『きまぐれオレンジ☆ロード 夏のミラージュ』

『きまぐれオレンジ☆ロード 夏のミラージュ』

『きまぐれオレンジ☆ロード 夏のミラージュ』は、
1988年にPC88用として、マイクロキャビンから発売されました。

同名の漫画をゲーム化した作品でした。

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80年代だけでなく、個人的にはいつになっても忘れられない作品が、
『きまぐれオレンジ☆ロード』でした。
鮎川まどかは理想のヒロインであり、
何年経っても自分の中では不動の1位なのですよ。

ビジュアル的にはアニメ版の方が好きなのですが、
アニメ版はストーリーに難のある場面もあり、
そこはやっぱり原作の方がしっかり筋が通っていたのかなと。
まぁ一長一短あるので、アニメ版の絵と音声に原作のストーリーといった感じで、
良い部分だけを繋いで脳内変換してますけれど。

アニメ版は映像面でも収穫の多かった作品で、
1つ目のOPでは245カットも用いつつ曲とシンクロさせており、
EDではオプチカル合成でキャラと背景の動きを違えてきました。
これは当時の最先端の技術だったはず。
2つ目のOPはセル画で一度描いたものを白黒で複写し、
再度着色しながら合成するという手間をかけていました。
またEDは当時まだまだ馴染みの薄かった砂絵の技法を堪能できました。
3つ目のOPは1つ目のOPの正反対の方向性であり、
1カットでつなげつつループ構造になっており、
これには非常に驚かされたものです。

そういうわけで今でも非常に好きな作品なのですが、
PC88用として88年にゲーム化されています。
原作は87年に終わっており、アニメも88年3月に終わりましたので、
原作もアニメも終わった、一番のブームが去った後の作品となるわけですね。
製作したのはマイクロキャビンで、80年代にPC88用の名作ADVを何本も作り出し、
その後『めぞん一刻』のADVなどアニメ作品のゲーム化を手がけ、
アニメを上手くゲーム化させるという、そっち方面でも有名なところでした。

さて、肝心の本作の中身なのですが、
ストーリーは爺ちゃんに春日家の能力が失われるかもしれないと言われ、
それを避けるために鮎川とひかるちゃんのどちらかを、
夏休み中に選ぶことになります。
一応そういう目的はあるのですが、基本的にすることは単純で、
あちこち移動しつつ出会った人と会話したり各種イベントをこなすって感じですね。
ストーリーを追うというよりは、イベントの集合から成る作品です。

そしてその各種イベントなのですが、
ほとんどが原作やアニメで出てきたようなシーンなわけでして。
これは、セルフパロディと言うこともできるかもしれませんね。
楽しめるか否かは、プレイに望む姿勢でも変わると思います。
個人的には発売直後より何年か経ってからプレイした人の方が、
より楽しめたのではないかなと思いますね。
つまり、全体的にどれもどこかで見たようなシーンばかりなので、
新しいストーリーを求めると物足りなくなるのです。
しかし、あぁ~そういやこんなシーンあったよなって思える人ならば、
結構楽しめるわけですね。
だから数年経ってから懐かしむような気持ちでプレイした方が楽しめるのかなと、
個人的には思うのです。
何れにしろ、あらすじだけを見るとオリジナルストーリーっぽいのですが、
本質的にはセルフパロディの集合体と考えた方が良いと思います。

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グラフィックはアニメとかを基準に置いて考えてしまうと、
少しバランスに違和感のある部分もありましたが、
80年代のゲームのグラフィックとしては最高レベルでしょう。
さすがにマイクロキャビンと言ったところでしょうか。

サウンドはアニメ版の主題歌がBGMとして用いられていますので、
ファンなら必ずテンションが上がってくるでしょう。
悪い言い方をすれば使いまわしとも考えられますので、
作品としてはどうなの?って気もしないでもないですけどね。
でもファン向けのファンディスク的な物と考えれば、
これはこれで良いのかなと。どうせプレイするのはファンなのですから。
下手に知らないBGMを流されるよりは、よっぽど良心的かもしれません。
「鏡の中のアクトレス」とか流れ出したら、条件反射で興奮してきますからね。
たぶん私だけでなく、プレイした人ってそんな人ばかりではないでしょうか。

ということでオリジナル要素を求める人には物足りない内容ですが、
ファン向けのファンディスクとしては抑えるべき点は抑えた作品だったのかなと。
ただ、一番の問題はシステムだったのでしょう。
システムも良い部分はあったのですけどね。
本作はコマンド選択式のADVだったのですが、
テキストの文字スピードを変えることができた点は良かったです。
当時は中身が良くて名作と呼ばれる作品の中にも、
テキストの表示が遅くてADVファン以外には嫌われるケースもあったわけで、
快適に読めるというだけでも特徴足りえたのです。
なのでその点は良かったのですけどね、
正解のコマンド以外だと返答がそっけなく、
コマンド数が多いわりに楽しみが少なかったのかなと。
原作を知っているとどうすれば良いか分かりやすい内容でしたので、
あまり詰まる心配もないのですけどね。
それでもコマンド選択が単なる時間稼ぎでしかないように感じられて、
ADVとしては決して褒められた作りではなかったのでしょう。
単純にゲーム部分だけを見れば凡作と言われても仕方ないかもしれません。
まぁ当時は漫画やアニメをゲーム化したものは、
ほとんどがハズレでしたからね。
それを考えれば絵や音で楽しめただけでも良しとすべきなのでしょうが、
作ったのが老舗のマイクロキャビンですから、
マイクロキャビンだったらもっと作り込めただろうにと思うと、
ファンとしてはちょっと悔しくもありますね。

総じて、完全なファン向け作品なのでしょう。
ファンでない人がプレイするとも思えませんが、
ファン以外がプレイしたら良くても佳作、悪ければ凡作以下にもなるでしょうね。
ファンが、あぁこういうシーンあったよなとか、
このBGMが好きだったよなとか、
そんな風に盛り上がるためのツールなのだと思います。
個人的にはオレンジロードの大ファンでもあり、
大ファンがファンディスクを楽しむ的な観点から評価し、
かなり激甘の主観入りまくりですが良作としておきます。
まぁ、こういうのは難しいですけどね。
もし完全なオリジナルシナリオであれば、
ファンならぜひやって下さいと書いていたでしょう。
でもファンディスク的作品ですのでファンなら楽しめると思うけれど、
じゃあファンならやるべきかと聞かれれば、
そうでもないよなって作品でもありますからね。

ランク:B(良作)

きまぐれオレンジロード夏のミラージュ


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