MYST

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『MYST』の日本語版が発売されたのは、1994年のこと。
MAC版、WIN版、PS版、SS版・・・と各機種で発売されました。

文字通りMYST系ADVの元祖となる作品ですね。

myst01.jpg

<概要>


海外においては700万本以上も売れた、説明不要の超有名作。
なお、この数字は日本語版発売時(1994年)の数字なので、
その後も数字は増えているはずです。
この数字がどれくらい凄いかは、
例えば後の2000年にシムズシリーズの初代が発売されるのですが、
その初代シムズに抜かれるまでは、
『MYST』が最も売れたPCゲーだったことからも分かります。
だから極端に言うならば、世界で2番目に有名なPCゲーなんですよね。
しかし、日本でだけはマイナーな存在。
『MYST』程、国内外における温度差の激しい作品も珍しいのでは?

ところで、その『MYST』は、1993年にMAC用として、
Cyan社から発売されました。
MACの付属ソフトであるハイパーカードとハイパーテキスト。
『MYST』はこれで作られたのです。
今なら、FLASHでFFの新作を作ったといってるようなもんですかね。
それだけでも驚愕ものです。
しかもミラー兄弟を中心に、確か5人で全部を作ったはずです。
ホント、信じられないような話ですね。

『MYST』の発売以降、海外のADV市場では、
似た形式の作品が急激に増えていきました。
それらの作品は「MYSTクローン」と呼ばれ、
一つのジャンルとして認知されています。
もっとも日本においては、
あまり「MYSTクローン」という言葉は認知されていませんし、
クローンという言葉自体にネガティブな印象を抱く人もいます。
そのため、日本において「MYSTクローン」という言葉を用いることは、
現状では得策ではないと考えます。
そこで、ここでは、それらの作品を総称して、
MYST系ADVと表示することにします。
本作は、当然ながらMYST系ADVの始祖となるわけですが、
従来のADVとは異なる特徴が幾つかあります。

まず、MYST系の本質とは関係はないのだけれど、
多くの作品に見られる傾向として、以下の特徴があります。
1)CGによる超美麗なグラフィック
2)1st-person perspectiveと呼ばれるように、1人称視点

MYST系ADVの多くは、
如何にCGのデキが良いかを競っていた感もありますしね。
また、主人公=プレイヤーの立場をとるものが多く
(つまりはMYSTの真似)、
そのこともあってか、自分視点のゲームが多かったです。

そして、MYST系ADVが他と最も異なる点として、
以下の特徴があげられます。
3)テキストを廃し、グラフィックとサウンド(ボイス含)で伝える。
4)従来のP&Cに比べ、画面内でクリックできる箇所は減少。
  その代わりに、クリックできる箇所でやれる事が非常に多くなった。

単にクリックするだけでなくて、装置を弄繰り回したりするので、
従来のように、総当りで全部試すって事が事実上不可能になったんですね。

これまでとは全く異なった面白さのベクトルを持っていた『MYST』。
ADVの新ジャンルの誕生の瞬間でもあり、
同時にこのジャンルの最高傑作の誕生の瞬間でもあったのです。

<ゲームデザイン>


MYST03.jpg

上記のようにシステムが従来とは全く異なるのがMYST系の特徴ですが、
実は本家『MYST』が後発のMYST系と異なる点もまた、
ここにあるのです。

どういうことかと言いますと、
後発の似たゲーム(MYST系ADV)のほとんどは、
結局要所要所にパズルが置かれてるだけといった感じでもありました。
国内で有名な『ICO』も、そこにあるパズルを解くってだけですしね。
ところが、『MYST』はそうじゃないのです。
問題を解く以前に、何が問題かを自分で探さなければならないのです。

ただ与えられた問題を解くのは、勉強で言えば高校までの話。
大学の論述の試験は、自分で問題点を探すところから始まりますよね。
他が高校レベルなのに、『MYST』だけは大学レベル。
例えればそんな感じでしょうか。
そこが、後発の他社作品が元祖を超えられない壁なのです。
(この部分を極めたのが続編の『RIVEN』です)

まぁ、それ故に難しくてクリアできないって人も結構いるんですけどね。
ただ、ここで1点、勘違いして欲しくないことがあります。
『MYST』が難しいことは有名ですが、
決して「難しいこと」自体が評価されているわけではないってことです。
単に難しくするだけならば、理不尽な謎解きにすれば足りるのです。
実際、そういう作品も幾つもありますし、
難易度だけなら『MYST』以上ってADVも幾つも存在します。

しかしながら、理不尽な謎解きばかりなのでは、
決して優れたゲームとは言えません。
『MYST』の場合、もし仮にクリアできないとしても、
それはプレイヤーの観察眼が足りないだけ。
だって極めて自然に、
理路整然とした答えが用意されているのですから。
世界中のADVファンが本作を絶賛したのは、
そういう理由からなんですよね。

<グラフィック>


さてゲーム部分とは別に、『MYST』の他の大きな特徴としては、
美麗なグラフィックと、
臨場感ある効果音から作り出される独特な世界観にあります。
ストーリーらしき物がなく、
直に世界観を肌で感じるタイプのゲームだけに、
世界観は特に重要になるんですよね。

本来、ファンタジーとは、いかに独自の世界を構築できるかが本質なはず。
しかし、当時の日本の商業ファンタジーは中世ヨーロッパ風の物ばかり。
中世ヨーロッパ風=ファンタジーって勘違いしてる人も多いでしょう。
でも、そんな猿真似で独自の世界を構築できてないのは、
本来はファンタジーと呼べないんですよね。

