『幼馴染と十年、夏』

『幼馴染と十年、夏』

『幼馴染と十年、夏』は2012年にWIN用として、
夜のひつじから発売されました。

幼馴染との夏の思い出を描いたノスタルジック幼馴染ノベルになります。

<概要>


本作は幼馴染との夏の思い出を切り取ったような作品です。
具体的には平成11年・平成14年・平成16年の3章からなり、
各章は小・中・高に対応しています。
また各章はその年の夏休みにおける二人の関係だけを描いています。

幼馴染というのは、古いような新しいような微妙な属性でして。
80年代の作品では、パッとは思い浮かばないです。
90年代に入った直後は・・・幾つか思い当たるのだけれど、
幼馴染の良さを描いた作品ではなかったような。
『PIAS』なんて、幼馴染の恋人が寝取られた~って、ありゃトラウマもんだし。
明らかに状況が変わったのが94年で、
『闘神都市2』や『ドラゴンナイト4』といった化物ソフトが登場し、
この辺が実質的な元年になるのでしょうか。
翌95年には『同級生2』もありますから、
これら大作ソフトに支えられて一気に人気属性になったように思います。

当初は私も非常に大好きな属性だったのですが、
次第に興味がなくなっていきました。
それは幼馴染という特殊な環境を活かした作品が少なく、
始めから主人公と仲が良いという理由を省略するための、
単なる装置になり下がったからです。
未だに幼馴染属性に対する思い入れはあるものの、
同時にそういう設定の作品が出てくるとウンザリすることも多く、
相反する感情が同居するのです。

つまり幼馴染属性が嫌いなのではなく、その用いられ方に不満があるのですから、
不満さえ解消されれば問題なく楽しめるわけですね。
そこで本作です。
時代は三つに分かれており、当然ながらヒロインのグラフィックも変わります。
最初は舌足らずなところも相まって、設定以上にロリな印象を抱きます。
そこから成長したと捉えるのか、或いは老化と捉えるのかは性癖次第なのですが、
主人公と共に歩んできた軌跡が描かれることで、
幼馴染という存在の魅力が伝わってきます。

シナリオのpororiさんはいろんなジャンルを手がけていますが、
丁寧な描写でどれも雰囲気が良く、私は好きなんですよね。
どの分野でも形にしてしまうので多才な方なのかもしれませんが、
丁寧さと雰囲気の良さというサークルの持つ魅力からは、
本作のようなノスタルジックな幼馴染作品というのは、
非常にマッチしているのではないかなと思います。
なので、サークルの真価を発揮した作品とも言えるのでしょう。

ここからは、プレイヤーの受け取り方次第なのかなと。
2章の段階で主人公とヒロインは結ばれ、3章ではバカップル状態になります。
個人的には3章にもストーリー性を少しいれて欲しかった気もしますが、
幼馴染とのいちゃラブってのもコンセプトの一つですので、
作品の方向性としては十分にありなのでしょうね。
だから3章単独ではそれでも十分なのですが、
そうなると幼馴染との積み重ねという部分では2章までになります。
しかも夏休みの思い出だけですので、範囲は狭いです。
各年代の主人公とヒロインを描くことで、
大抵の幼馴染作品よりはずっと深く関係が描けています。
もっともごく限定された時期を扱っただけに、
幼馴染ならではというイベントとかが抜けてしまうわけです。
タイトルには10年とありますが、結局は11年から16年までしかないですしね。
他作品より濃密で満足できたという人もいるでしょうし、
幼馴染を描ききるには物足りないという人もいるでしょう。
私の感想はまさにそのままですけどね。
普通の作品よりははるかに良いのだけれど、
描ききったと言うにはまだ物足りないなと。
ここら辺はボリュームの少ない同人の限界かもしれませんね。

<グラフィック他>


ジャンルはノベル系のADVになります。
選択肢は登場しませんので、章を選んだ後は読み進めるだけです。

基本CG枚数は16枚で、価格を考慮すれば平均的かやや多めと言えるでしょう。
絵と音楽とテキストが上手く噛み合い、非常に雰囲気が良いです。
この辺はこのサークルの持ち味ですね。

もっとも、本作は画面全体を文字で覆うタイプのノベルゲーです。
絵が見辛くなるだけなので、個人的にはあまり好きではありません。
いつもより雰囲気を出すためにこうしたのかもしれませんけどね。

<総合>


特に劇的な何かがあるわけでもなく、
とにかく幼馴染との関係だけを掘り下げた作品です。
幼馴染属性が好きな人、好きだけど現在の幼馴染キャラの扱いに不満の人、
そんな人なら楽しめるはずだし、ぜひやってもらいたい作品ですね。

個人的には価格が高くなっても良いから、
その分もう少しボリュームを増やしてくれれば名作扱いだったのですが。
そこだけは少し残念でしたが、それでも十分満足できる作品でした。

ランク:B(良作)

幼馴染と十年、夏

関連するタグ WIN /ADV /ノベル系 /


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