鬼畜王ランス

鬼畜王ランス

『鬼畜王ランス』は1996年にWIN用として、
アリスソフトから発売されました。

『闘神都市2』と並ぶアリスの2枚看板の1つであり、
個人的にはアリスの最高傑作と考える作品であります。

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<概要>


アリスソフトのランスシリーズは89年から始まります。
1が89年で、2が90年、3が91年で、4が94年。
95年には4.1と4.2という外伝も発売されています。

今からすると、この発売間隔であっても、
十分コンスタントに発売されていると思いますけどね。
しかし、このままでは本編が終わるか分らないということで、
だったら先に全部設定を見せてしまえと、
ifを描いた番外編として発売されたのが、鬼畜王ランスでした。

本編がRPGをベースにしているのに対し、
本作は、詳細は後述しますが、SLGないしSLG+ADVとなっています。
今だと、アリスはSLGは得意だけどRPGは少しもの足りない印象もありますが、
PC98時代は代表作のほとんどがRPGでしたし、逆にSLGは未知数でしたからね。
アリス自体はチャンピオンソフト名義の作品も含めれば、
80年代前半からゲームを作っている老舗中の老舗です。
しかしSLGに強い印象がユーザーにあるとするならば、
それは本作からの話となるのでしょうね。

尚、本作には初回版がありまして。
分厚い設定資料集やマウスパッド等のオマケが付いてきました。
ゲームの内容そのものとは関係ないですが、これは嬉しかったですね。
アリスの分厚い説明書はいつも読んでて楽しいのですが、
これなんかはその最たるものでしょう。
(ついでに、市販の設定資料集も凄く良いです。ファンには必須でしょう)
それでいて、値段はよくある限定版のように高くはならないですしね。
それどころか、通販で買った人は凄く格安でした。
本作の定価は8500円だったのですが、
通販で購入するときは5800円で買えました。
他のアダルトゲームより圧倒的に安いです。
フルプライスどころかミドルプライスですよね、これじゃ。
通販だと、この安さに加えて、発売日の3日前に遊ぶことも出来ました。
もちろん、私もファンクラブ通販で購入しましたので、
発売日前から楽しんでいましたね。
この様々なサービス精神には凄く感銘を受けたし、
アリスにずっとついていこうと思わせてくれたものです。
余談の更に余談になってしまうけれど、
今と違って昔はアリスの公式通販が圧倒的にお得でしたからね。
公式通販を利用できる環境にある人は、
皆そっちを利用したんじゃないかなと。
雑誌の売上ランキングは店頭販売分を基に集計しますから、
アリスの場合は雑誌のランキングがアテにならないという面は強かったです。

<ゲームデザイン>


事前の話が長くなってしまいましたが、
本作はアリスだけでなくアダルトゲーム全般、
ひいてはSLG全般を通じた中でも傑作中の傑作と呼べるのではないかと、
個人的には思うのですけどね。

とにかく、ただただ圧倒されました。
こんなゲームがあるのかって。
国取り型のSLGはこれまでに幾つもありましたが、
イベントが怒涛のように押し寄せてくるタイプの作品は初めてでしたから。

システムは、よく国取りタイプのSLGと紹介されていますが、
むしろ戦略SLG+ADVという風に、
「+ADV」の部分を強調して捉えた方が良いでしょうね。
この捉え方次第で、作品の面白みも変わってくるかと思います。

というのも、例えば光栄系の国取りものでは、
戦略・戦術・経営の3要素から成り立っています。
ところが鬼畜王ランスでは経営の部分はカットされており、
戦術部分はRPGみたいな構造になっていて簡略化されています。
ですので、SLGという部分のみにこだわったのであれば、
本作は光栄系の作品よりもゲーム性が劣ると言えるでしょう。

しかしゲーム全体のゲーム性に関しては、
私は本作の方がはるかに上だと考えています。
それは何故か?
即ち、そこがSLG+ADVと表現した点にあるのです。

鬼畜王ランスには膨大な数のキャラが存在します。
そしてそのキャラたちに、これまた膨大な量のイベントが用意されています。
限られた時間の中でどのキャラとのどのイベントをこなすのか、
この感覚はADVの『同級生』シリーズに通じるものがあるでしょう。
マルチフラグシステムを存分に活かした作品というか、
『同級生』のシステムのボリュームを大幅に増したような作品でした。
仮にADVとして発売されたとしても、
おそらくかなりの高評価を得ていたのではないでしょうか。

しかし前述のように、本作は単なるADVではありません。
マルチフラグを活かしたADV要素に、
国取り型のSLGとしての要素が加わっているのです。
こうした融合系のシステムは、当時私にとって初めての経験でしたし、
とても斬新に感じたものです。

また融合による副産物とでも言いましょうか、
RPGやADVにおけるマルチフラグでは自分でイベントを起こしに行きますが、
本作はターンが回って来た時に大量のイベントが降りかかって来ます。
この放っておいても次々にイベントが降りかかってくる感覚、
この感覚がとても衝撃的で圧倒されてしまったのです。

こういう構造ですからね、
ストーリーやキャラなんかどうでも良いよ、
SLG部分だけしかみないって人にはそれ程でもないかもしれません。

でもゲーム全体で考えてみれば、非常に秀逸と言えるのではないでしょうか。
ありそうでなかったゲームデザインも卓越していましたが、
狭義のゲーム性にしてもそうです。
ADVパートだけでも十分すぎるほどにハードですからね、
これに戦略・戦術・育成の全てを入れてしまったら、
おそらく複雑すぎてテンポを崩しゲームバランスも崩壊していたでしょう。