日本ファンタジーノベル大賞の受賞作を読めば、
何がファンタジーなのかはすぐにわかると思いますけれど。
ラノベやゲームの商業ファンタジーと如何に違ってるかが。

閑話休題。
『MYST』の世界観は秀逸でした。
その、他では見た事のないような世界が、
本作の中では幾つも用意されているのです。

それぞれの世界については、
直接肌で感じてもらいたいので割愛するけれど、
結局どの世界も自分一人しかいないわけで・・・
その孤独感からでしょうか、プレイした友人は怖いって言ってました。
とても幻想的で綺麗な世界なんだけど、ふと我に返ったとき、
自分ひとりで無人島に残された恐怖感を感じるってとこですかね。

そしてその世界が、当時世界最高レベルにあった
グラフィック技術で表現されているのですから。
そのインパクトは凄かったですね~

サウンドもほとんどが効果音しかないけれど、
とてもよく出来てて(サントラを買う人も多数いますし)、
世界のリアリティをぐっと増してましたしね。

<感想・総合>


OPで一冊の本を開いた瞬間から、未知の世界に吸い込まれる。
ファンタジー映画の主人公のような体験を自分も味わう事が出来た。
そんな経験を、今後味わうことはできるでしょうか?

本作はゲームデザインの面、グラフィックの進化の面、
ツール発展の面など多くの点で大きな意義を有していました。
これほどの作品は滅多に登場しないのであり、
ADV史上に間違いなく刻まれる歴史的大傑作でした。

ランク:S(名作)

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とてもすばらしい言い回しですね
わたしもミストの世界のフアンです
今Mystリーダーを読んでいます
アトラスが育ててもらったおばあさんからの教えで
いかに観察することが大切で
いろいろな角度から物事を見て
そして初めてすべての真実の像がわかって
そしてソリューションを導く。。。
などゲームのエッセンスのようなものに触れられて驚いています
いつもMystのことはブログにも書きたいなと思ってます その際はトラックバックをさせて頂ければ幸いです
これからもチャンスがありましたらまたミストのことを書いてください
ミスト3が気に入ってますが他のMystなどの感想はどうですか?

コメント、ありがとうございます。
MYSTは私にとって忘れられない最高の作品の一つですね。
とはいえ、このブログでは数多くの作品について紹介していくつもりなので、
時間的にはMYSTそのものをこれ以上深く掘り下げるのは困難かと。
このブログの趣旨は面白いゲームは紹介はするけど、
詳しくは他で調べてみてって感じなのでw
そんな状況なので、Juny1 さんが書かれる機会があるならば、
自分も大変嬉しいことだし、期待してその日を待っています。
他のMYST作品及びMYST型ADVについても、
名作だと思った物は順次書いていく予定でいます。
当然MYST3についてもそのうち書く予定ですが、
あくまで私個人の感想としては、初代のインパクトが最高だったかなと。

いつもレビューを拝読させて頂いております。
MYST・・・この、ゲームの存在は知っていたのですが、当時PCを所持しておらず
やらないまま現在に至っております・・・。
そこで、今更ながらこの名作をプレイしたいと思っております。
PS版、SS版は見つかったのですが、PC版が見つかっていない状態です。
どうせやるなら、頑張ってPC版を探した方がいいでしょうか。

結論から言ってしまうと、PS版かSS版で大丈夫です。
MYSTのオリジナル版の発売が93年で、PSやSS本体が94年の発売です。
大雑把に言ってしまえば、ゲーム機の発売時はその時の平均的なPCより優秀ですから。
同じことは2001年発売の『MYST3』にも言えて、これは伝聞なので確証はないですが、2002年発売のXBOXで特に問題ないという話を聞いたことがあります。
だから『MYST』と『MYST3』は、ゲーム機に移植されたもので全く問題ないと思います。
またコントローラーに機能が割り振ってありますので、PSやSS用に新規でマウスを用意する必要もありません。
今ではPSP版もあるようで、内容的には問題ないのかもしれませんが、この手のゲームを小さい画面でプレイすることは個人的には少し無理があるように感じますね。
但し、1点だけ注意してもらいたいことがあります。
もしMYSTをプレイして楽しめたら、普通は97年に発売された2作目のRIVENに進むと思います。
このRIVENに関しては、PS版をすすめることはできません。
私は当時PCの不調もあり両方持っていますが、グラフィックの質が明らかに劣ります。
繊細な線が全部つぶれて、ぐちゃっと塗りたくった感じになっているのです。
この時点でPSの限界を超えてしまったのでしょう。
それでもMYSTよりは綺麗なので、MYST→RIVENだと綺麗になったなと思えるのですが、オリジナルと比べると雲泥の差です。
PS版より少し高いかもしれませんが、できる限りPC版でプレイしてもらいたいと思います。
ついでにMYSTの原点である『マンホール』がPCエンジンで出ていますので、もしMYSTが楽しめたらこちらも試してみると変遷が分かって面白いかもしれません。
MYSTは700万本以上と、おそらく世界で一番売れたADVだしファンも多いのですが、難しいために人を選んでしまうことも確かです。
猿渡さんが楽しめて、できればRIVENまでたどりついて欲しいなと、個人的には思います。

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