ビ・ヨンド ~黒大将に見られてる~

ビ・ヨンド ~黒大将に見られてる~

『ビ・ヨンド -黒大将に見られてる-』は、
1996年にPC98用としてシルキーズから発売されました。

笑いあり涙ありの、豪華16色。
む~む~の良さを存分に発揮した作品でしたね。

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<概要>


ゲームジャンルはコマンド選択式ADVになります。

あらすじ・・・
久遠の闇より黒き者・・・・・・『漆黒の魔王』
記憶を失い、気がついたら『魔王』になっていた主人公。
『魔王』としての自覚もないまま彼は『シモベ』と自称する少女を伴ない、
あてもなく宇宙を漂う。
彷徨の中で平和な暮らしを望む主人公。
しかし世間の『魔王』に対する風当たりは厳しく、
彼のやる事なす事すべてが裏目に出てしまう。
さらには様々に出会う少女たちが混乱に拍車をかけ、
事態は思いがけない方向に・・・。
だが、これはまだ抱腹絶倒ドタバタ宇宙劇の始まりに過ぎなかった。
果たして彼の行く末に待ち受けているものとは、いったい・・・・・・・・。

<グラフィック>


パッケージにある「豪華16色」の文字を見た時には、
一体何の冗談かと思ったものです。
PC88が8色でしたので、
PC98への移行期ならば16色でも凄いと言えたのですが、
本作が発売されたのは96年ですので、
もうWIN95も発売されていますからね。
だから普通ならば、冗談としか思えないわけです。

もっとも、いざプレイしてみると、
確かにこれは豪華16色だなと思ってしまうわけでして。
本作はシルキーズからの発売ですが、これはエルフの別ブランドですし、
98時代のエルフは塗りも業界最高峰でしたからね。
単純に本作の塗りも非常に良かったのです。

そしてそれ以上に演出面が優れていて、よく動いていましたね。
動いていたと言ってもフルアニメとか、そんなんではないです。
立ち絵の動きであるとか背景が変化したりとか、
画面内のちょっとした所がしょっちゅう変化していたんですよ。
テキストだけではなく、グラフィックも含めて、
画面全体で終始楽しませてくれたんですね。

WIN時代になってエルフの力が衰えました。
代わって別のブランドが勢いを増していったわけだけれど、
それ自体は何ら問題ありません。
ってか、新しいところが出てくること自体はむしろ歓迎します。
しかしながらそこでは、ストーリーやキャラや一枚絵の綺麗さには拘っても、
こうした画面上の動き、演出に関しては疎かになっていきました。
ここ数年、即ちゼロ年代も後半になってくると、
立ち絵の動きや背景も含めた演出部分が再注目されて、
頑張るブランドが増えてきましたけどね。
でもそれは常に進化してきた結果なのではなく、
ずっと進化が停滞していた分、
ようやく今になって失われた分を取り戻しにきたって感じです。

確かに、ADVにおけるストーリー・シナリオの占める比重は大きいでしょう。
でもね、せっかくディスプレイに長時間向かい合ってるんですもん。
見た目でも楽しませてくれなきゃね~
例え僅かな時間でもプレイヤーを退屈させないように。
トータル的に優れた作品ってのは、
そういう所にまで配慮の行き届いた作品だと思うのですよ。
そう考えると確かに古い作品ではあるけれど、
『ビ・ヨンド』から得られる物はまだまだあるのではないでしょうか。

<キャラ>


上述のようにグラフィックがこのゲームの大きな特徴なのですが、
それと並ぶ、或いはそれ以上に大きな特徴は、
とにかく笑えるって所なのでしょう。

笑いのツボは人それぞれだし年代によっても異なってくるので、
今やって笑えるのかは保証はできません。
ただ、当時プレイしていた人たちにアンケートでもとったら、
笑えるゲームのトップ3には間違いなく入ってくる気がしますね。
まぁライターはむ~む~さんですし、
ゼロ年代に入ってからも新作はうけているようなので、
今でも通用すると思いますけどね。
むしろ、キャラはどれも『うたわれるもの』よりもはじけてましたし、
む~む~さんの良さが存分に発揮されているという意味では、
今でも本作が一番のように思います。

