『マシナリウム (Machinarium)』

『マシナリウム (Machinarium)』

『マシナリウム (Machinarium)』は2009年に各種PC用として、
Amanita Designから発売されました。

一応PLAYISMから日本語版が発売されていますが、
テキストがないので英語版でも問題はないでしょう。

Machinarium

さて、大雑把なジャンルとしてはADVとなります。
ポイント&クリック(P&C)式のADVと紹介されることも多いのですが、
伝統的なP&C式ADVはテキストの存在を前提としていますので、
テキストのない本作をP&C式と言うと少し違和感があるのかなと思ったりも。
(インタラクティブムービーだってあちこちクリックして進めますが、
テキストを重視しないことから異なる表現を用いているわけです。)
パズルや謎を解きながら進んでいく作品ですので、
むしろMYST系と言った方が伝わりやすいのかも。
もっともMYST系は主人公が表示されない場合も多いので、
これはこれで違和感のある人もいるのなかと思うわけで、
個人的にはインタラクティブムービーと言った方が据わりが良いように思います。
まぁ、細かい定義云々を別とするならば、
この作品はCGで表示された画面上をクリックすることで主人公が反応し、
クリックしたりパズルを解くことにより進んでいく作品となります。

尚、テキストはなく、かわりにグラフィック上で噴出し風に動きで表現されるので、
海外の作品ではあるものの言葉の問題はありません。
上記のように一応日本語版はあるのですが、
メニューなどが日本語になった程度なので、海外版でもまず問題はないでしょう。
各自、購入しやすいと思うところで購入すれば良いと思います。
因みに、基本はダウンロード版なのですが、
どうしてもパッケージ版が欲しいという人もいるでしょう。
少し割高になりますが、そういう人向けにパッケージ版もあります。
今はプレミアも付いていますし、
どちらかと言うと本当に好きな人向けのコレクターズアイテムですね。

ところで、製作したAmanita Designはチェコのブランドであり、
この『マシナリウム』がインディーズのデビュー作になります。
もっともブラウザゲームの『Samorost』(2003)で世界中で有名になっており、
フリーゲームやブラウザゲームをプレイする人の間では、
知らない人はいないのではと思うくらいに有名になっていました。

その後、続編の『Samorost2』(2005)が出るのですが、
こちらは途中までフリーで続きは5ドルという形式をとり、
それで今作でインディーズデビューとなったわけですね。
国内でも同人ゲーで知名度を挙げつつ資金を貯め、
それから商業デビューというケースがあります。
特にゼロ年代のPCのADVでは無視できないほど大きな流れでもありますしね。
それの海外版というか、まぁこっちは無料から始まっているのですが、
段階を経るって点では似ていますよね。

ところで、国内でも同人ゲーの大ヒット作が出ることで同人市場に注目が集まり、
優れた同人ゲーが増える傾向がありました。
今、ADV市場が熱いという表現を見かけることがありますが、
資金はないけどアイデアはあるという小粒でも個性的な作品が、
インディーズ作品として続々と発売されています。
そうした海外におけるインディーズ作品ブームの先駆けが本作であり、
本作が果たした役割は非常に大きなものだったと言えるように思います。
そういう意味では、ADV史の観点からも外せない作品なのかなと。

ADV史の観点という意味では、もう一つ挙げることができるでしょうか。
上記のように、今はADV市場が熱く黄金期に入りつつあるという人もいます。
個人的にそれは少し言いすぎだろとも思いますが、
様々な作品が登場し一時期より非常に活気付いていることは間違いないでしょう。
ADVが活気付いているというと違和感がある人もいるかもしれませんが、
それはどこに目を向けているかの問題にすぎません。
確かにPCやゲーム機のフルプライス級のADVは非常に寒い時期が続いています。
でも、steamなどの発達でダウンロードにより世界中で気軽に遊べる環境が整い、
小粒なインディーズ作品もリリースしやすくなりました。
またiPadなどタッチ画面の媒体が増えることで、
小粒だけど個性的なインディーズ系のADVは発売しやすい環境になり、
それに伴い多くの良作が出てきているんですよね。
ADVの主流はずっと常にPCゲーだったのですが、
それがiPadなどに移りつつあるということなのでしょう。
こういう媒体では小粒なアイデア勝負の作品の方が相性が良いでしょうから、
しばらくは新しい試みはここから出てくるという時代が続くかもしれません。
まぁ私は最先端のPCで重厚長大って路線の方が好きなので、
個人的にはあまり好ましい方向ではないのですけどね。
でも現実としてはPCのフルプライス級やゲーム機のADVってのは、
少し時代遅れなのでしょうね。

それにしても時代というのは、どっちに転がるか分からないものです。
MYST系、或いはインタラクティブムービーなんてのは、
90年代前半から半ばにかけて非常に勢いがあったものでした。
それが次第に行き詰まり急激に縮小していくわけで、
言わば終わったジャンルでもあったのです。
それが、こうして復活してくるわけですからね。

テキストでなく映像や音楽による表現を重視するインタラクティブムービーは、
言葉の壁という問題が非常に少なくなります。
特に本作のようなテキストのないタイプでは全く問題がなく、
世界中で誰でも楽しむことができます。
また上記のようにiPadやWIN8の登場など、
世の流れはタッチ画面に向かいつつあります。
そうなると画面をクリックしていくタイプのADVとは、
非常に相性が良いんですよね。
従ってこの系統のADVが息を吹き返すということは、
ある意味当然のことなのかもしれません。
ゲームシステム的に新しいものがあったわけでもないのですが、
到来しているブームや流れを象徴する作品であることに違いはなく、
その意味で近年を象徴するADVとして名作足りえるのではないでしょうか。

あまり内容と関係ない総論的な部分が増えてしまいましたが、
マシナリウムには上記のようにテキストがありません。
そのため文字による濃厚なストーリーはないですし、
またゲームデザインなどに新しい部分があるわけでもありません。
それでも世界中で高い人気を得た理由は、
ほとんどがその独特な世界観にあると言えるでしょう。
ゲームは主人公であるロボがゴミ捨て場に捨てられたところから始まりますが、
荒廃した世界が舞台になります。
その醸し出す雰囲気に惹かれるか否か。
雰囲気ゲーであるが故に他人の感想はあまり意味がなく、
プレイヤー自身がどう感じ取ったかにかかってきます。
画像を見て惹かれるものがあれば買いと言えるし、
そうでなければスルーした方が賢明なのでしょう。
個人的にはこの手の世界観・雰囲気にそれほど新鮮さを感じなくなったこともあり、
名作と言いつつ世間一般よりは辛めになっていますけどね。
でも、もしADVに飢えている人で、かつこの作品を知らなかったのであれば、
ぜひ検討してみることをおすすめします。

ランク:B(良作)

マシナリウム


関連するタグ WIN /ADV /インタラクティブムービー /


月影のシミュラクル   緋のない所に烟は立たない  いつまでも僕だけのママのままでいて
カテゴリ「2009」内の前後の記事





管理者にだけ表示を許可する

トラックバック http://advgamer.blog.fc2.com/tb.php/1792-0cfa54ff
| ホームへ戻る |