッケージのショボイものなどは手軽なDL版の方が便利なのですけどね。
それでも一応パッケージ化もされる、或いはそれに準じる外国製のADVもあるのですが、
残念ながらほとんど日本語化されません。
Amanita Designのゲームのように言語不要なら、誰でも気軽に遊べるのですけれど。
とりあえずsteamのように世界を視野に入れているところでは、
今後も言語不要のADVは増えていくでしょうね。

そのAmanita Designのゲームや、コンシューマーなら『風ノ旅ビト』などがそうですが、
現在主流のADVは世界観・雰囲気重視に傾倒しているようです。
海外では「ストーリー」ではなく「ナラティブ」で判断する傾向が強まっています。
「ナラティブ」自体、国内ではまだ認識が薄く、
捉え方も人により少しずつ異なってくるのでしょう。
ここでは議論するつもりもないので深入りしませんが、
とりあえず「テキストで書かれたシナリオ」だけで判断することは、
世界の趨勢からはずれていくのでしょう。
くだけた言い方をするならば、シナリオ厨は時代遅れだと。
そのような情勢の中では、しばらくは世界観・雰囲気重視の作品が中心になりそうです。

まぁナラティブでも何でも構わないのですが、
世界観やら雰囲気やらを重視するあまり、ゲーム性が過度に軽視されている気がして、
個人的には両立を望むこともあり、かかる現状はあまり喜ばしくもないのですけどね。
今世紀に入ってからFPSなどアクション系の作品ばかり発展していたただけに、
ADV好きとしてはADVに注目が寄せられ発展することは喜ばしいことですが、
ADVの持つ物語性にばかり注目されても困ってしまいますから。

少しずれてしまったので話を元に戻します。
敵を虐殺する行為に飽きて方向性が少しずつ変わっているのが現状なのでしょうが、
単にFPSやA・ADVからADVへと極端に変化したのではなく、
オープンワールドや3D表現など、
FPSやA・ADVの発展の過程で培われたものを転用し活かしたのが、
現在のADVなのでしょう。
そういう観点からは確かに進化であるし、ADVの新しい形とも言えるかもしれません。

しかし、ADVでは90年代前半から半ばにかけ、
インタラクティブムービーが発展していきました。
インタラクティブムービーと言うと、
それこそ昔のLDゲームのようにムービーを見ながら合間にコマンドを押す、
そんな作品を連想する人も多いです。
確かにそういう作品も最初は多かったのだけれど、
当時このジャンルの発展の過程で良く用いられていたのはヴァーチャルリアリティ、
つまり仮想空間の構築にありました。
インタラクティブな空間の構築、そのような理念の下に作られていった後期の作品には、
例えば『DUST A TALE OF THE WIRED WEST』や『タイタニック』があります。
こうした作品のインタラクティブ性を更に増しつつ、
技術の進化に伴い世界の広さも増していったのが、
今日のオープンワールド系のA・ADVなのでしょう。
実際に『DUST』に影響を受けて作られたA・ADVとかもありますからね。
つまり、これら後期のインタラクティブムービーにアクション性や戦闘を増したのが、
その後のA・ADVとなるのであり、
今度はその付加されたアクション性や戦闘を除くわけですから、
視野を少し広げると現在のADVは、後期インタラクティブムービーに戻っただけなのです。
もちろん、技術の進化でグラフィックの質は大幅に向上しているのですが、
ゲームという部分では、現在は後期インタラクティブムービーに戻った、
或いは当時以下の内容のように思えます。
80年代から続くP&C式ADVのような作品群を、
一枚絵から伝わる芸術性という部分に着目し「静」とするならば、
インタラクティブムービーや3D系は動きの中で世界観を感じさせる「動」と言え、
ADVには大きく二つの流れがあると言えます。
カジュアルゲームを除く、いわゆる一般的な海外のADVは、
この「動」の流れを受け継ぐものです。
ここからは単に私の感想でしかないのだけれど、
現在の海外におけるPCのADVは、確かにグラフィック面での演出は進化したものの、
他方で内容面では原典回帰しただけであり、
ゲームとしての新しい方向性を見出せるか否かは今後に全て次第なのだと思うのです。