マルチフラグを活かしたADVに、
戦略SLGの魅力や醍醐味の部分だけを上手く融合させる。
このさじ加減が実に絶妙で、
プレイ時の新鮮さと優れたデザインセンスを感じさせてくれたのです。
出会えて本当に良かったと、心からそう思える数少ない作品でしたね。

<ストーリー・キャラ>


ところで『鬼畜王ランス』が評価されている理由は、
決してシステム面だけではないわけでして。
ADVの要素が強いということで、
当然ながらストーリーやキャラに依存する要素も強くなります。
本作はアリスの看板シリーズでもあるランスシリーズの番外編で、
このままのペースでは本編が完結できないことから、
設定を全部公開するという意味合いで「if世界」として発売されました。
これまで積み重ねてきた世界観や多数のキャラという資産があって、
そこに大幅に厚みを加えての発売ですからね、
後の『大悪司』や『大番長』では作ることの出来ない深みがあります。
この世界観やキャラの深みや面白みがあったからこそ、
『鬼畜王ランス』がより面白く感じられたんですよね。

加えて、これ自力での完全クリアは無理じゃね?って思うくらい、
膨大なボリュームがありました。
ストーリーやキャラ面で質と量の両方が伴っていたからこそ、
更にシステムの面白さが増していったと言えるでしょう。

<感想・総合>


そういうわけですので、
ゲームの中枢を担うストーリー・キャラ・ゲームデザインは文句なしです。
ボリュームも満点ですしね。
私は『鬼畜王ランス』が非常に好きで、
点数の上では歴代でも4番目に高い点数を付けています。

でも、そうなるには上記の理由だけではまだ足りません。
ゲームにとって必要な他の要素、
即ちグラフィックやサウンドも非常に優れていました。
今となっては画質的には見劣りもするでしょうけどね、
これが発売されたのは96年です。
当時の主流はまだまだPC-98だったし、
WIN用のゲームで性能を活かした作品なんてほとんどなかったです。
それを考えると、グラフィックやサウンドといった要素も、
他より完全に飛び抜けた存在だったと思います。

どこか1つでも優れた点があれば私は名作だと考えますが、
本当に最高と呼びうる作品は、
ストーリー・キャラ・グラフィック・サウンド・ボリューム・
ゲームデザイン・狭義のゲーム性の全てに秀でた作品だけだと思います。
勿論、そんな作品なんてほとんど存在しません。
でも、本作は数少ない全てに秀でた作品だと思うんですよね。
この作品にリアルタイムで出会えたことには、本当に感謝したいものです。

ランク:S-(名作)

鬼畜王ランス

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こんにちわ
このゲームは確かに凄いゲームでしたね
僕も最初は町を襲うゲリラ戦や魔人には攻撃が効かない設定は嫌でしたが
途中からは面白く感じました。戦闘は簡略化されてますが繰り返し楽しめますし
おそろしく長く楽しめるゲームでした
あー声があればって思いました
このゲームに近いと思ったのでフリーゲームで「三国県立2」といのが
なかなか渋くてよかったです

>>京さん
こんばんは。
本当に凄いゲームでしたね。
96年の12月は「YU-NO」も「大航海時代3」もあって、
本当に睡眠時間のないゲーム漬けの月でした。
声は難しいですね、シリーズが長いですから。
違和感のある声になっちゃうと残念ですし。
まぁ、アリスなら上手く見つけてくれる気もしますけどね。
「三国県立2」はフリーゲームではかなり有名ですよね。
気にはなってるけどまだやってないので、いつかやってみたいです。

 YU-NOと同時期に発売したのは知ってましたが大航海もあったのは知りませんでした。前にも書いたと思いますが私がゲームにはまったのは98年でして
この時期はゲームにまったく詳しくないので
この時期を知ってるほうが羨ましく感じます

>>京さん
調べなおしたら、正確には『大航海時代3』は11月29日だったみたいです。
日にちが日にちだけにプレイしたのはほとんど12月なもので、
12月のイメージが定着してたみたいです。
96年は個人的には1番の豊作だった年ですが、
中でも12月は異常だったように思われます。
他に私が傑作と感じた中では『ファイアーウーマン纏組』もこの月でしたし。
名作とは言えなくても話題性が高かったという点では、
「きゃんきゃんバニープルミエール2」もありましたね。
エルフの「YU-NO」、アリスの「鬼畜王」、F&Cの「プルミ2」。
98時代の3強がそれぞれに大作を出した月でもあり、
テンションが上がりっぱなしの月でした。

確かにこの時期が一番熱かった最後の時かもしれませんね
私はTOHEATは理解出来ませんでしたから
ゲーム性ないじゃんって感じで
蛭田さんはゲームの楽しさを理解してる人なんだなぁと感じました
それほど外国に詳しくないし日本のことも一部限定ですが
もしかしてADVでは最高の人じゃって感じます

>>京さん
豊作年は個人的には96年、98年、94年…って続きますかね。
いろんな意味で、96年はピークでした。
TOHEATは私も駄目でした。
萌えキャラがいればそれでOKって感じの今の流れを作ったという意味では、
歴史に残る作品なんでしょうけどね。
とにかく眠くなる展開と主人公の言葉遣いが肌に合いませんでした。
蛭田さんは、良いADVの作り方を分かっているという点では、
少なくとも国内では最高の人だと思いますね。
この人がいなかったら、国内のADVの歴史も、
全く違ったものになっていたでしょうね。

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