<ストーリー>


そのように基本は笑い転げるようなギャグで進行しますが、
ラストではシリアスというかジ~ンってくる展開になります。
つまり序盤はギャグで、終盤は泣けるシリアス展開となるわけです。
散々笑った後のこの展開なんで、自分はかなり満足しています。

笑える序盤から、終盤での泣けるシリアスシーンへの流れというのは、
後のkeyのお得意とするところです。
ただウッカリ最後は泣けるよなんて言って、
近年の泣きゲーをやってきた人にやらせると、
いわゆる泣きゲーのあざとい泣き展開を期待されて、
肩透かしに思われることもあるみたいです。
なので、あくまで基本はギャグゲーって認識した方が良いかもしれません。
ラストは若干、駆け足というかはしょってますしね。

ここは近年、ジェネレーションギャップを感じるところでもありまして。
98時代は結構本作のような、
余韻を持たせて終わる系統の作品が多かったですし、
それでも高く評価されていました。
当時の私も、特に気にもして無かったですしね。
しかし最近の流れ的には、余韻を持たせて終わる系統はあまり評価されず、
過剰なまでにキッチリ描かれてないと支持されにくいようです。
む~む~さんの作品はテキストの面では今でも一般ウケすると思うけど、
ストーリーの構成面などでは少し時代とずれてるのかなと、
ふとそんな風にも思ったりもするのです。

<ゲームデザイン>


システムはコマンド選択式のADVになります。
特に目立った所はないけれど、
ラストがシューティングゲームもどきになっていたのはきつかったです。
私のようにアクションが苦手な人は、少してこずるかもですね。

<感想>


とりあえず、個人的にはむ~む~さんの作品の中では、
一番好きな作品ですね。
普通のコマンド選択式であるというシステム部分を除けば、
グラフィック、ストーリー、キャラなど、他の部分は全て優れた作品でした。

例えばですが、同じエルフの代表作に『同級生』があり、
名作中の名作ではあると思うものの、あれは異端な作品でしたからね。
システム面だけを見ても、全く同じ要素を含んでいるのは、
結局は後継作たる『同級生2』の一本だけですから。
だから『同級生』をもって、98時代のADVとはこうだと言うのは、
何かちょっと違うように思ってしまいます。
PC98時代のADVらしい構造を有しつつ、
それでいて全ての面で優れた作品という意味では、
むしろ本作の方が相応しいのかもしれませんね。

ランク:A(名作)

ビ・ヨンド

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私も大好きな作品で 各メーカーさんのアンケートハガキに好きな作品として記入してました。後にリニューアル版が出た時、嬉しくて即購入しました。インパクトとしては98版に軍配が上がりますが、リニューアル版は声と歌が良かったキャスティングも文句無しで気に入ってます。
最近ゲームをやらなくなったのでよく分かりませんが、こんな作品が増えて欲しいですね。

実のところ、発売時はスルーしていたんですね。
シルキーズは実験的な作品も多くて好きなブランドだったのですが、一本道系のオーソドックスな作品はそれまでに楽しめないものがあったことや、他にやる作品が多かったこと、またプレイ前は絵がそれほど好きでもなかったためにスルーしてたのです。
で、1999年でしたっけか。リニューアル版が発売されると聞いて、せっかくの機会だからやってみようと思って即座に購入したのですが、どうもPCと相性が悪かったのか動きませんでした。だからリニューアル版は持っていたにも関わらず、どんな作品になっているのか分からないのです。
まぁ結局はこのまま未プレイでは腑に落ちないということで、そこから98のオリジナル版を購入して無事プレイでき、何だこんなに面白い作品があったのかと、己の見る目のなさとうかつさに呆れ果てつつも、今ではすっかり大好きな作品となっているのですけどね。
最近も笑えると呼ばれる作品はあるのですが、どれもパロディネタを多用したものばかりで、本作のような雰囲気のはほとんどないように思い、そのためより一層懐かしく思えてしまいますね。

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