『JACK(ジャック) ラスベガス連続殺人』

『JACK(ジャック) ラスベガス連続殺人』

『JACK(ジャック) ラスベガス連続殺人』は1988年にPC88用として、
シンキングラビットから発売されました。

ゲーム専用自販機であるタケル専売の推理ADVでした。

JACK

<概要>


ロサンゼルスのぼろいホテルで発生した殺人事件。
そこから始まる連続殺人事件の真相を解き明かすことが目的となります。

『カサブランカに愛を』や『THE MAN I LOVE』と同じく、
白黒の2色の画面で構成された作品でした。

<ストーリー>


80年代は推理もののADVも結構多く、SFと並ぶ主流路線でした。
特に殺人事件の犯人を捜すというのは、王道中の王道ですよね。
シンキングラビットはずっとADVの名作・良作を作っており、
そのシナリオの良さで定評があったのですが、
普通の殺人事件ものは『道化師殺人事件』以来だったのかな。
広義では『カサブランカに愛を』や『THE MAN I LOVE』もミステリーなのですが、
この正統派とも言うべきジャンルは久しぶりだったような。

内容はトリック云々というより、複雑な人間関係を解き明かしていくタイプ。
カサブランカほどの興奮はないにしても、
さすがはシンキングラビットと思わせる充実の内容でした。

ただ相棒と行動しているにもかかわらず、セリフが少なめ。
それ自体は単独では特に問題もないのですが、
グラフィックとの関連で少し疑問に思ったりも。

<グラフィック>


ということで、そのグラフィックなのですが、
上記のように本作は白黒の2色しかありません。

以前は色付きだったので、あえてこうしたわけですね。
時代がグラフィック重視に傾いていき始めたことから、
うちは見た目でなく中身(ストーリー)で勝負なのだと、
『カサブランカに愛を』の頃には感銘を受けたものでした。

本作もその路線なのでしょうが、
カサブランカがコマンド入力式だったのに対し本作はコマンド選択式であり、
攻略が容易になった分だけ逆にテキスト量が必要だと思うのですけどね。
テキスト云々でなく見て感じろというような作りであるため、
だったら絵を豪華にした方が良いのではと疑問に思ったりも。

ゲーム性と絵を簡略化するかわりにシナリオの量と質を充実させるという、
システムサコムのノベルウェア路線の方が、
個人的には理念がしっくりきたように思います。

<ゲームデザイン>


いやいや、システムサコムのはノベルゲーであり、
こっちはADVだろうよと反論もあるでしょう。

国内のADVはコマンド選択式が主流となっており、
総当りすれば誰でもクリアできるゲームも増えていました。

本作はそれに対応すべく、「JOKER」コマンドを用意しています。
神宮寺で言うところのタバコを吸うみたいなものですが、
ここぞという場面で使う必要があるものの、
使用制限があるので乱用することもできません。
これにより総当りを防止したわけですね。

ここはこの作品の最大の特徴でもあり、
コマンド選択型によるゲーム性低下を防止することに歯止めをかけ、
ある程度は成功したのだと思います。
ただコマンド回数を制約する方向性はそれ以前にもあるのであり、
必ずしも画期的なわけでもなかったのですが。

細かい部分で言うと、コマンド選択はテンキーで行えるものの、
テンキーだけで全て行えるわけでもなく、
無駄に画面に大きく表示されてしまっていますので、
もう少し何とかならないのかなと思ったものでした。

JACK02

<総合>


長く根強いファンがいただけに、基本的には良質です。
シナリオもゲーム性もどちらも維持しようとしており、
ある程度は実際に成功していますしね。
ただ、個々の要素は良いのですが、組み合わせであるとか、
細かい配慮の面であるとか、微妙に方向性がおかしくなっていたのかも。
カサブランカでは独自路線を進むことで大成功しましたが、独自路線であるがゆえに、
方向がずれだしても軌道修正を図れなかったのかもしれませんね。
結局次に予定していた『映画狂殺人事件』は発売されなかったのですが、
本作の方向性が暗にその後を予兆していたのかなと、今になって思うのです。

ランク:C(佳作)

関連するタグ PC88 /ADV /コマンド選択式 /


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はじめまして。
「ジャック/ラスベガス連続殺人」のグラフィックについてですが
今、改めて考察すると当時は気にしなかったですけど、カラーだと200ラインになってしまうため、文字がどうしても潰れてしまいます。
モノクロ2色の選択は作品の雰囲気を出すことだけではなくて400ラインの高解像度化を視野に入れたのではと考えられるのではないでしょうか?
200ラインのカラーグラフィックと比較すると400ラインのモノクログラフィックはかなり精細に見えます。

どれだったか別の記事で、モノクロ400ラインにすることで、見易さを優先させることができたと書いた記憶があります。
シナリオに自信があり、読ませることに重点を置いた場合には、カラーを捨てても400ラインを選ぶことには説得力もあるように思います。
世の中の流行や、緻密な描き込みによる雰囲気作り、テキストの読みやすさなど、様々な要素を考慮した上で、シンキングラビットも判断したのでしょうね。
そこに共感する人も多かったから根強いファンも生まれたのだと思いますが、派手なのを好む私の好みとは少しずつずれていったということなんですかね。

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