リップスティックアドベンチャー

リップスティックアドベンチャー

『リップスティックアドベンチャー』は、
1988年にフェアリーテールからPC88用として発売されました。

80年代を代表するアダルトゲームの1つでしたね。

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<概要>


アダルトゲーム黎明期の傑作であり、
美少女ゲームらしい傑作としては最初の作品なのだと思います。

ジャンルはコマンド選択式ADVになります。
『リップスティック』というCG集があり、
その設定を一部用いながら製作されたのが、
この『リップスティックアドベンチャー』でした。

あらすじとしては、
まず主人公・浅見五郎は腕はいいが、女癖の悪い私立探偵です。
一方のヒロイン・清里音美は白鳥学園「美少女探偵倶楽部」の部員であり、
探偵事務所の押し掛け助手をしています。
その五郎が豪邸に住む成金オヤジの嵐山から盗まれた家宝の捜索を依頼され、
警察には頼めないという事情に不信感を抱きながらもその依頼を受けます。
家宝は難なく取り戻すが事務所は荒らされ、
押しかけ助手である女子高の探偵部部長・音美がさらわれてしまい・・・
といった感じになります。
従って、いわゆる推理ものになるわけですね。

<ストーリー>


『軽井沢誘拐案内』(85)のような例外を除くならば、
アダルトゲームでストーリーらしいストーリーが付き始めたのが、
87年頃なのでしょう。
例えば『殺しのドレス』(87)なんかがありますね。
ストーリーの楽しめるアダルトなゲームは本作の前までにあったのだけれど、
現在のアダルトゲームに不可欠なヒロインという役割を確立し、
美少女ものと呼べる作品というのは存在していなかったように思います。

つまり、本作の意義・特徴というのは幾つかあるわけでして。
一つは硬派でシリアスな探偵・推理ものばかりだった時代に、
五郎・音美というコンビを始め、ユニークなキャラたちによる、
ライトで楽しいと感じさせる探偵ものを作ったことです。

また本作は、後に『同級生』等を作った蛭田さんのデビュー作でもあります。
(もしかしたら殺しのドレスからかもだけど。
ここら辺詳しい人がいたら、情報をお願いします。)
ストーリー性があまりなかったり、
あったとしても硬派な物が多かったADVの中で、
蛭田さんのいわゆる蛭田節は、
極めて印象的であり強烈なイメージを残したものでした。
今後ADV史に多大な功績を残す蛭田さんの原点は、
まさしくこの作品からと言えるでしょう。

さらに、最初期のADVにおける女性は、
脱がしてエロCGを見るためだけの攻略対象にすぎませんでした。
そのような性的欲求の矛先としての存在ではなく、
主人公と肩を並べて歩んでいける一人の女性としての存在、
ヒロイン像の確立というのは、
美少女ゲームの歴史における一大分岐点だと思うのです。
各社が自分たちだけのヒロイン作りをし始めたのが89年頃からで、
本作はそれに先駆けて実行したというわけですね。
音美というのは、アダルトゲーム史上最初の「ヒロイン」であり、
それが本作の持つ最大の意義なのでしょう。

まぁ、そういう風に考えるならば、本作を始めとして、
各社の作品に攻略できないヒロインが増えたのも理解できるというものです。
何も知らないと、エロゲでヒロインとのHシーンがないなんて意味分らん・・・
ってなりそうなものです。
しかし、エロがあっては、従来の性的欲求の矛先としての攻略対象と、
何ら変わらなくなってしまいます。
ユーザーの意識を変革するためには大胆な改革が必要なのであり、
エロシーンを廃することで意識改革を図ったと言えるように思うのです。

<グラフィック>


元々『リップスティック』というCG集があって、
そのCGデータを一部流用して作られたのが本作なわけです。
まぁ使いまわしは若干ですし、特に気にするほどではないのですけどね。

肯定的に解釈するならば、元々CG集として絵だけでも商品になりえたわけで、
本作はそれと同品質のグラフィックを備えたゲームと言えるわけです。
それだけ、グラフィックの質も良かったということですね。

また自分はOPがかなり好きでした。
独特のBGMと、横にスクロールするタイトル。
何ともいえない味わいがあるんですよね、アレ。

<ゲームデザイン>


CGに関しては特に問題ないと上で書きましたが、
CG集の再利用の弊害があったのは、
むしろゲームデザイン面なのかもしれません。

本作はコマンド選択式のADVです。
コマンド選択後の返答は面白いですし、部分的には良く出来ています。
しかしCGの利用の関係もあってか、
ゲーム中にあまり関係ないような場所も出てきます。
最初からゲーム用に設定がなされていれば、
もう少しまとまった仕上がりになっていたでしょう。
些細なことかもしれませんが、その点で少し窮屈さを感じたものです。

<感想・総合>


蛭田節を堪能できる作品だけに、ファンならやってみて欲しい作品です。
もっとも古い作品だけに、今の観点でしか考えられない人には、
むしろ触れて欲しくない作品だったり。
今となっては当たり前のことでも、
決して初めから当たり前だったわけではありません。
じゃあ、当り前にさせたのは何なのか。
本作がアダルトゲーム市場にもたらしたものは大きく、
主観的な好き嫌いを超越した価値がこの作品にはあるのです。

ランク:AA(名作)

PC-8801SRソフト リップスティック・アドベンチャー

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