他方で「静」の流れを受け継いだのが、カジュアルゲームにおけるHOGなのでしょう。
世界観や雰囲気だけを重視するのではなく、
パズルなどADVとしてのゲーム性を真摯に考えている点や、
一枚絵で魅力を伝える方向性など共通点が多いですから。
こちらは日本語化される作品も多く、
ここ数年は久しぶりにADV好きにも嬉しい時期が到来しています。

このADV寄りのHOGは、容量面でも急激に進化しています。
カジュアルゲームということで、
当初は、それこそ2010年くらいまでなら数十~数百Mで足りたのですが、
今年なんかは1Gを超えるようなものも出始めていますし。
HOG系ADVとしては、昨年辺りから絶頂期に入りつつあるのかもしれません。

こちらも、おそらく問題は、ここからなのでしょう。
HOG系ADVとPCのADVとは幾つか異なる部分もあり、異なる発展をしています。
全部を挙げるときりがないので、分かりやすいグラフィックの話にしますが、
PCのP&C式のADVは90年代末からキャラを3Dで表現する方向に向かいました。
3Dだと時代による劣化も早いですし、当初は見た目も弱かったですし、
資金のある所の作ったRPGなどに及ばなくなるので、個人的には反対でした。
案の定、時代が過ぎるごとに、
最もグラフィックの綺麗なジャンルという立場は他ジャンルに奪われ、
ADVの持つ特色が1つ消えてしまいました。

HOG系ADVは手書き風の美麗なCGを使用するのが大半ですので、
年数による劣化も少ないですし、単純にキャラも美男美女が登場するので嬉しいです。
私はMYST系とかP&C式の洋ゲーのADVは大好きなのですが、
これらの作品になくて日本の美少女ゲーにあるものが1つだけあるわけで、
それが美女の存在なんですよね。
美女の出るゲーム性の高いADVをプレイしたいと長く思っていましたが、
その夢がここにきてようやく実現した気分です。

もちろんグラフィック以外のゲーム部分にも違いはいろいろありますが、
他方でPCのP&C式ADVに近い物もあるわけで、
そして現時点ではそういう作品はPCのP&C式ADVの劣化版に見えかねないだけに、
P&C式ADVの劣化版路線を歩んでいってしまう危険性はあるのでしょう。

まぁPCのP&C式ADVの発展は止まりかけていますので、
PCのADV以上の大規模化で力技でねじ伏せ、
正統進化的な方向性で超えていくこともありえるでしょう。
今年で言えば『ライト・オブ・パッセージ:樹海の子供』などを見ると、
90年代のP&C式ADVの正統進化の姿を垣間見たように思えましたから。
だからこうした方向性での進化も十分にあるとは思うものの、
本来がカジュアルゲームというお手軽路線からの発展だけに、
どこまで大規模化するのかは不明です。
もちろん90年代のP&C式ADVとも異なる、
HOG系ADVとしての独自の存在感を示す作品もあります。
いち早く新しい方向性を切り開きかけている点で「動」路線よりも進んでいるのですが、
その存在感をどこまで独自のジャンルとして確立していけるのか、
大規模化に限界が見え始める数年後までの今こそが正念場なのかもしれませんね。

最後に、アクション系など一部のジャンルではゲーム機が中心な物もあるでしょうが、
ADVに関しては80年代から常にPCゲーが先端を切り開いていきました。
ゲーム機で新しいとされることは、ほぼ例外なく数年前にPCでやっていますし。
(国内の関連書籍の場合、執筆者が自身の子供時代に触れたゲーム機のADVを、
思い出補正なしに語れないから問題があるのです。)
そのPCもデスクトップからノートへと主流が移り、
iphoneやタブレットなど流行が変わるに従い、
ADVの中心もそっち方面にシフトしているのでしょう。
今はADVが熱いとの見解もありますが、もしADVに興味があるなら今は、
カジュアルゲームやインディーズ系の作品から目が離せない時代なのだと思います。

関連するタグ ADV /HOG /


面影レイルバック   美少女万華鏡 -罪と罰の少女-  蒼の彼方のフォーリズム EXTRA1
カテゴリ「コラム」内の前後の記事





管理者にだけ表示を許可する

トラックバック http://advgamer.blog.fc2.com/tb.php/2008-9f123df9
| ホームへ戻る |